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いざゆかん、魔王退治へ②
しおりを挟む俺の名は勇者イオン。
品行方正、文武両(略)で、まあ色々兼ね備えてる男。
そんな完璧な俺だが、今非常に困っている状況にいる。
「…………申し訳ありません。もう一度お願いし…」
「魔王退治じゃ」
「……………………………。」
聞き間違いであって欲しかったぁあああああああああああああああああああ!!!!!
ちなみに俺は約二年前、魔王を倒している。
完全に息の根を止めたし、実際国を恐怖に陥れていたなんやかんやの災厄もピタリと止んだ。
まず生きてはいないだろう。
そもそも魔王というのは、一度倒せてしまえばその後五百年は安泰だと言われている。
実際問題過去何千年もの歴史の中でも、最短でも二、三百年は平和に暮らせたのだそうだ。
つまり、新たな魔王の再発は早すぎるってわけ。
「……どっ、どういう事で…?」
あっ、やべ。つい声に出ちゃってた。
まあこれくらいは構わないか。単純に考えてありえない事態なんだからな……。
「うむ。それというのは、今回の魔王は……お主が二年前倒した魔王、ナトリームの娘―――アリカル。お主には、アリカルを倒してほしいのじゃ」
「………え」
む…む…む………
「娘ッ?!魔王に、(あの)魔王に娘なんていたんですか!?」
かつて俺が倒した魔王は、角が生えたりなんか色々凄かったりしてザ・魔王ってヤツだった。
……ハッキリいって不細工っつーか、かっこよくは……なかった。
到底結婚が出来るような顔では無いレベル。
「うむ。ナトリームの死後、アリカルを面倒見ているのはナトリームの妻、マグネらしいがの。……確か、マグネの写真ならあったはずじゃが……えーと…」
そういって王は自分の胸元をゴソゴソと探りだした。
……まあ、あんなヤツの妻ならその辺の珍獣レベルの偏差値だろう。
…しかし、俺勇者なのに彼女いない歴=年齢と化してるんだよな。もっとこう……爆乳のおねーちゃんとか言い寄ってきてくんないかな。
「おっ、あったぞい」
ふむ、どうやら妻のマグネ…とやらの写真があったようだ。
さーてどんなか………お
「えええええええええええええええええええええ!!!!!??」
王が持つ写真の中には、この国のトップモデルなんかよりも断然美人な顔の女性が写っていた。
金色の髪色をした長髪はふんわりとなびき、翡翠のような瞳は柔らかく目に包まれ、その風貌はまさに女神級の美しさだった。
……嘘やん!!!!
こんッ……こんな美人が……っつつつつつ妻!!?
……魔王あと百万回ぐらい殺しとけばよかった。
「ど…どうしたんじゃ?」
「……あ、あの………ゴホン。この魔王の妻というのは、その…いわゆる魔族……なのですか?」
「うむ、そうじゃ」
「なるほど………。了解しました。それで今回は娘アリカルを倒せば良いのでしたよね?早速、向かうとします」
「おお、頼りになる。詳細の方は紙に記しておくから、ゆっくりみてみてくれ」
「はっ。畏まりました」
そうしてこの俺ーーー勇者イオンは、王を背にして王城を出た。
今のこの俺の顔は、百パー事務所(?)NGのものすごい顔になっていることだろう。
そう、今思っていることはただひとつ―――…
魔王クッッソ羨ましい!!!!!!
おわり
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