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第一章 初恋
第十話 失恋
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水族館に行った日から、1週間がたって夏休みが明けた。ありがたいことに、始業式の日に席替えをして細田君とはかなり席が離れた。どうにも、顔を合わせづらく声をかけられても素っ気なく返してしまった。廊下を歩いていても、栞ちゃんの姿が見えるとまな香の後ろに隠れて、顔すら見れなかった。
夏休みが明けて2週間がたった今でも、2人を避けていた。冬也に大学の相談をするために、放課後話に行こうと思っても、基本的にまだ部活に直行なため、彼のいる弓道部に行く気にならなかった。
失恋したことにより、部活を見学に行くことはなくなったので、図書室に勉強しに行くことが増えた。しかし、勉強に集中できるわけもなく全く進まなかった。かといって、家にいると水族館でのことを思い出して泣きそうになって1人ではいられなかった。
ある日、いつも通り図書室行こうと思って廊下を歩いていた時のこと。特別教室が続く廊下をまっすぐ行って階段を上った先の図書室があるのだが、ちょうど美術室の前を通ったとき栞ちゃんの話してる声が聞こえてきた。
「え、何。栞は別に細田のこと好きじゃないの?」
「うん。そうだけど?私1回も好きだなんて言ってないよね?」
「いやでもさ、花沢さんだっけ?が好きになってたんでしょ?」
「あーあのすっごいモテるかわいい子」
「そうだよ。だから付き合ったんじゃん」
「はぁ?何それ。どうゆうことよ」
「だってさ、あいつモテるからって調子こきすぎなんだよ。何が初めて好きになっただよ。今までお前と付き合ってきたやつは何だったんだよ。顔が良ければなんでもいいのか?」
震えが止まらなかった。そんな理由で、本当に好きでもないのに細田君と。
「...!」
私が、今までそうだったから。好きにならないまま付き合って、自分の事情で勝手に振ることもあった。それが間違ってたんだ。今までの罰が当たったんだ。当たり前だよな。私は、図書室にはいかずそのまま家に帰った。帰る途中、今まで付き合ってきた人たちを思い出そうとしてみた。
私は、ほとんど思い出すことができなかった。
その週の土曜日、まな香の家に行くと冬也とまな香が談笑していた。そこに目を真っ赤にはらした私が
来てすごく驚いていた。連絡を入れて、大丈夫だと言われたから来たものの、こんな顔をしているとは思わなかったらしい。私は、2人に栞ちゃんのことを話した。まな香には、私の行動はいつか止めるべきだと思っていたと言われた。冬也には、自分で気づいてほしかったと言われた。みんな、私が間違っていることに気づいていた。きっと、細田君が栞ちゃんと付き合っていなかったとしても、私と付き合ってはもらえなかっただろう。
そう考えると、自然と涙があふれていたのと同時に、細田君を好きな気持ちがだんだんとしぼんでいくような感じがした。2人とも、私が泣き止むまでずっと励ましてくれていた。
その日以降、細田君への気持ちはきっぱり諦めがついた。それからは、今まで以上に勉強に集中できた。細田君を好きだったころは減っていたが、告白される回数がまた増えた。それでも、勉強のためと誰に告白されようと断っていた。すると、1週間も経つ頃には告白ラッシュがぱったりと止まった。
数か月後、進路希望調査があった。私は、夏休みに行った大学の名前を第一志望に書いて、それ以降は書かずに提出した。
夏休みが明けて2週間がたった今でも、2人を避けていた。冬也に大学の相談をするために、放課後話に行こうと思っても、基本的にまだ部活に直行なため、彼のいる弓道部に行く気にならなかった。
失恋したことにより、部活を見学に行くことはなくなったので、図書室に勉強しに行くことが増えた。しかし、勉強に集中できるわけもなく全く進まなかった。かといって、家にいると水族館でのことを思い出して泣きそうになって1人ではいられなかった。
ある日、いつも通り図書室行こうと思って廊下を歩いていた時のこと。特別教室が続く廊下をまっすぐ行って階段を上った先の図書室があるのだが、ちょうど美術室の前を通ったとき栞ちゃんの話してる声が聞こえてきた。
「え、何。栞は別に細田のこと好きじゃないの?」
「うん。そうだけど?私1回も好きだなんて言ってないよね?」
「いやでもさ、花沢さんだっけ?が好きになってたんでしょ?」
「あーあのすっごいモテるかわいい子」
「そうだよ。だから付き合ったんじゃん」
「はぁ?何それ。どうゆうことよ」
「だってさ、あいつモテるからって調子こきすぎなんだよ。何が初めて好きになっただよ。今までお前と付き合ってきたやつは何だったんだよ。顔が良ければなんでもいいのか?」
震えが止まらなかった。そんな理由で、本当に好きでもないのに細田君と。
「...!」
私が、今までそうだったから。好きにならないまま付き合って、自分の事情で勝手に振ることもあった。それが間違ってたんだ。今までの罰が当たったんだ。当たり前だよな。私は、図書室にはいかずそのまま家に帰った。帰る途中、今まで付き合ってきた人たちを思い出そうとしてみた。
私は、ほとんど思い出すことができなかった。
その週の土曜日、まな香の家に行くと冬也とまな香が談笑していた。そこに目を真っ赤にはらした私が
来てすごく驚いていた。連絡を入れて、大丈夫だと言われたから来たものの、こんな顔をしているとは思わなかったらしい。私は、2人に栞ちゃんのことを話した。まな香には、私の行動はいつか止めるべきだと思っていたと言われた。冬也には、自分で気づいてほしかったと言われた。みんな、私が間違っていることに気づいていた。きっと、細田君が栞ちゃんと付き合っていなかったとしても、私と付き合ってはもらえなかっただろう。
そう考えると、自然と涙があふれていたのと同時に、細田君を好きな気持ちがだんだんとしぼんでいくような感じがした。2人とも、私が泣き止むまでずっと励ましてくれていた。
その日以降、細田君への気持ちはきっぱり諦めがついた。それからは、今まで以上に勉強に集中できた。細田君を好きだったころは減っていたが、告白される回数がまた増えた。それでも、勉強のためと誰に告白されようと断っていた。すると、1週間も経つ頃には告白ラッシュがぱったりと止まった。
数か月後、進路希望調査があった。私は、夏休みに行った大学の名前を第一志望に書いて、それ以降は書かずに提出した。
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