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12.心の支えにしていた
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「俺もこれは後で知ったんだがな、魔法を使えるヤツっていうのは権力者にとっては『強すぎる力を持つ危険人物』扱いになるらしい。当然だよな、どんな権力だろうと俺の魔法の前では意味がない」
「でも、魔法を使える人は王族と結婚したこともあるでしょ?」
「それは魔法の力を王家に取り込もうとしただけだ。派閥に力を引き入れるって意味でも、血脈に才能を取り入れるって意味でもな。生憎子供に受け継がれるってもんじゃないみたいだが」
「……そう、だったんだ」
知らなかった、私は何も。
火事の後に会えなくなったのはてっきり、ヨアキムがショックを受けているんだとばっかり思っていたから。
「アリーサに会いに行けたのは王都の騎士が来て村を離れなきゃいけなかったその日の朝だ。俺はずっとアリーサが好きだったから、いつか絶対に、なんとしてでも帰ってくるつもりだった。帰ってきて、アリーサと結婚しようと思っていた」
ヨアキムの言葉が私の心に重くのしかかる。
「村を離れてからの毎日は地獄みたいなもんだ。辺境の訓練施設に連れて行かれて、外に出ることもアリーサに連絡を取ることも出来なかった。魔法の制御の仕方なんて誰も知らないから失敗するたびに酷い扱いを受けて何度も殺されそうになった」
「そんな」
「言っただろ? 権力者にとって、俺は扱い辛い厄介なお荷物なんだよ。でも無視する事も出来ない。訓練で死んでくれりゃ御の字だったんだろうな」
村を出て行った後にヨアキムがそんな事になっていたなんて。
私の手を握り締める手がほんの少し震えている気がして、胸のあたりがきゅってなる。
「それでも俺が生きてこれたのは、アリーサの存在があったからだ。魔法が使える俺でも自由騎士ってのになればアリーサを迎えに行けるって知って、それを心の支えにしていた。どんな死線を彷徨っても、アリーサの事だけを考えて命にしがみついていた。……まぁアリーサは待つどころか、俺の事なんて忘れ去って男と遊びまくってたんだけどな」
今まで感情を見せなかった声が、一瞬で低くなる。
背中にぞっとしたものが走った瞬間に、手がほどかれて両足を大きく抱えられた。上掛けがあるとはいえ、布一枚の下でさっきまでヨアキムに散々荒らされた場所が開かれる。
どろりと、また中のものが流れた。
「でも、魔法を使える人は王族と結婚したこともあるでしょ?」
「それは魔法の力を王家に取り込もうとしただけだ。派閥に力を引き入れるって意味でも、血脈に才能を取り入れるって意味でもな。生憎子供に受け継がれるってもんじゃないみたいだが」
「……そう、だったんだ」
知らなかった、私は何も。
火事の後に会えなくなったのはてっきり、ヨアキムがショックを受けているんだとばっかり思っていたから。
「アリーサに会いに行けたのは王都の騎士が来て村を離れなきゃいけなかったその日の朝だ。俺はずっとアリーサが好きだったから、いつか絶対に、なんとしてでも帰ってくるつもりだった。帰ってきて、アリーサと結婚しようと思っていた」
ヨアキムの言葉が私の心に重くのしかかる。
「村を離れてからの毎日は地獄みたいなもんだ。辺境の訓練施設に連れて行かれて、外に出ることもアリーサに連絡を取ることも出来なかった。魔法の制御の仕方なんて誰も知らないから失敗するたびに酷い扱いを受けて何度も殺されそうになった」
「そんな」
「言っただろ? 権力者にとって、俺は扱い辛い厄介なお荷物なんだよ。でも無視する事も出来ない。訓練で死んでくれりゃ御の字だったんだろうな」
村を出て行った後にヨアキムがそんな事になっていたなんて。
私の手を握り締める手がほんの少し震えている気がして、胸のあたりがきゅってなる。
「それでも俺が生きてこれたのは、アリーサの存在があったからだ。魔法が使える俺でも自由騎士ってのになればアリーサを迎えに行けるって知って、それを心の支えにしていた。どんな死線を彷徨っても、アリーサの事だけを考えて命にしがみついていた。……まぁアリーサは待つどころか、俺の事なんて忘れ去って男と遊びまくってたんだけどな」
今まで感情を見せなかった声が、一瞬で低くなる。
背中にぞっとしたものが走った瞬間に、手がほどかれて両足を大きく抱えられた。上掛けがあるとはいえ、布一枚の下でさっきまでヨアキムに散々荒らされた場所が開かれる。
どろりと、また中のものが流れた。
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