F級スキル持ちのモブ陰キャ、諦めきれず毎日のようにダンジョンに潜ってたら【Lv.99999】まで急成長して敵がいなくなりました

藍坂いつき

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第1章「始まり」

第12話「シスコン」

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 結局、その日の夜は今まで以上の高額の換金率を叩きだすことができた。
 俺が持ってきたのはEランクの魔物「アックスホーン」の毛皮20匹分に、2本の牙。  

 毛皮に関しては倒せば剥ぎ取ることができるが牙はレアドロップ的なところがあり、10匹に1匹の割合で抜き取ることができるらしい。細かいところは魔物の博士号を取っている研究者ではないので分からないが戦ってきた感じ多分そうだと思っている。

 いつかお金も溜めて魔物図鑑か何かでも買うべきかもしれない。
 やっぱり力が使いこなせていない以上、相手の動きをしっかり見極める必要もある。アックスホーンも戦いの中で見出したし、もしもあれがEランクではなくAランクや災害レベルのSランクの魔物だったらそんな時間くれないだろうし。

 とにかく、今後はお金も溜めて装備を新調しよう。

  
 金額に関してはアックスホーンの毛皮が一枚2000円で、牙が一本5000円。全部合わせて5万円だった。

 今までなんて一日1万円稼げたら良い方だし、普通の日なら5000円しか稼げなかった。そう考えれば万々歳だ。10倍はえぐすぎる。そう考えるとA級探索者とかS級探索者とかが豪邸に住んでいるのはよく分かる。まぁ、その代わりに嫉妬して襲撃事件も絶えないけど。

 さすがの探索者も銃で武装されて寝込み襲われたら歯が立たないしな。

 よし、すぐに帰って雫に色々話してあげよう。




 そうして、21時前に家に着くと雫の目は真っ赤になっていた。

「お、おにぃ……じゃん!! し、死んじゃったのがどお思っただよぉおおおおおおお‼‼‼‼‼」

 べっちょべちょになっている顔でボロボロになった俺の服に飛びついた。
 さすがに遅すぎたなと思い、頭を撫でると嬉しそうに声を上げる。

「うぅぅ……撫でたらとろけちゃうからやめてよぉ」
「あははは。たまには息抜きしてもいいんだぞ?」
「だめだよぉ、お兄ちゃんにご飯作らないといけないし…………」

 律儀な妹だなと思い頭を撫でる。

「ふにゃぁ……ぁ」

 早速ふやけた。

「ごめんな。俺さ、今日Eランクの迷宮区に行ってたんだ。だから遅れた。心配させて本当にごめん」

 そう言うとハッとして急いで目元を袖で拭きながら俺のお腹に指を立てる。
 妙に痛いのはめちゃくちゃ心配してくれた腹いせだろうな。可愛いぜ、俺の妹。マイラブリーエンジェルシスターしずくたんだな。

 もし俺が同い年で同じクラスだった。告白して玉砕してるだろう。

「っそ、それは知ってるよ。さっき私の上司の下田さんから電話があったし。すっごくびっくりしたんだからね? 慎重至高のお兄ちゃんなのに」
「あははは……まぁ、色々あってな。とにかく無事だから大丈夫だよ」
「そう言う話じゃないし! お兄ちゃん死んだら、私辛いもん!」
「死なないよ。それに死んだら下田さんがいるだろ?」
「……そう言う話じゃない」

 久々のジト目だった。
 肯定してばかりの雫がそう言う顔を見せるのはちょっと罪な気分になる。実際、そうなんだけど。

「絶対嫌だから心配させるのはやめてよ?」
「あぁ、分かってる。今後は無理することがあったら言うようにするよ」
「そういうことでもないし! まぁ、お兄ちゃんの夢なのは知ってるけど……」
「まぁな。ちゃんと現実見ながら頑張るから、無理はもうしないよ」
「……頼むよ?」
「あぁ、ありがとう」
「うん。それじゃあ、ご飯できてるから一緒に食べよ?」
「おぉ」

 服の袖を引っ張る雫に連れられて俺はリビングに向かった。
 




 ご飯も食べて、雫がお皿を洗っている間、ソファーに座って待っていた。
 ふと気になって、俺はデバイスの個人情報をヴィジョンに写す。

「にしても……すげえな、これは」

———————STATUS————————

☆個人情報☆
 名前:國田元春《くにたもとはる》
 年齢:16歳
 探索者職業:武術家
 探索者レベル:Lv.99999/100
 オリジナルスキル:神様の悪戯(F)

 

☆オリジナルステータス☆
 攻撃力:99999/1000
 防御力:99999/1000
 魔法力:0/1000
 魔法抵抗力:99999/1000
 敏捷力:99999/1000
 精神力:99999/1000

【スキルリスト】
『神託予見』
『知覚向上』
『魔物特性』
『高速移動lv.1』


―――――――――――――――――――――――――――――――――




 レベルがおかしい、オリジナルステータスもおかしい。
 そして、他の人にはないその他のスキル欄もある。

 ていうか、結局あのお姉さんの声はあれ以来聞こえなくなったよな。あの時はあんなにもバンバン出てきたって言うか、正直終盤には全く聞こえなくなってたし。俺が聞いていなかっただけ……なわけがないか。

 そう考えると、もしかしたら何か発動条件でもあるのだろうか。
 いやまぁ、そうだよな。普通。ただでさえステータスがバグってるのに、スキルまでバグったらあまりにも不公平だし。

 でも……今後生きていく上には使いこなさなきゃダメだな。使い方、発動の仕方をしっかり把握しておくとしよう。

 俺は皆よりも数歩遅れてるんだ、いつも前向いて一歩一歩進んでいこう。

「お兄ちゃん! 一緒にお風呂入ろ!」
「いいよ~~」
「やったぁ! それじゃあ先シャワー浴びててね~~!」

 よし、それじゃあお風呂入るか。
 雫に言われてそのまま脱衣所へ。服を脱いで頭を洗う。

「はぁ……にしても雫とお風呂かぁ、久々だなぁ」

 あいつと入るの何年ぶりだ? もうかれこれ5年は入ってないよな?
 
 いやぁ、久々。

 うん、ひさびさ……ひさび。

 え?

 お風呂?

 俺と雫が一緒に?

「お兄ちゃんまったぁ!!」

 すっぽんぽんの雫が満面の笑みで風呂場に入ってきた瞬間、俺の頭の理解が追い付いた。

「おいおいおいおいおい、ちょまてっ!? ひぃうんんんんんんんんんんんんんん!?」

 
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