笑顔が似合う可愛い幼馴染が俺にだけ冷たくなったけど、気持ちまでは変わっていないのかな?

藍坂いつき

文字の大きさ
3 / 9

第1話「幼馴染がおかしい」

しおりを挟む
☆霧島和人☆

「よぉ、和人ぉ~~、元気してたかぁ!?」

「おお、俊介。いつぶりだ?」

「昨日ぶり~~、忘れちゃったの?」

「いやぁ、まさかな。ついつい見たくない顔が目の前に現れたから揶揄ってあげただけだよ」

「あっはははは……これまた失礼だな!」

 1年3組のクラスに入ると開口一番に声を掛けてきたのは中学からの腐れ縁である木戸俊介だった。陰キャ面というか、どっちかというと強キャラ感がある。加えて俺とは真逆の男らしくツーブロックの短髪に、スポーツ系の爽やかな顔立ち。たまに頼りになる以外は特にウザいだけの陽キャである。

「おはよ、どうした? 変な顔してよ?」

「変な顔はもともとだよ、気にするな」

「ははっ、ごもっともだな! ……って、そうじゃなくてよ。どうなんだよ、あれはよ?」

「あれ?」

「ああ、あれだよ、あれっ。昨日から一緒に住み始めたんだよな、高嶺さんと」

 そう、俺はなんだかんだ一番付き合いも長く信頼できる友達である俊介には今回の同棲について話している。教えた時はめちゃくちゃ笑われてぶん殴りたくてたまらなかったが……女子の話にも精通していて、俺と学園のアイドル的な存在である四葉の関係を知っている俊介は何かあった時にかなり役に立つのだ。歯を食いしばっても我慢するしかない。

 俺が俯いてうやむやにすると、肩を大きく揺さぶられる。三半規管の弱い俺には少々辛い。

「——お、おいなんだ!」

「教えてくれよぉ~~、じゃなきゃここで言っちゃうぞ~~」

 徐々に声のボリュームを上げていく俊介。クラスにはまだ半分程度の人数しかいなかったが、当の本人も同じクラスにいるため俺はすぐにそのうるさい口を掴み塞いだ。

「おい、やめろ! 皆こっち見てる!」

「んん~~、ん!!」

 苦しそうに喚くものだからさすがの俺も口から手を離すと、彼はニコリと笑ってこちらを見る。

「——へぇ、そっか、そうなんだな、色々積もることがあったんだなぁ?」

「ね、ねぇから、まじでやめろ!」

「ははっ、分かった分かった。俺は何も言わんから~~」

「っち、マジで頼むぞ……」

 しかし、こういう大事な時にしっかり秘密を言わない事が彼の信頼の厚さでもある。ほんと、スケベで変態で可愛い女子に目のない男だというのに多くの女子からの人気が高いのが余計に腹が立つ。

 数分間適当な話をして、朝のHRを終えて授業が始まった。

 現代文に世界史、そして数学Ⅰと物理基礎。少々めんどくさい授業もあったが適当に時間を潰して、とうとう昼休みに差し掛かった。

「あ、そう言えば」

 そう言えば朝からもってきた四葉のお弁当まだ渡してなかった気がする。おかげで、前の方にある彼女の席では女子たちが笑いながらその中心で四葉は顔を赤くしていた。

 そんな姿を凝視する周りを囲う男子たちは徐に財布を取り出していてさすがに気持ち悪い。こいつらに奢られるのも俺的にも嫌だし、なんなら断られることなどすでに決まっている。彼らの保身も考えると自分の身を投げるのが先決だろう。

 俺は席を立って彼女の方に歩く。すると、途端に視線が集まって心臓がギュッとしまったが最近はこの視線にも慣れてきた。そんなことしてるから変な噂が広がるのだがな。

「————な、なにぃ?」

「ほら、持ってきたやったぞ」

 席の前まで来ると苦しい作り笑いで俺の目を見つめる四葉。まったく、弁当を親切にもってきてやったのにその顔は癪に障る。もう少しニコッとしてくれれば俺も嬉しいんだが……周りに座る女子たちは目の前で恋愛ドラマが起きたかのような目で見つめているし俺も笑みを浮かべるしかない。

「弁当、忘れてただろ?」

「あ、あぁ~~そう言えば、そうねっ」

 にっこり。にしても目が笑ってないぞ。もっと作り笑いを上手くできないのかよ、こいつは。そろそろ勘付かれてもおかしくはないんだし、もっと慎重になってほしいものだ。

「あ、あ……」

 ゴクリと生唾を飲むと彼女は頬を少し赤く染める。周りに人がいて辛いのか、どうやら黙りこけてしまった。さすがアイドル的な存在でもあって、周りの女子たちが「言いなよぉ」とか「早く!」とか急かしていたが本人は俯いてしまっていた。

「……」

「うぅ……そ、その……」

 なんでそこまで顔を赤くするんだ、照れるのもやめろ。恥ずかしがるな、こっちが恥ずかしくなってくるだろうが。どんどんと赤らめる彼女にさすがの俺も気が狂いそうだ。見渡せば、今はクラス中から視線を集めていて、男子共の泣かせるな——という圧力が半端ない。

 仕方ない、ここは俺が手を引くしかない。そう思い口を開けようとした時。

「——あ、ありがとぉ……かずくんっ!」

 彼女は唐突に立ち上がって、何時しか呼ばれていた懐かしきあだ名で叫んでいた。驚きのあまりビクッと震えてしまった俺の肩を掴んだと思えば次の瞬間——。

「——っちゅ」

 あからさまな音が耳元で鳴り、同時にねちょっとした暖かく柔らかい触感が右の頬を襲う。呆気にとられた俺に赤くなりながらもニヤリと笑みを浮かべる四葉。

 その姿に俺は終始、何もできず。
 午後の授業にも身が入らなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...