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抱かれたくて堪らない僕だけにウケな君を絶対に抱けない看護の夜④
しおりを挟む僕は君とすごく。すごく、したくて。
君もきっと、それは同じで。
とても困ってしまうけれど、ふらふらふぅふぅしてこんなに熱も高いのに求めてくれるのは、可愛くて堪らないし嬉しかった。
とても困ってしまうけれど、だめだよって諭しているのだって、甘えられてるみたいで満更でもないしちょっとした優越感もある。
一緒にするなら我慢だって悪くない。
隼人が元気になるのを楽しみにすればいい。
早く元気になってくれたなら、お互いを求めてまたすぐに会えるかもしれないし。時間がかかってしまうなら、たくさん想いを募らせて大きく育てるのだっていい。会えた時には想像のつかないような喜びが待っているかもしれないから。
でも。
一緒でも同じでもなくて、君は結局。
僕は結局、まだ勝てない。
「みなわ……?」
胸に当てた僕の手に熱のもった指が触れる。もうしてくれないのって押し付けるようにしてきて、少し擦れると安心したみたいに目を瞑った。
胸が膨らむほど、肩が上下するほど、深い溜め息がでる。
張り付いた前髪をどけて、汗ばんだ額に触れる。三十八度後半くらいあってもおかしくない熱さ。
隼人の薄く開いた目は虚ろで僕を見ないまま、ごそごそと僕の手を操作しては肌を震わせている。
「やだね。不安だね……」
彼の汗で湿った手のひらを返して。指の背や手の甲で、こめかみを伝い、マスク越しの頬を撫でていく。
「外していい?」
ふるふると弱々しく首が揺れる。
「うつる」
「構わないよ」
ふるふる。
「キスしたいよ」
「ばか……だめに、きまってんじゃん……」
「セックスしろって……言うのに? こんなに近づいて、もう手遅れ」
「んー……だめぇー……」
「意地でも、風邪引かない」
「んーんー……」
キスしたい、舌入れないから、唇くっつけるだけ。
いくら言ってもだめだめと首を横に振るだけ。あまりに強情でムッとしてしまい、乳首を強めに摘む。そしてそのまましこしこと扱いてやると、あんあんと可愛い声を漏らし始めた。
「隼人。服、脱ごっか」
「えっちする……?」
「うん。えっちなこと、しよう?」
自らのネクタイの結び目に人差し指を差し込み、ゆっくりと解いていく。隼人がそれを見て背を浮かせて腰を揺する姿に興奮が隠せない。このネクタイで縛ってやりたいくらいだけど、なるべく楽な体勢をとらせてあげたいからそれはしない。
ワイシャツのボタンを外していき、ベルトを緩めて。なんだかいつもより、少しやりにくい。ぽやーっとしていて本当に見ているかどうか怪しいが、彼の目線がずっと僕に向いてるからだ。僕はいつだってじっくり隼人を視察しているが、こんなに見られるのは珍しい。
一度そこで自分が脱衣するのは止め、隼人の服に手をかける。既に熟れた乳首も勃起したおちんちんもさらけ出したあられもない姿ではあったのだが、素肌をもっと感じたい、感じさせてあげたい。
「寒かったら……言うんだよ」
恥ずかしそうに口元を手の甲で抑えながら頷く。そしてマスクの口元を隠したまま「ちんぽ見たい」なんて言うから苦笑いしてしまった。全く、恥じらいがあるんだかないんだか。
「すごいよ?」
耳元でやさしく煽る。
「んっ……」
「君が、えっちだから」
「ばきばき……?」
「バッキバキ」
「それに、さきっぽびちょびちょ」
「あっ……えろい……」
「えっちなちんちん見たいの?」
こくこくこく、と小さく頷いてるのが可愛い。目なんかうるうるで、苦しいためか切なそうに眉根寄せていて、たまらない気持ちになる。
入れたい。ぶちこみたい。たくさん出し入れして擦ってあげたい。
そんな願望丸出しの先走り滴る脈打つ男性器を、膝立ちになって見せつける。
一度根元から亀頭まで擦り上げただけで、ドロっとした粘液がシーツを汚した。
隼人はずっと半目だったくせに、切れ長の目をいつもより大きく開いてそんな僕を凝視する。顔が真っ赤になって、まん丸になった目がバクバク鳴ってる心臓の音を聞こえなくとも伝えてくる。
「あっ……ちんぽ…………ぁ、すご」
「隼人」
「ぁ、えっ」
「使っていいの?」
「あっ、ぁっ……! うん、うん、だから、使えって……! あの……使って、ほしい、たのむ、おれへいきだから、役立つから、いっしょいて、気持ちよくなる」
「うん。ありがとう。いい子だね」
掛け布団で二人の体をすっぽり隠してしまいながら、いつもよりべたつく汗がまとわりつく熱い身体を抱きしめる。
ぎゅうっとして頭を撫でてあげると、腕の中で強ばっていた身体の力が抜けていくのがわかる。そしてマスクの上から、唇のある当たりにキスをする。吐く息がちゃんと感じられてやっとキスできたと思えて嬉しい。
隼人が小さく「だめ」て言ってる。マスクしてたら伝染らなかったから、平気だからって、一生懸命訴えてる。
それを無視して耳の後ろや首筋の匂いを嗅ぐ。汗臭い。毛穴からにおいがのぼってる。はーっと息を吐いて、すーっと深く、思いっきり吸って、先程見せつけた勃起した自身を握る。
「あっ……」
ずちゅ、ずちゅ、と何度も手を往復させて擦りあげる音が布団の中から漏れ出てしまい、隼人は早々に僕が自分でシゴいてることに気がついてしまった。脱力していた身体がまた縮こまって、はっはっと短い呼吸を繰り返す。
「あ、みな、みなわ」
「腕、あげて?」
「え? あ」
きょときょとと戸惑いながら腕を上げ、剥き出しになった脇に顔を埋める。隼人が起きてる時にここの匂いを嗅ぐのは初めてだ。ヒッ、と小さな悲鳴があがるのもお構いなしに思い切り息を吸う。
いつもより、ちょっとにおう。汗のにおい。皮脂や垢と混ざった、少し酸っぱいにおいがする。しかし鼻をくっつけてやっとこのにおいがするのだから、綺麗な脇をしている証拠だ。
毛がなくて、つるつるで、かわいい。
べろりと舐めるとまた悲鳴があがる。
上目遣いに様子を伺うと、マスクをしていても困惑がしているのがわかる目の泳ぎ方をしていて愛しくなった。戸惑ってる戸惑ってる。脇の窪んだ、柔らかいところを舌でぐりぐりすると、今度はさっきより甘さを含んだ悲鳴。
いつもなら怒られるんだろうな。キモイだの変態だの言われてさ。
でもこんなに汐らしくて、こっちが困惑する。ねぇだいすき。本当にかわいい。脇コキしてもらおうかな。君に擦りたい。犯したい。挿入したい。この熱い肌に覆われたもっと奥に出したい。
「はやと、脇……どう?」
聞いたくせに、返事を待たずに大胸筋と上腕二頭筋を結ぶ筋肉をしゃぶる。
「ひゃっ、ぁっ……! く、くすぐった、い……やぁ……」
「汗で、しょっぱい……」
「あっ……はずかし、やだ……っ」
「だめ。使わせて?」
「や、だぁ……ちんぽいれてぇ……ひ、うぅっ……あッ」
「いれない」
「なんで……使ってくれねぇ、のぉ……? さっき……」
「使ってる」
さっきから、ずっと腰をくねらせて。お尻をきゅっと締めながら跳ねさせて。
入れたい。入れたい。あー入れたい。
「おまんこセックスする……? 奥、ぐりぐりってしたまま、なかだ……じゃなくて、しゃせぇ……」
本当に。まったく、本当に、困った子だ。
君が誘惑するから僕は我慢しなくちゃいけないしこんなに辛いけど、それでも君のそばにいてあげたいと、君にできることをしたいと、そう思ったんだよ。
「今日は、全身使う。全部、隼人の身体ぜーんぶ、使って、触って、撫でて、舐めて、ぜんぶ愛して、気持ちよくなる」
勝てない、けど。
それは誘惑なんかよりもずっと辛いことだけど。僕には君の過去もまるごと包み込めるはずなんだ。その資格があるんだ。君が話してくれたから。だからこうして君の過去と向き合うことができるんだって、胸を張りたい。
誇らしい、自分が。
あの時確かに落胆してしまったのに、そんなことよりも全てを肯定してでも君の気持ちを楽にしてあげたいと思える自分が。
自分に風邪が伝染ることなんかどうでもよくて、それでいて裏切られた気持ちをぶつけて犯すこともなく、ただただ君の身体に負担をかけたくないと思える自分が。
「それじゃ、みなわ、きもちよくなれねぇ、よぉ……」
「きもちいいよ。だからもっと、声……出して。辛かったら、無理しなくていい。ね?」
脇を舐め、胸の先をぐりぐりとほじりながら求める。すると隼人はいつもよりずっと素直に声を上げた。
「あ、あん、おっぱいきもちい、でも、わきっ、あっ」
「わき、どう?」
「ケツに、きちゃうのぉ……うずうず、して」
「お尻も、見たいな」
「やぁぁ……」
布団の中に潜って、大きく足を開かせる。そして腰の下に腕を入れて支えながら少し持ち上げて、奥の、きっと一番汗ばんだ場所に鼻先を近づける。
あーもうやばい。こうしてるだけですっごくドキドキする。舐めないで、匂い嗅ぐだけ。
隼人のおしりの穴、ひくひくしてる。僕の大きいおちんぽ受け入れすぎて縦穴になって膨れてめくれたスケベすぎるお尻の穴、きゅう、きゅう、てなってる。
かわいい、かわいい、かわいい。玉の下もやばい。いつもひんやりしてるのに、あったかいな。かわいそうに。口に含みたい。だめかな。
でもやっぱりもっと奥を嗅ぎたいな。扱く手の動きが激しくなる。さきっぽ捏ねて、少し焦らして。
「あっ、待って、俺きょう……まだ、洗ってな……い、だめだめっ、やだっ!」
もう鼻腔が隼人を感じ始めたころ、それまで大人しくしていたのに慌てて声を上げるから、しかもそんなこと言うから、ごくりと喉を鳴らして目の奥がカーッと熱くなって高まった。
ああしかし、セックスできないのに普段よりやらしい匂いを嗅ぐなんて。隼人の身体の、知らない匂い。やばい。やばいな。
スーッと思い切り息を鼻で吸う。全部を脳に流し込むみたいに。
なんだ、全然臭くない。いや、でも、生々しい匂いだ。脇とはまた違った酸味の……たぶん、これは腸液に含まれる善玉菌とか、ヨーグルトに近いにおい。
「かわいい。えっちでかわいい匂い。どんな匂いでも、だいすき。でもこれ、あー、やばい、やばい、隼人の身体の中、感じる。隼人は健康的だね、ん、かわいい。風邪引いてても平気だ、本当にかわいい。はー、いい匂い。だいすき。かわいいにおい。かわいい。はやと、はやと、はやとっ…………」
「え、あ……? や……におい、やだ、なにぃ……? やだやだ、だめぇ……」
まずい、イッちゃいたくなる。隼人の洗ってない尻からこんな可愛い赤ちゃんみたいな匂い(赤ちゃんの匂いは知らないが)してきたら出ちゃうよ。
「ひっ、ひぅぅ……鼻息、しゅご……みなわぁ、やぁぁ……ひゃっ」
あー、でも何回でも出せそう。たくさん出したら隼人、喜ぶかな。たくさん使ってあげたら喜ぶよね?
いや、でも。あーどうしよう。ちょっと待って。
自分でもわかる、興奮しすぎだ。
隼人をたくさん愛したいけど、無理させてはいけない。
だからあんまり何回も出すより、丁寧に扱って出した方がいい、たぶん。んーすっごいお尻かわいいすき。だめだすぐばかになるな。ちょっとおしりから離れないと。
離れたくないなーずっとここに鼻くっつけてたいな。なんで舐めちゃダメなんだろう。いや、さすがにだめだ、だめだめ、離れないと。離れたくないな……。
がばっと勢いつけて起き上がって(そうしないと離れられる気がしなかった)、垂れて乱れた前髪を掻きあげる。すると下で隼人がビクッと全身で反応して、顔を見たらもう半べそかいてて。それが悲しいとか嫌というより何が何だかわからなくて困り果てた末に泣きそうになってるみたいな、琥珀色の綺麗な目をまん丸にしてパチパチと何度も瞬きをして、自分の理解の範疇を超えてる僕に怯えて瞳を揺らして。
抜ける。舐めてなくても、匂いなくても、抜ける。
かっわいい。マスクの下はどんな顔をしているんだろう。マスクの中にちんちん突っ込みた、いけどそんなことはしない。
顔見て少し冷静になろうと思ったのにならないな。
どうしよう。
耳の中で響く自分の呼吸が獣のソレなのだ。余計怯えさせてしまうな。可愛いけれど、本気で怯えてる訳ではないだろうけれど、溢れんばかりにたっぷり張りついた涙の膜が目の表面を覆っているのを見ていると可哀想になる。
――言葉。
言葉だ。人間なのだから、言葉で意思疎通できるのだから、僕は君のことが大好きで君の身体に嫌いな部分がないというだけなのだから何も怯えることはないと語ればいいのだ。このはーはーうるさい呼吸も抑えられるはず。
息を止める。いや、でも話せるか、ちゃんと。語るのは得意じゃない。なんでただでさえ冷静ではない時に語ろうって思ったのだろうか僕は。
やってしまったな。そう思ったが、思った時には息を吐き出すと同時にこの口は動き始めていた。
「隼人。隼人のぜんぶ、だいすき。だいすきだよ。君がここにいるだけで、僕はきもちいいよ。ありがとう。隼人。会いに来てくれて、ありがとう。きみ、本当にいいにおい。香水のにおいも、皮脂のにおいも、腸液のにおいも、ぜんぶいい匂い。来てくれてよかった、来てくれなかったら洗ってないおしりの匂いは嗅げなかったし、あ、でも、無理しちゃ、だめ……だめ、だからね? 心配。一人で歩いてたなんて、信じられない。だめだよ。ここにいるだけなんかじゃない、君が存在してくれているだけで、僕は嬉しい。元気な君に、いてほしい。それだけで僕の役に、立ってる。隼人、僕はつまり、君がだいすきだよ。どうしよう。わかる? 大好きなんだよ」
――本当は大好きな君とめちゃくちゃセックスしたかった。
そう言いかけて口を噤む。
一応僕は、言葉を発する時いろいろと気をつけている。自分の言葉でよく首を傾げられるのはわかってる。気をつけていても首は傾げられるのだが。
こんなに、自分が何を言ったか振り返ってもわからないくらい考えなしに話したことはほとんどない。気がする。酔っている時は、あるけれど。
何かまずいこと言ってないだろうか。失言は発さず飲み込めたから大丈夫だろうか。
ドキマギとしながら隼人を見る。
そして心臓がそのまま止まりそうになる。
表面張力で耐えていた隼人の涙は完全に決壊していた。
「がっかり、しなかったぁ……?」
「…………うん? がっかり? 何に…………ああ、すごく、いい匂いで期待以上……」
「だっておれ、熱でちゃっ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
ふーふーと鼻息をマスクの中で籠らせながら、次々に流れる涙。それをぐしぐしと忙しなく何度も瞼の周りを往復する指先、拳。
がっかりの意味がわかった。
僕は表情に出てしまっていただろうか。がっかりしなかったと言ったら嘘になってしまうだろう。
「僕のそんな気持ち、どうでもいい」
「なんで……みなわ、やさしすぎん、だろっ……おれたのしみ、で……じぶんがむかつくっ…………おれ、嫌われちゃうかもってぇ……!」
「ばか。なんで。ばかだな。なんでそんなこと……」
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