君の金魚を削ぎ落としたい

松原 慎

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いつまで夢を見ればいいのでしょう②

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 バーへ降りると、香草のいい香りが店内に広がっていた。どうやら鶏肉を漬け込んでいるらしい。
 音を立てないように注意を払いながらカウンター内に入り、背後から近づいてしゅるりと長い髪をまとめていた細いヘアゴムを外す。それは自分の手首にとりあえず通しておき、長いシルクのような黒髪を拝借して三つの毛束に分けてゆるく編み込んでいく。
「なぁに? いたずら?」
 くすくすと笑いながら、仕込みをする手は止めず、目線も変えず問われる。しかし俺は返事をすることはせず、無言でその触れているだけで気持ちのいい髪を編み続けた。
「早かったわね。玲児くんはもう帰っちゃったの?」
 腰の近くまで伸びた髪を丁寧に編んでいるとさすがに仕上がるまでに時間を要する。
 路彦さんは話し方も柔らかいし、髪も男性のものとは思えないほど美しいけれど、女性的ではない。痩せた頬にやや高い頬骨、鼻筋もしっかりしていて、顔立ちがくっきりとしているからだろうか。広い背中も頼りがいがある。
 無言を貫き通していたら路彦さんは隣の水道で手を洗い、やっとこちらを振り向いてくれた。もう少しで完成するはずだった三編みが揺れて、下の方が少しだけ解ける。キッチン台に軽く腰掛け、きゅっと広角を引き上げて笑う。
「なにかおっしゃいよ。甘えん坊さん」
 路彦さんの声はとても穏やかだ。でも俺を見る目は、あまり穏やかとは言えない。
 瞼の上が窪んでいて、目の大きさの割に瞳が小さい三白眼。まるで爬虫類のような目をしているのだ。お顔立ちにとても似合っていてセクシーではあるのだが、じっと見つめられると蛇に睨まれているような気分になる。
「路彦さん、あの……」
「なぁに」
「甘えてもいいですか……?」
「ええ……もちろん」
 たどたどしいお願いに目を細めて応じ、どうぞと両手を広げてくれたその胸に抱きついた。
 野良猫を可愛がる。
 それは路彦さんが自分にそれぐらいの感情はあるだろうという予想ではなく、それぐらいの気持ちでいてくれたらいいなという願望だ。
 この人を好きにはならないし、好きになってはいけないし、路彦さんも女性が好きだから。それくらいがちょうどいい。
 あの煙草の香りはしない。清々しい、けれど甘いような……おそらく鶏肉に使われたローズマリーの香り。髪を梳いて耳たぶを撫でる指先から香っている。フープピアスがぶつかる音が、しゃんと耳の奥に響く。
 俺はただ路彦さんに触れられるまま大人しく、厚い胸板にぴったり頬をくっつけてその体温を感じている。けれど、時々指の動きに反応してぴくりと体が強張っってしまう。それに気がついた路彦さんがおかしそうに俺の耳元で笑う。
「玲児くんを誘ってしまうくらい、もてあましてるの?」
「いえ、ほんの冗談ですよ? 少し羨ましいだけです」
「恋人でも作ればいいじゃない」
「いらないです。路彦さんが甘やかしてくれますから」
「そう?」
 腰を抱いていた手が、するりと降下して指先を立てるようにしてお尻の丸いラインをなぞっていく。割れ目の上のあたりから、太股の付け根まで。背筋にぞくっときて、はぁっと短く息を吸った。
 時折こんな風に路彦さんの悪戯心が顔を出して、ずっと熱を発散しきれていないこの身体を弄ぶ。普段はただ抱きしめてくれるだけなのに。
 しかもタイミング的にいつも、だめなときにしてくるのだ。
 だめというのは、自分の心や身体が負けてしまいそうなとき。恋しくて寂しくてたまらないとき。
 先生を待っているのが、少し辛いとき。
 待っているといった先生が来てくれるわけがないのを知っていながら。
「みちひこ、さん……おしりだめです」
「大変ねぇ、こんなのでそんなに反応しちゃうなんて」
 だめと言っているのに手は離れていかず、それどころか背を抱いていた手までくびれを這って上昇していき、黒いワイシャツの上から胸元を遊び始めた。指先が何度も敏感な箇所かかすって、情けない声が漏れる。
「ん……あっ、ちが……ご、ごめんなさっ……!」
「どうして謝るの?」
「声……気持ち悪い、ですよね……ん、ふっ、ぅ……つめ、やめて……」
 欲しがるみたいに隆起してきた胸の先端を布越しに爪でカリカリと擦られ、身体が芯から震えだす。胸板に頭を押し付けたまま、その震えを我慢するために必死で背中にしがみついた。
 布地をぎゅうっと握りしめているせいで服に皺が寄ってしまっているだろう、これからお店を開けるのに申し訳なくなる。
「今日は、何でそんなに……っ」
「触るのかって言いたいの? 欲しそうな顔してるからよ。僕のできる範囲で慰めてあげる」
「そんなこと……抱きしめてもらえれば俺はそれで……」
 女性の扱いには慣れているだろうその指先は、ひたすら焦らすように先端を優しくこすって、かと思えば乳輪のまわりをくるりと一周してから優しく摘んで。すっかり尖りきった乳首を親指と人差し指で扱きながら「こんなに大きかったの?」と問われて恥ずかしくて答えられずにいれば、ぎゅうっとつねるように先を絞られた。
「いっ……!」
「飼い猫がよそで悪さしたら困るでしょう?」
「悪さ、なんて……」
「してたじゃないの。お友達だからってあんなにごろごろと喉を鳴らしてすり寄っちゃだめじゃない」
 痛いほどの刺激を受けたあと、指の腹で撫でられるもどかしい感覚に戻り、でもお尻の頬を撫でていた手がすっと割れ目の奥をなぞるようにしてきて。思わず首を仰け反らせ声にならない声が空気を震わせた。
 さすがにこれ以上はと背に回していた手でその力強い胸板を押し身体から離れ、いやいやと首を横に振って意思表示をした。
「みちひこ、さん……路彦さん、だめ……やめてください」
「やめていいの?」
 またきゅうっと摘まれ、あっ、と声が出るが、それでも何度も頷いた。
「そろそろ、ジュンヤさんも出勤されますし……だめです、こんなの。俺……」
 身体を撫でられることはあったけれどここまで直接的に弄り回されたのは始めてで、困惑して路彦さんの顔を見ることができない。哀れみをもたれたのか、からかわれているのか……しかし、さっきの文句はまるで嫉妬しているみたいだ。
 それもそうね、とあっけらかんとした返事とともに大きな手は離れていき、緊張していた肩の力が抜けていくのを感じた。安心とともにほっと一息つく。
「あの……ごめんなさい」
「あらなぁに、どうして謝るのかしら?」
 まだ顔を見れない俺の頬を、硬い手のひらが包む。そうされてやっと顔を上げれば、ふっと目を細めて微笑むいつもの優しいお顔があった。
「路彦さんのお部屋で玲児くんに変なことを言ってしまって」
「いいのよ。それよりも飼い猫を躾けようとしたら噛みつかれてちょっぴり悲しいわ」
「か、噛み付いてないです!」
「ふふ、冗談よ」
 弧を描いた薄い唇にそっと指先を当てて、品よくゆったりと笑う見慣れた姿に微笑みを返す。仕事の準備もしなければいけないし気持ちを切り替えようと踵を返したら、背後からそっと首筋に口付けられた。路彦さんの描いた金魚の泳ぐ首筋を。
「他の子たちに出雲くんが乳首でイケちゃうの、知られたら困るわよね」
 え、と聞き返す前に、トン、と両肩に手を置かれる。
「下着汚れてなぁい? 今のうちに替えてきてもいいわよ。ねぇ?」
 一瞬にして肌が総毛立ち、血が冷えるのを感じたが、気がついたときには今度はどっと熱が溢れ出して至るところから発汗するのを感じた。
 そんなところで達せてしまうのも、下着が汚れているだろうことも事実だけれど、知られたくない事実であるのは当然だ。
 それに、囁いた声が。
 あまりに低く奥のほうまで響くものだから、身震いしてしまった。
 恥ずかしくてたまらず振り返らずに頷いて、急ぎ足で店を出ようと扉を慌てて開けようとしたら、一足先にオープン出勤のジュンヤさんが扉を開けた。さらには勢いがついてしまっていたので、そのままつまずいたところを支えられてしまうという大失態。急いで離れてお疲れさまですと挨拶をする。
「キョウくん顔真っ赤じゃん? 大丈夫?」
「へっ? あ、だ、大丈夫です。ちょっと忘れ物をしてしまって」
 一瞬自分の店での名前を忘れてしまい(こんなことは初めてだ)、変な声を出してしまったが慌てて持ち直し、首を傾げるジュンヤさんに三回くらい会釈をしてその場を離れた。
 扉がゆっくり自然と閉まっていく途中、二人の会話が耳に入る。
「店長がとうとうキョウくんに手出したー、セクハラ店長ー」
「まぁ失礼ね! 毎日一緒に寝てるのに今更そんなことするわけないでしょ」
 そう、本当にそうだ、その通りなのだ。
 もう一年以上も路彦さんと毎日一緒にあの小さなシングルベットで身を寄せ合って寝ている。そして一緒に起きて、食事をして、昼はそれぞれの時間を持って、夜は一緒に仕事をして、また一緒に眠って……寂しくなったら抱きしめてもらってとことん甘えて。
 そんな恋人ごっこのような、けれどそれ以上のことは起こらない時間を長いこと過ごしてきて今更だ。きっと友達にまで欲求不満を晒して二人にふてぶてしく甘える自分があんまり惨めだから、だから、きっと。
 二階へあがって玄関を入ってすぐにスラックスの中を確認すれば、グレーの下着にしっかりと染みが付いていて、とうとうその居た堪れなさに靴も履いたままその場でしゃがみこんだ。
 いっそこのまま抜いてから仕事に就きたいなどと考えてしまうが、そこまでの時間はない。でもまだ恥ずかしさに動けそうになく、膝を抱えていしゃがんだまま、ううぅと歯を食いしばっていた。
 そうしてふと、自分が野良猫ではなく飼い猫だったことに密やかな衝撃を受けるのだった。



 オープンしてすぐにご新規の女性二人組が来店され、そのあとは常連さんがぽつぽつと顔を出してくれてはいるが、二十一時をすぎても時間の流れは緩やかだった。食事のオーダーも止まって手持ち無沙汰になり、無心でアイスピックで氷を削り丸氷を作る。
 路彦さんには食事のオーダーが止まっている時はカウンターを手伝ってほしいと言われているが、お客様と話すのはあまり得意ではなく気が進まない。特に今日は何も考えたくない。こういう日はカウンターのすみっこの誰もいないところでザクザクとひたすら氷を削るのがストレス解消になる。
「キョウくん!」
「あ」
 突然背後から声をかけられ手元が狂い、完成間近だった丸氷の中心にアイスピックが突き刺さる。ハラハラと氷の欠片がいくつも落ちていくのを見ながら、ストレス解消どころか何をやってもうまくいかない自分に腹が立つ。そもそも声を掛けられなければと恨めしげに振り返れば、グラスを下げに来たジュンヤさんが苦い顔をしていた。
「ごめんって。そんなむすっとしなくてもいーじゃん」
「してないですよ」
「してんじゃーん。平気だよ。それ貸して」
「えっ、ちょっと」
 ひょいっと軽いノリのまま氷を俺の手から奪いグラスに入れると、常連さんが集う席へと掲げて持ち前の明るい笑顔を携えジュンヤさんは声を張った。
「キョウくんがキズモノにしちゃった氷でお酒飲みたい人ーっ!」
「やめてくださいよ?!」
 必死で止めているのにすぐにお客様も悪ノリしてハイハイと次々に手が上がっていく。ただの失敗した氷でお酒を飲む為にジャンケンまでしているお客様を見ながら、どう反応していいかわからず腕を組んで頬をさする。
 そうしていたら中心で笑っていた路彦さんと目が合った。困ったわねぇと声が聞こえてきそうな、眉を下げて笑う顔に妙な意識が芽生える。
 結局その場のノリで傷のついた氷入オンザロックを飲む羽目になったのは、俺にこの店を紹介してくれた椎名さんという常連さんだった。来店してすぐの様子だったのに付き合わされて運のない人だ。
 椎名さんならばと自らグラスを運び少しだけお話をすることにした。
「すみません……溶けるスピードに差はあまりないとは思うんですけど」
「相変わらず真面目だね。キョウくんは」
 懐かしむように俺よりもっと遠くを見るような顔をして、爪の短いよく手入れされた綺麗な手がグラスを揺らす。
「そういえば施術後とくに問題はないかな? 若いうちに全身脱毛したから、新しく毛が生えてきてないかって心配だったんだ」
「今のところその心配はなさそうです。綺麗に施術してもらって感謝しています」
「いえいえ」
 メンズエステサロンで働く椎名さんには、ここで働き始める前は大変お世話になっていた。その頃はまだ実家で暮らしてはいたものの、お家に泊めてもらうことはあったし少しの肌のふれあいもあった。恋人にはならなかったものの、ただの年上の友人と呼ぶのも少し違う。
「まだ監禁はされてないみたいだね。お店で見るたびに安心してるよ」
「そうなんです。残念なことに今のところその心配もなさそうです」
 顔を見るたびにというほどではないが時折、まだ捕まってないね、と笑いかけてくる椎名さんに毎回笑顔で頷く。もし本当に監禁されても椎名さんにやっと捕まりましたと報告できないのが残念だ。 
「物騒な単語が飛んでるじゃない? なんのお話?」
 すっと隣に来た路彦さんがナッツとダイス状のドライフルーツが盛られたチャームを椎名さんの前に静かに置いた。椎名さんは微笑みを崩さないまま目配せをしてこちらにお伺いを立ててきたので、まぁ隠すことでもないのでどうぞと手を路彦さんの方へ向けた。
「彼さ。いつ監禁されてもいいように全身脱毛の施術したんだってさ」
「なぁに、それ?」
 口元の笑顔は崩さないまま、眉根を寄せて路彦さんは俺の顔を見る。冗談よね、と問われているのはわかったから俺も笑顔のまま首を傾げた。
「綺麗ではないところを見られるの嫌でしょう?」
「それが監禁相手であっても?」
「監禁相手だからこそ、かもしれませんね」
 一瞬、すっと路彦さんが真顔になったのを俺は見逃さなかった。
 変な話をしている、そんな不快な気持ちにさせるのも当然だ。すぐに表情の戻った路彦さんには気が付かなかった様子の椎名さんは、本当に不思議な子だよねとウイスキーに口をつけた。

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