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本編
11 サキュバスリリスにできること ②
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ヴォルフィはいつも数回リリスに精を注いでくれた。
一回目は前戯もそこそこに挿入し、リリスを気遣いながら腰を使う。すぐにヴォルフィの精が迸り、この時点でリリスの身体はずいぶん楽になる。
二回目以降は明らかに違った。じっくり時間をかけ、優しくふれ、キスを落とし、なんだかひどく甘い雰囲気で抱いてくるのだ。それこそ、初めての時よりも甘く。
なぜ二回目以降は違うんですか、とリリスが勇気を出して訊ねると、ヴォルフィは微笑みながら答えた。
「ただ挿れて出すだけなんて、あまりにも味気ないじゃないですか。僕はゆっくり丁寧にするのが好きです」
一回目の行為がむしろ変則的な対応であり、ヴォルフィはリリスの飢えを少しでも早く満たそうとしてくれていたのだと、この時彼女はようやく察した。
長年の飢えが解消されつつあるからだろう。手っ取り早く抱かれる時とじっくり抱かれる時では、注がれる精の味が違うとリリスは気づいた。
手っ取り早い性欲処理のような行為もそれはそれでいい。ガツンと味が押し寄せてくる。あえてジャンクなものを食べたい時はある。
でも二度目以降に注がれる精は味わい深かった。快楽の余韻に浸っている間にじわっと味が身体に沁みてきて、後味もほのかに甘い。
リリスがヴォルフィに精を注いでもらい始めてしばらく経ち、草木は芽吹き日差しも暖かくなってきた。その頃には、リリスが泊まった翌日、ヴォルフィは料理を振る舞ってくれるようになっていた。ヴォルフィの料理の腕前は、リリスよりもよほど上だ。
「……とてもおいしいです」
「よかった」
「普段から自炊なさっているんですね」
「いえ、普段はあまり。自分一人だとどうでもよくなってしまって。特に何かに夢中になっていると、寝食を忘れがちです」
ヴォルフィはリリスのために料理をしてくれている。リリスは嬉しさと同時に申し訳なさを感じた。
「ヴォルフィさん。何か困っていることはありませんか?」
「僕がですか?」
「ええ」
与えられるばかりで何も返せない、そんな状態にリリスは慣れていた。だからこそ嫌だった。大切な人達に負担をかけてばかりで、できることが何もない無力な自分を思い知らされるのはつらい。リリスが家族の元を離れたのはそれもある。
自分にもできることがあると彼女は仕事を通して知った。自分にとってはできてあたりまえで、取り立ててすごいと思っていなかったことが、誰かの役に立って嬉しかった。今リリスはヴォルフィから一方的に与えられてばかりの状態になっている。些細なことでも何かできることがあれば、引け目を感じずに済むのではないかとリリスは思った。好きな人のために、自分も何かしたい。
「私にできることは、そんなに多くないですけど……」
ヴォルフィが黙ったままなので、リリスは消え入りそうな声で付け足した。
「そうだ」
ヴォルフィは立ち上がると隣の部屋へ向かい、籠を持って戻ってくる。中には何枚か白いシャツが入っていた。
「ボタンを失くしてしまったり、袖口が擦り切れたり、生地に穴が空いたり、インクが取れなかったりで、そのままでは着られないシャツです。綺麗に直そうと思ったら意外と面倒で神経を使いますし、捨てた方が早いかもしれないんですけど、なんだかもったいなくて。これ、どうにか甦らせられませんか?」
「どんな風にしてもいいですか?」
「もちろんです。本当にぼろぼろになったものは、こんな風に使い捨ての雑巾にするので」
籠に入ったシャツも使い捨て雑巾として切ったものも、全て同じ生地だった。気に入っているのだろう。
一回目は前戯もそこそこに挿入し、リリスを気遣いながら腰を使う。すぐにヴォルフィの精が迸り、この時点でリリスの身体はずいぶん楽になる。
二回目以降は明らかに違った。じっくり時間をかけ、優しくふれ、キスを落とし、なんだかひどく甘い雰囲気で抱いてくるのだ。それこそ、初めての時よりも甘く。
なぜ二回目以降は違うんですか、とリリスが勇気を出して訊ねると、ヴォルフィは微笑みながら答えた。
「ただ挿れて出すだけなんて、あまりにも味気ないじゃないですか。僕はゆっくり丁寧にするのが好きです」
一回目の行為がむしろ変則的な対応であり、ヴォルフィはリリスの飢えを少しでも早く満たそうとしてくれていたのだと、この時彼女はようやく察した。
長年の飢えが解消されつつあるからだろう。手っ取り早く抱かれる時とじっくり抱かれる時では、注がれる精の味が違うとリリスは気づいた。
手っ取り早い性欲処理のような行為もそれはそれでいい。ガツンと味が押し寄せてくる。あえてジャンクなものを食べたい時はある。
でも二度目以降に注がれる精は味わい深かった。快楽の余韻に浸っている間にじわっと味が身体に沁みてきて、後味もほのかに甘い。
リリスがヴォルフィに精を注いでもらい始めてしばらく経ち、草木は芽吹き日差しも暖かくなってきた。その頃には、リリスが泊まった翌日、ヴォルフィは料理を振る舞ってくれるようになっていた。ヴォルフィの料理の腕前は、リリスよりもよほど上だ。
「……とてもおいしいです」
「よかった」
「普段から自炊なさっているんですね」
「いえ、普段はあまり。自分一人だとどうでもよくなってしまって。特に何かに夢中になっていると、寝食を忘れがちです」
ヴォルフィはリリスのために料理をしてくれている。リリスは嬉しさと同時に申し訳なさを感じた。
「ヴォルフィさん。何か困っていることはありませんか?」
「僕がですか?」
「ええ」
与えられるばかりで何も返せない、そんな状態にリリスは慣れていた。だからこそ嫌だった。大切な人達に負担をかけてばかりで、できることが何もない無力な自分を思い知らされるのはつらい。リリスが家族の元を離れたのはそれもある。
自分にもできることがあると彼女は仕事を通して知った。自分にとってはできてあたりまえで、取り立ててすごいと思っていなかったことが、誰かの役に立って嬉しかった。今リリスはヴォルフィから一方的に与えられてばかりの状態になっている。些細なことでも何かできることがあれば、引け目を感じずに済むのではないかとリリスは思った。好きな人のために、自分も何かしたい。
「私にできることは、そんなに多くないですけど……」
ヴォルフィが黙ったままなので、リリスは消え入りそうな声で付け足した。
「そうだ」
ヴォルフィは立ち上がると隣の部屋へ向かい、籠を持って戻ってくる。中には何枚か白いシャツが入っていた。
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「どんな風にしてもいいですか?」
「もちろんです。本当にぼろぼろになったものは、こんな風に使い捨ての雑巾にするので」
籠に入ったシャツも使い捨て雑巾として切ったものも、全て同じ生地だった。気に入っているのだろう。
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