【R18】取り違えと運命の人

テキイチ

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本編・取り違えと運命の人

052 お誕生日おめでとう ⑧

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 そうだ、とつぶやくように言って、リカルドがごそごそと愛用の袋を探る。

「いつ渡そうか迷ってたんだけど。ちょうどプレゼントの話題が出たから、今渡そうかな。はい」

 宣言通り、包装された二つの箱を渡された。

「え、なに?」
「なにって……これが本命のプレゼント」
「え! だってもう十七個も……」
「あれは今までの分。後でお祝いするってカードにも書いてたでしょ?」
「そ、そうだけど、お祝いはここでの食事で充分というか……。それに、なんで二つ?」
「ジュリエッタ、今日で十九歳でしょ。17+2」
「確かに数はちょうどいいけど、なんで本命が二つ?」
「最後まで本命のプレゼントを選び切れなかったのと、ちょっとしたプレゼントのネタが切れたからという現実的な理由」

 ネタ切れに思わず笑ってしまった。

「ありがとう。すごく嬉しい。開けてみていい?」
「もちろん!」

 まず少し小さい方の箱の包装をゆっくり解いて、紙箱を開けてみる。

「わあ……! 綺麗……」

 とても繊細な銀細工の髪留めが入っていた。小さい頃憧れたような、お姫様が着けていそうな、優雅なデザイン。填めこまれた紫色の小さな石は、おそらく本物の宝石なのだと思う。輝きがガラスとは違う気がする。

「ジュリエッタの髪に、きっと映えるだろうなあと思って」
「ありがとう。すごく嬉しい……!」
「よかった。いっぱいつけてね!」
「うん! いっぱいつける!」

 先にくれた「ちょっとしたプレゼント」にも櫛とリボンとシュシュがあったし、リカルドは本当に私の髪がお気に入りなんだなあ、と改めて思う。
 今度はもう一つの箱のリボンと包装を丁寧に解く。こっちはアクセサリー入れによくある、ビロードみたいな布張りの箱。

「これもすごく綺麗……!」

 入っていたのは銀の腕輪。あ、このデザイン、もしかして……。

「せっかくだから、首飾りと同じシリーズにしてみた」
「やっぱり!」
「今日、首飾りつけてくれて、とっても気に入ってるって言ってくれて、嬉しかった」
「私こそ、すごく、すごく、嬉しい……。さっそく着けてみていい?」
「もちろん!」

 首飾りと同じシリーズだから、もちろんまとまりがいい。見慣れたデザインというのもあって、身に着けてもとてもしっくりくる。

「すごくいいね。ジュリエッタに似合ってるし、ワンピースがシンプルだから映える」
「リカルド、こういうの選ぶの、ほんと上手。すごく嬉しいよう……!」
「ええと……」

 あれ? リカルドの様子が、ちょっと変……?

「どうかした?」
「う、ううん! 喜んでもらえて、よかった!」

 よくわからないけど、とりあえず、リカルドがにこにこ笑ってくれたので、更に嬉しくなった。
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