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本編・取り違えと運命の人
087 本当の運命の人 ①
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春野菜、多めに蒸しといて、味もつけてなくてよかった。
腹が減っては戦ができぬ、ということで、まずはお二人に夕飯を食べていただくことにした。ルーカさんは温野菜をうまく活用して、自分用にスパゲティと明日の朝食としてグラタンを作っていた。なるほど、乾麺と小麦粉のストックはあったんだな。ジュリエッタさんはベジタリアンじゃないみたいで、私の作ったものをまんべんなく食べている。
「どれもすごくおいしい!」
「ありがとうございます」
「すごく、リカルドさんへの愛情を感じますよね」
「ルーカさん、ほとんど食べてないのに」
「食べてないけど、手をかけてるのはわかりますよ。彩りがいいし、バリエーション豊かだし、どの食材もすごく丁寧に切られてて、盛りつけも気を配ってるじゃないですか」
ルーカさん、そんな風に思いながら見てくれてたんだ。全然気づかなかった。
「他の人が見ても、わかるんだね!」
リカルドがにっこにこの笑顔で言うから、なんか無性に照れる、というか、ひさしぶりに恥ずか死にそうな気持ちになった。
「ええと、神託を覆すには、どうすればいいんでしょうね」
お二人が食事を終えたので、さっそく作戦会議に入る。
「神殿では興奮してて忘れてたんだけど。私、ちょっと気になることがあるの」
そうジュリエッタさんが切り出したので、訊ね返す。
「気になること、ですか?」
「どうして、二人は、魔法球が入れ替わってることに気づかなかったのかしら」
「「そりゃ、そっくりだから」」
男性陣二人が声を揃えて言う。そして、どさくさに紛れて結局返却しそびれてしまった魔法球を、それぞれ取り出して見せてくれる。確かにそっくりで、入れ替わってもわからなそう。これを見分けるなんて無理だ。
「俺、ジュリエッタと話すのが楽しみだったから、魔法球に質問してないんです。ルーカさんも、基本情報しか見てないんですよね?」
「ええ。俺は、単に面倒だっただけだけど」
「そりゃ、ただのガラス玉だったら、見分けられなくても仕方ないけど。でも、これ、魔法球なんだから、そんな簡単に入れ替わる訳、ないのよ」
「どういうことですか?」
意味がわからなくて、思わずジュリエッタさんに訊ねる。
「そんな簡単に入れ替え可能なら、役所で本人確認に使える訳ないでしょ。所有者が誰かを判別させる魔法がかけられてるのよ」
「判別?」
ますます意味がわからない。どういうことかしら?
ジュリエッタさんはその魔力を利用して、呪術師を生業としているそうだ。だから、魔法が関わる事例について、一般人よりはるかに詳しい。もちろんそれは、魔法球についても例外ではなかった。
「リカルドとルーカ、魔法球交換してみて」
言われた通り、二人は魔法球を交換する。
「そのまま、反対方向に歩いて離れていって」
素直に二人は離れていく。
「熱っ!」
リカルドが声を上げ、魔法球を落とす。落ちた魔法球はゆっくりとルーカさんの方に転がっていった。
「痛っ!」
今度はルーカさんが声を上げ、魔法球を落とす。そのまま魔法球は飛び跳ねるように動いて、リカルドの前に落ちた。
「こういうことよ」
魔法球は所有者のそばを離れると、熱を持ったり、異常に光ったり、すごい勢いで元の所有者の方に転がっていったり、なんらかの拒絶反応を起こす。だから、入れ替わったら普通気づく、のだそうだ。
「でも、二人は取り違えたことに、ちっとも気づかなかった」
「「確かに全く」」
「あの……もしかして、魔法球が取り違えた後の相手を、所有者だと認めてるってことですか?」
おずおずと訊ねてみると、ジュリエッタさんがにっこりと笑った。
「そうなんじゃないかなって、思ってるの」
腹が減っては戦ができぬ、ということで、まずはお二人に夕飯を食べていただくことにした。ルーカさんは温野菜をうまく活用して、自分用にスパゲティと明日の朝食としてグラタンを作っていた。なるほど、乾麺と小麦粉のストックはあったんだな。ジュリエッタさんはベジタリアンじゃないみたいで、私の作ったものをまんべんなく食べている。
「どれもすごくおいしい!」
「ありがとうございます」
「すごく、リカルドさんへの愛情を感じますよね」
「ルーカさん、ほとんど食べてないのに」
「食べてないけど、手をかけてるのはわかりますよ。彩りがいいし、バリエーション豊かだし、どの食材もすごく丁寧に切られてて、盛りつけも気を配ってるじゃないですか」
ルーカさん、そんな風に思いながら見てくれてたんだ。全然気づかなかった。
「他の人が見ても、わかるんだね!」
リカルドがにっこにこの笑顔で言うから、なんか無性に照れる、というか、ひさしぶりに恥ずか死にそうな気持ちになった。
「ええと、神託を覆すには、どうすればいいんでしょうね」
お二人が食事を終えたので、さっそく作戦会議に入る。
「神殿では興奮してて忘れてたんだけど。私、ちょっと気になることがあるの」
そうジュリエッタさんが切り出したので、訊ね返す。
「気になること、ですか?」
「どうして、二人は、魔法球が入れ替わってることに気づかなかったのかしら」
「「そりゃ、そっくりだから」」
男性陣二人が声を揃えて言う。そして、どさくさに紛れて結局返却しそびれてしまった魔法球を、それぞれ取り出して見せてくれる。確かにそっくりで、入れ替わってもわからなそう。これを見分けるなんて無理だ。
「俺、ジュリエッタと話すのが楽しみだったから、魔法球に質問してないんです。ルーカさんも、基本情報しか見てないんですよね?」
「ええ。俺は、単に面倒だっただけだけど」
「そりゃ、ただのガラス玉だったら、見分けられなくても仕方ないけど。でも、これ、魔法球なんだから、そんな簡単に入れ替わる訳、ないのよ」
「どういうことですか?」
意味がわからなくて、思わずジュリエッタさんに訊ねる。
「そんな簡単に入れ替え可能なら、役所で本人確認に使える訳ないでしょ。所有者が誰かを判別させる魔法がかけられてるのよ」
「判別?」
ますます意味がわからない。どういうことかしら?
ジュリエッタさんはその魔力を利用して、呪術師を生業としているそうだ。だから、魔法が関わる事例について、一般人よりはるかに詳しい。もちろんそれは、魔法球についても例外ではなかった。
「リカルドとルーカ、魔法球交換してみて」
言われた通り、二人は魔法球を交換する。
「そのまま、反対方向に歩いて離れていって」
素直に二人は離れていく。
「熱っ!」
リカルドが声を上げ、魔法球を落とす。落ちた魔法球はゆっくりとルーカさんの方に転がっていった。
「痛っ!」
今度はルーカさんが声を上げ、魔法球を落とす。そのまま魔法球は飛び跳ねるように動いて、リカルドの前に落ちた。
「こういうことよ」
魔法球は所有者のそばを離れると、熱を持ったり、異常に光ったり、すごい勢いで元の所有者の方に転がっていったり、なんらかの拒絶反応を起こす。だから、入れ替わったら普通気づく、のだそうだ。
「でも、二人は取り違えたことに、ちっとも気づかなかった」
「「確かに全く」」
「あの……もしかして、魔法球が取り違えた後の相手を、所有者だと認めてるってことですか?」
おずおずと訊ねてみると、ジュリエッタさんがにっこりと笑った。
「そうなんじゃないかなって、思ってるの」
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