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第三章 カバーで本を判断するな
074 牧羊犬と救助犬の謝肉祭 ③
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ようやく肉が運ばれてきたので、焼き始める。じゅうう。
網に野菜と肉を並べ、しばらく待つ。真ん中の火力が強いから、取り箸で外側に配置したものと適宜入れ替える。実家で鉄板焼きをする時、姉に焼かされていたので、こういうのは割と慣れている。
僕がずっと黙って焼き作業に励んでいるからか、持て余した感じの響さんが、直箸で肉を取ろうとした。
あの肉、どう見ても生焼けだけど、ワイルドな感じだからレアが好きなのかな。
響さんは僕の表情を見て、肉を取るのを止めた。
「あの、別に、この肉を狙ってたとかではなくて……」
「ボーダーコリーのこと、そんなにさもしい奴だと思ってない」
妹さんに即行で手を出したさもしい奴です本当に申し訳ありませんでしたけど本気ですし愛もめちゃくちゃありますしこれからもずっと一緒にいたいですし若葉ちゃんの許可が得られる限り全力で手を出し続けます!
やっぱり僕はまだ緊張してるんだろう、くだらないことが脳内を駆け巡る。
響さんは、ぼそりと、つぶやくように言う。
「俺の見ている赤と、君の見ている赤は、違う赤かもしれない」
「……クオリア、ですか?」
哲学? 主観的体験の質は表現しがたい、みたいな。
「ボーダーコリーならそう捉えると思った。でも違う。もっと身近で現実的な話」
響さんは背広の内ポケットを探り、名刺入れを取り出す。シボ革の、赤。
中から二枚のカードを取り出した。名刺ではなく、色のついたカード。二枚をテーブルに並べる。
「このカード、何色に見える?」
「赤と緑に見えますけど……」
何か試されているんだろうか。固唾を飲んで続きを待つ。
「俺にはほとんど同じ色に見える。茶色」
網に野菜と肉を並べ、しばらく待つ。真ん中の火力が強いから、取り箸で外側に配置したものと適宜入れ替える。実家で鉄板焼きをする時、姉に焼かされていたので、こういうのは割と慣れている。
僕がずっと黙って焼き作業に励んでいるからか、持て余した感じの響さんが、直箸で肉を取ろうとした。
あの肉、どう見ても生焼けだけど、ワイルドな感じだからレアが好きなのかな。
響さんは僕の表情を見て、肉を取るのを止めた。
「あの、別に、この肉を狙ってたとかではなくて……」
「ボーダーコリーのこと、そんなにさもしい奴だと思ってない」
妹さんに即行で手を出したさもしい奴です本当に申し訳ありませんでしたけど本気ですし愛もめちゃくちゃありますしこれからもずっと一緒にいたいですし若葉ちゃんの許可が得られる限り全力で手を出し続けます!
やっぱり僕はまだ緊張してるんだろう、くだらないことが脳内を駆け巡る。
響さんは、ぼそりと、つぶやくように言う。
「俺の見ている赤と、君の見ている赤は、違う赤かもしれない」
「……クオリア、ですか?」
哲学? 主観的体験の質は表現しがたい、みたいな。
「ボーダーコリーならそう捉えると思った。でも違う。もっと身近で現実的な話」
響さんは背広の内ポケットを探り、名刺入れを取り出す。シボ革の、赤。
中から二枚のカードを取り出した。名刺ではなく、色のついたカード。二枚をテーブルに並べる。
「このカード、何色に見える?」
「赤と緑に見えますけど……」
何か試されているんだろうか。固唾を飲んで続きを待つ。
「俺にはほとんど同じ色に見える。茶色」
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