【R18】人の好みは説明できない

テキイチ

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第六章 まだ願いごとが叶った頃

142 私と彼氏の初めての旅行 ②

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 一時間半ほど経ったので、新くんに声を掛ける。本当はまだ眠らせてあげたいけど、食堂で食事をとれる時間は決まっているから。

「ねえ、新くん、起きて。食べられなくなっちゃうよ」
「ん……」

 起き上がった眼鏡がない新くんと目が合ってどきっとする。新くんは私の顎をそっと指で上げ、くちづけてきた。

「おはよう。若葉ちゃん」
「おは……よう……」

 なんだか、照れてしまった私の方が、寝起きみたいな返事。
 眼鏡を渡して掛けてもらったら、すっかりいつもの新くんで安心した。

「すごくすっきりした。ありがとう、若葉ちゃん」
「よかった。顔色が少し悪かったから心配だったの」
「夕飯、食べに行こうか」
「うん」

 少し遅くなったから大丈夫かなって心配だったけど、食券と引き換えに決められたセットを出してもらう形式だったから、すぐに準備をしてもらえてほっとした。
 向かい合ってゆっくり食事をとれるのは、落ち着いていいなあ。ピーターラビット号の中でおやつを食べるのも、私は楽しかったけど、新くんは運転があるからやっぱり気が張ってる感じだったもの。

 お腹が空いていたのもあって、つい、二人とも無言で食べ進めてしまう。お茶を飲んでふうと一息ついたところで、新くんと目が合い、微笑まれ、幸せな気持ちで胸がいっぱいになった。こんな風にリラックスして、笑顔で食べてもらえると、よかったなって思うし、ごはんをより一層おいしく感じる。これからも新くんといろんなごはんを食べたいなあ、そんなことを思いながら微笑み返した。
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