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番外!!
040 いけすかないやつ(神様はいつもきまぐれ) ⑦
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いけすかない。
俺が佐藤に対して抱いていた気持ちは、単なる嫉妬だ。
自分より目立たないタイプの人間が、自分よりも格段に鮮やかにスマートに捌く場面を、見せつけてきたように感じたから。
無意識のうちに、見下していたのかもしれない。佐藤のくせに生意気だと。
そんな気持ちを抱く俺の方が、よっぽどいけすかないやつだ。
俺の気持ちはダダ漏れていただろう。隠せないとよく言われるし、なにより佐藤は人の気持ちに聡い。それでも佐藤は、俺のことを助けてくれたのだ。何の見返りも求めず、ただ淡々と。
佐藤を嫌い続ける自分が、嫌いになりそうだ。単純にそれが、佐藤と親睦を深めようと思った理由だ。うざがられても、いいじゃないか。くだらない理由で相手を嫌い続けるよりも、相手を尊重する自分の方が、よっぽど好きだ。
その後、俺は積極的に佐藤に声を掛けるようになった。そこまで相手にされてないけど、一緒にいる時間は明らかに増えた。佐藤は本当に嫌だったらさりげなくスルーする人間なので、うざがられつつも相手にしてもらえている現状は、まあ、悪くないんだろう。
佐藤は相変わらず覇気がなく、力を抜ける部分は全力で抜いている。全力で力を抜く。日本語おかしい。手抜きが自分の方に向かうのならば、まあ構わない。許容範囲はあるが。だが、営業事務の杉山さんに対してもそうだったので、これはまずいと思った。先輩として、社会人として、指導すべきではないか。
そう思って、ミスがあったら、俺が代わりに逐次彼女に通告するようにしたのだが。彼女はミスこそ多いけれども、大変仕事に対して真摯に向き合っており、いつも笑顔で謝られた。これはごまかすための笑顔じゃない。むしろかなり追いつめられているからこそミスが直らないのでは? そう思いながら接しているうちに、彼女自身に惹かれてしまった俺は、大変チョロいと思う。健気な人間に弱いのだ。
少しでも彼女の気を楽にできないかな、気晴らしになるといいな、そう思ったのがデートに誘ったキッカケだったように思う。
テーマパークに連れていって一日いろいろ遊んだ。絶叫系大好きっていうのがちょっと意外だった。どうも彼女は、見た目ほど甘い女の子っぽい感じではなく、結構アクティブな性格である模様。
夕方まで遊んで、外で夕飯を食べ、いろんな話をする。正直、話がものすごく弾んでしまって、どんどん別れがたくなる。ギリギリまで店で粘ってしまって、駅まで一緒に行ってお開きにすることにした。俺はこの時、自分の普段の歩きと女子を伴った歩きでは速度が違うことと、話しながらだとなお歩きが遅くなることを計算に入れてなかった。
俺が佐藤に対して抱いていた気持ちは、単なる嫉妬だ。
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無意識のうちに、見下していたのかもしれない。佐藤のくせに生意気だと。
そんな気持ちを抱く俺の方が、よっぽどいけすかないやつだ。
俺の気持ちはダダ漏れていただろう。隠せないとよく言われるし、なにより佐藤は人の気持ちに聡い。それでも佐藤は、俺のことを助けてくれたのだ。何の見返りも求めず、ただ淡々と。
佐藤を嫌い続ける自分が、嫌いになりそうだ。単純にそれが、佐藤と親睦を深めようと思った理由だ。うざがられても、いいじゃないか。くだらない理由で相手を嫌い続けるよりも、相手を尊重する自分の方が、よっぽど好きだ。
その後、俺は積極的に佐藤に声を掛けるようになった。そこまで相手にされてないけど、一緒にいる時間は明らかに増えた。佐藤は本当に嫌だったらさりげなくスルーする人間なので、うざがられつつも相手にしてもらえている現状は、まあ、悪くないんだろう。
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そう思って、ミスがあったら、俺が代わりに逐次彼女に通告するようにしたのだが。彼女はミスこそ多いけれども、大変仕事に対して真摯に向き合っており、いつも笑顔で謝られた。これはごまかすための笑顔じゃない。むしろかなり追いつめられているからこそミスが直らないのでは? そう思いながら接しているうちに、彼女自身に惹かれてしまった俺は、大変チョロいと思う。健気な人間に弱いのだ。
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