【R18】神様はいつもきまぐれ+番外!!

テキイチ

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番外!!

066 分岐点(神様はいつもきまぐれ) ⑦

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 あんまり会いたいと感じないのは潮時、前の彼女と付き合って、それだけは学習していた。
 ただ、決定的に何かまずいことがあった訳じゃないから、どうしたらいいのか、そう思っていたある日曜の朝、電話がかかってきた。

「祥くん……浮気してるの?」
「は?」
「だって、最近、祥くんの方から連絡、来ないんだもん……」

 彼女の方から頻繁に連絡が来るから、俺の方から投げる必要がなかった、というのが正しい。日記的なメールがバンバン来ていて、まあ、書きたいんだろうからいいか、と思ってた。
 電話も毎晩かかってきていて、ずっとしゃべり続けるから、そっちは若干辟易していた。翌朝早い時なんか、正直切りたい。
 あんだけ頻繁な連絡に対応してて、いつ浮気するような暇があるって言うんだろう。

 あきれて言葉を失ったのが肯定の印とみなされたらしい。やっぱり浮気してるんでしょうと彼女はそう思うに至った根拠をつらつらと述べ始める。違うとかそうじゃないとか言っても全然聞いてもらえない。

 その日は大学で開催される学会の手伝いのバイトがあって、紹介してくれたゼミの先生の手前、遅刻する訳にはいかなかった。だから、悪いけどバイトがあるからと言って電話を切り、音をサイレントモードにして、大学へ向かった。

 バイトが終わった頃にはもう夜になっていた。そういえば電話の音切ってたんだったと思い出し、鞄から取り出して絶句した。
 電話の着信履歴が全て彼女の名前で埋まっていた。しかもだんだん間隔が狭まっていて、最後は一分おきくらいに着信がついてる。メールも似たような感じに数十件単位で届いていた。怖くて中身見れない。こんな画面、ドラマかホラー映画でしか見たことない。

 これは、このままだと、いろんな意味で、俺の身が危険。本能的にそう思った。
 誰か頼れる人間に助けてもらおう、そう考えた時に頭に浮かんだのは川崎だった。

「川崎、悪い、今日、お前ん家に泊めてくれないか?」
「いいけど、お前も一人暮らしだろう? なんで?」
「ちょっと、今、家に帰ったら、命に関わりそうで」
「意味がわからない」

 そう言いながらも川崎は俺を泊めてくれた。それ以上何も聞かずに。

 翌日、意を決して彼女に連絡を取ることにした。中途半端にしているからダメなんだ。きちんと別れなければ。俺の部屋だと逃げ場がないからまずい。大学近くのファミレスで会おうと伝えた。他者の目があれば危機も回避できるだろう、そう考えた。
 ファミレスにあらわれたのは、彼女と、同じサークルの同級生の男だった。

「え?」
「彼にも関わることだから」
「……はあ」

 二人は席に着き、しばらく黙っていた。
 たっぷり五分は待ったと思う。おもむろに彼女が口を開いた。

「祥くんは私のことなんか好きじゃない。ううん、きっと、誰のことも好きになれないんだわ……」

 俺に語りかけているはずなのに、なんかあらぬ方向を見ているのは気のせいだろうか。

「彼に相談してて、そのことがよくわかった。目が覚めたと思う」

 そう言って、横にいる男に彼女は視線を投げる。

「私は、ちゃんと私のことを見てくれる人を選ぶ。だから、さよなら」

 彼女の相手全てしてたら寝る暇なさそうだけどがんばれ、横にいる男に心の中でエールを送りつつ、予想よりはるかに穏便に終わったことに心底ほっとして、さよならと返した。

 別れたことをサークルの同級生達に告げると、元カノと男が二か月くらい前からよく一緒にいるのを見かけていたと気まずそうに言われた。正直佐藤といる時よりもよほどいちゃいちゃしているように見えた、と。

 浮気していたのは実は彼女の方で、さりげなく俺のせいにされた? とか思わなくもなかったが、それよりあとくされなく終われたことの方がありがたかった。そして、恋愛至上主義者はタフだと心底実感した。
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