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本編
◇ 第一夜
コンスタンツェは憂鬱な気持ちで与えられた部屋の寝台に入っていた。もうすぐ件の奴隷が訪ねてくるはずだ。
扉を叩く音がして、コンスタンツェは息を止める。しばらくして再び扉が叩かれた。額から頬に冷や汗が流れるのをコンスタンツェは感じた。最後にもう一度扉が叩かれ、コンスタンツェは覚悟を決めた。ゆっくり息を吐いて寝台を出、自ら扉を開いて来訪者を受け入れる。
入ってきたのは長身で端整な顔立ちの青年だった。漆黒の髪と瞳。彼はコンスタンツェに跪き、手の甲に接吻をして言った。
「サーシャと申します。コンスタンツェ殿下にはこれから六日間、私に御身をお任せいただき、準備を整えていただきたいのです。このかりそめの閨で、私はあなたの奴隷です」
かりそめという言葉が、コンスタンツェの耳に残った。
「この場では、コニーとお呼びいただけませんか」
「コニー様、ですか?」
「ただのコニーと。かりそめにふさわしく、この時間は別の者として過ごしたいのです」
わかりましたとサーシャは頷き、コンスタンツェの身体を軽々と抱き上げた。寝台にそっと彼女を下ろすと、耳元に口を寄せた。
「本日はまだお気持ちが整っておられないでしょう。お身体を拝見することも柔肌に直にふれることもいたしません。ご安心いただければと存じます」
「……はい」
コンスタンツェの返事にサーシャはほっとしたような笑みを浮かべ、頭をそっと撫でた。確かに肌にはふれていない。けれども、サーシャの行動はコンスタンツェの心をひどく乱した。
幼い頃、父王から頭を撫でられることは、コンスタンツェにとってなによりの褒美だった。父王は戦に出ていることが多く、会えることが年に数度しかなかったからである。賜るべきものを奴隷から与えられたことに屈辱を感じているのかもしれない、とコンスタンツェは自分に言い聞かせようとした。だが、彼女の胸が高鳴っているのも事実であった。
サーシャはしばらくコンスタンツェの頭を撫でた後、そのまま彼女の髪を梳くように指を通した。さらさらという音がコンスタンツェの耳に心地よく響く。
「コニーの髪は本当に美しいですね。滑らかで、綺麗な色をしていて」
「私は……自分の髪の色を、好んでおりません」
「なぜですか?」
「サーシャのように高貴な漆黒でも、明るく光り輝く金でも、燃えるように華やかな赤でもない、半端な焦げ茶に価値を見出すことができません」
「母なる大地の色です。豊かで、艶やかで、大変素晴らしい」
サーシャはコンスタンツェの髪にそっとくちづけた。その瞬間コンスタンツェの胸は一際大きくどきんと音を立てた。
サーシャは上目遣いでコンスタンツェの表情を確認するとくすりと笑い、そのままコンスタンツェの髪の先を、彼女の首筋から胸元へとゆっくり走らせる。コンスタンツェに用意された夜着は生地が薄めで胸元も広めに開いているものだったので、彼女は繊細な刺激を余さず拾ってしまった。
「あぁっ……!」
自分でも信じられないほど甘い声が出て、コンスタンツェは恥ずかしさから涙をこぼしそうになった。思わず顔を横にそむけるとサーシャが優しい声で語り掛けてくる。
「声は外には聞こえないようになっています。ご安心ください」
コンスタンツェは諦めてサーシャのなすがままになった。
手のひらで包むように胸にふれられ、コンスタンツェは身を固くした。彼女の豊かな胸をサーシャはしばらく手を廻すようにして愛撫したが、不意に指の腹が乳首にふれた。思わず身体をびくりとさせたコンスタンツェを見て、サーシャは乳頭と乳輪を指の腹で擦り始めた。
恥辱とこれまで得たことのない感覚から、コンスタンツェは細かく身体を震わせ続けていた。不意にサーシャがコンスタンツェに微笑みかける。ほっとしてコンスタンツェの力が抜けた刹那、サーシャは乳首を摘まんだ。薄絹越しとはいえ充分な刺激で、快感からコンスタンツェは思わず嬌声を上げた。
「あっ……あぁん……!」
閨教育なのだから、むしろ正しい反応を示せているはずだ、そのように自分に言い聞かせながら、コンスタンツェはサーシャに小さな声で問う。
「サーシャ……これで、よいのです、よね……?」
「ええ。きちんと受け止めておられます」
サーシャは約束を守り、肌に直接ふれることはない。けれども、直接ふれられないことが却ってもどかしく、コンスタンツェは己の身体が焦れていると悟った。
下着をじっとりと濡らしてしまったことにコンスタンツェが気づいた時、サーシャは彼女に言った。
「今宵はここまでにいたしましょう。私はまた明日、同じ頃に参ります」
扉を叩く音がして、コンスタンツェは息を止める。しばらくして再び扉が叩かれた。額から頬に冷や汗が流れるのをコンスタンツェは感じた。最後にもう一度扉が叩かれ、コンスタンツェは覚悟を決めた。ゆっくり息を吐いて寝台を出、自ら扉を開いて来訪者を受け入れる。
入ってきたのは長身で端整な顔立ちの青年だった。漆黒の髪と瞳。彼はコンスタンツェに跪き、手の甲に接吻をして言った。
「サーシャと申します。コンスタンツェ殿下にはこれから六日間、私に御身をお任せいただき、準備を整えていただきたいのです。このかりそめの閨で、私はあなたの奴隷です」
かりそめという言葉が、コンスタンツェの耳に残った。
「この場では、コニーとお呼びいただけませんか」
「コニー様、ですか?」
「ただのコニーと。かりそめにふさわしく、この時間は別の者として過ごしたいのです」
わかりましたとサーシャは頷き、コンスタンツェの身体を軽々と抱き上げた。寝台にそっと彼女を下ろすと、耳元に口を寄せた。
「本日はまだお気持ちが整っておられないでしょう。お身体を拝見することも柔肌に直にふれることもいたしません。ご安心いただければと存じます」
「……はい」
コンスタンツェの返事にサーシャはほっとしたような笑みを浮かべ、頭をそっと撫でた。確かに肌にはふれていない。けれども、サーシャの行動はコンスタンツェの心をひどく乱した。
幼い頃、父王から頭を撫でられることは、コンスタンツェにとってなによりの褒美だった。父王は戦に出ていることが多く、会えることが年に数度しかなかったからである。賜るべきものを奴隷から与えられたことに屈辱を感じているのかもしれない、とコンスタンツェは自分に言い聞かせようとした。だが、彼女の胸が高鳴っているのも事実であった。
サーシャはしばらくコンスタンツェの頭を撫でた後、そのまま彼女の髪を梳くように指を通した。さらさらという音がコンスタンツェの耳に心地よく響く。
「コニーの髪は本当に美しいですね。滑らかで、綺麗な色をしていて」
「私は……自分の髪の色を、好んでおりません」
「なぜですか?」
「サーシャのように高貴な漆黒でも、明るく光り輝く金でも、燃えるように華やかな赤でもない、半端な焦げ茶に価値を見出すことができません」
「母なる大地の色です。豊かで、艶やかで、大変素晴らしい」
サーシャはコンスタンツェの髪にそっとくちづけた。その瞬間コンスタンツェの胸は一際大きくどきんと音を立てた。
サーシャは上目遣いでコンスタンツェの表情を確認するとくすりと笑い、そのままコンスタンツェの髪の先を、彼女の首筋から胸元へとゆっくり走らせる。コンスタンツェに用意された夜着は生地が薄めで胸元も広めに開いているものだったので、彼女は繊細な刺激を余さず拾ってしまった。
「あぁっ……!」
自分でも信じられないほど甘い声が出て、コンスタンツェは恥ずかしさから涙をこぼしそうになった。思わず顔を横にそむけるとサーシャが優しい声で語り掛けてくる。
「声は外には聞こえないようになっています。ご安心ください」
コンスタンツェは諦めてサーシャのなすがままになった。
手のひらで包むように胸にふれられ、コンスタンツェは身を固くした。彼女の豊かな胸をサーシャはしばらく手を廻すようにして愛撫したが、不意に指の腹が乳首にふれた。思わず身体をびくりとさせたコンスタンツェを見て、サーシャは乳頭と乳輪を指の腹で擦り始めた。
恥辱とこれまで得たことのない感覚から、コンスタンツェは細かく身体を震わせ続けていた。不意にサーシャがコンスタンツェに微笑みかける。ほっとしてコンスタンツェの力が抜けた刹那、サーシャは乳首を摘まんだ。薄絹越しとはいえ充分な刺激で、快感からコンスタンツェは思わず嬌声を上げた。
「あっ……あぁん……!」
閨教育なのだから、むしろ正しい反応を示せているはずだ、そのように自分に言い聞かせながら、コンスタンツェはサーシャに小さな声で問う。
「サーシャ……これで、よいのです、よね……?」
「ええ。きちんと受け止めておられます」
サーシャは約束を守り、肌に直接ふれることはない。けれども、直接ふれられないことが却ってもどかしく、コンスタンツェは己の身体が焦れていると悟った。
下着をじっとりと濡らしてしまったことにコンスタンツェが気づいた時、サーシャは彼女に言った。
「今宵はここまでにいたしましょう。私はまた明日、同じ頃に参ります」
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