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41. 理由 ②
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ジェラールは少し遠い目をし、それから自分の手をじっと見た。
「どうかした?」
「プロシオンにとって俺は、俺の両親ときょうだいを殺した魔獣と同じだ」
不意に風が止まり、リリアンの背を汗が流れる。リリアンは思う。風がこの重い空気を吹き飛ばしてしまえばいいのに、と。焦りを表情に出さないようにしなければ、と思わず腰巻にふれる。なんだか少し気持ちが落ち着いたので、リリアンはなるべくさりげなさを装って言った。
「でも、ジェラールがシリウスを倒したのは駆除を依頼されたからで、理由があるわ」
「魔獣にだって、俺の家族を殺した理由は、きっとあった。俺に理解できないような理由が。母犬を殺した奴らにも、理由はあったんだろう。『たまたま弱そうな個体が目について、暇つぶしに嬲りたくなった』くらいの、クソみたいな理由が」
リリアンは口を閉ざした。彼女はもはや口にする言葉を持たない。
「理由なんて、やられた側からしてみれば……どうだっていい」
返す言葉はなくても、せめてジェラールが伝えたいことを受け取ろうと、リリアンは彼の目を見つめた。ジェラールの焦げ茶色の瞳が、なんだかいつもよりも煙って見える。
「俺は戦うことしかできない。生きるために魔獣を狩り、金に換え、食った。それが家族の復讐になると思っていた。だが……よくわからなくなっている」
ジェラールは黙ってしまった。リリアンは彼の言葉の続きをただただ待つ。
「俺はプロシオンの家族を理不尽に奪った。責任を取りたい」
「責任?」
「プロシオンが安心して暮らせるようにしたい。俺に言えた義理ではないのだろうが」
アニエスが籠に山盛りの茸と山菜を抱え、プロシオンと一緒に戻ってきた。気づけば半刻近く経過している。
「あ……アニエス、プロシオン、おかえりなさい!」
「プロシオンが穴場を見つけてくれたから、とても捗った」
「プロシオン、偉いわね!」
リリアンが褒めると、プロシオンは誇らしげにしっぽをピンと立てる。撫でてやると嬉しそうに瞼を閉じた。
「プロシオン、偉いな」
ジェラールが声を掛けても、プロシオンはフンッと鼻を鳴らし、そっぽを向く。
「ずいぶん辛気臭い顔してるね、ジェラール」
「ブノワ、ようやく来たか」
「ごめんね、待たせて。じゃあ行こうか」
「ああ……」
リリアンは二人を笑顔で見送る。だが、話を聞いた後でジェラールに狩りをさせるのは酷ではないかと、内心はいたたまれなかった。
「どうかした?」
「プロシオンにとって俺は、俺の両親ときょうだいを殺した魔獣と同じだ」
不意に風が止まり、リリアンの背を汗が流れる。リリアンは思う。風がこの重い空気を吹き飛ばしてしまえばいいのに、と。焦りを表情に出さないようにしなければ、と思わず腰巻にふれる。なんだか少し気持ちが落ち着いたので、リリアンはなるべくさりげなさを装って言った。
「でも、ジェラールがシリウスを倒したのは駆除を依頼されたからで、理由があるわ」
「魔獣にだって、俺の家族を殺した理由は、きっとあった。俺に理解できないような理由が。母犬を殺した奴らにも、理由はあったんだろう。『たまたま弱そうな個体が目について、暇つぶしに嬲りたくなった』くらいの、クソみたいな理由が」
リリアンは口を閉ざした。彼女はもはや口にする言葉を持たない。
「理由なんて、やられた側からしてみれば……どうだっていい」
返す言葉はなくても、せめてジェラールが伝えたいことを受け取ろうと、リリアンは彼の目を見つめた。ジェラールの焦げ茶色の瞳が、なんだかいつもよりも煙って見える。
「俺は戦うことしかできない。生きるために魔獣を狩り、金に換え、食った。それが家族の復讐になると思っていた。だが……よくわからなくなっている」
ジェラールは黙ってしまった。リリアンは彼の言葉の続きをただただ待つ。
「俺はプロシオンの家族を理不尽に奪った。責任を取りたい」
「責任?」
「プロシオンが安心して暮らせるようにしたい。俺に言えた義理ではないのだろうが」
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「あ……アニエス、プロシオン、おかえりなさい!」
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「プロシオン、偉いな」
ジェラールが声を掛けても、プロシオンはフンッと鼻を鳴らし、そっぽを向く。
「ずいぶん辛気臭い顔してるね、ジェラール」
「ブノワ、ようやく来たか」
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「ああ……」
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