【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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第三章 夜の道で、僕を呼び出した君は。

15.

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『今、どこにいるの?』

 ラインでの笑香の問いかけに、僕はあらためて遠くを見た。
 あれはさすがにまずかった。自身が最低のクズ野郎だとは重々承知しているが、いくら何でもあれはない。

『今朝はごめん。僕が悪かった』
『もういいよ。家にいないよね?』

 すぐに返信が来る。
 僕は喜びを噛みしめた。こんなにも自然に笑香と連絡が取れるようになるなんて、今まで思ってもいなかった。
 深い感慨にひたりながら、図書館の前にあるベンチに腰かけた。

『今、区立図書館。朝の件?』
『そう。人がいないところで話をしたいんだけど』

 意味深な言葉だ。

『わかった。それじゃ学校に来てくれ。生徒会室が使えると思う』

 僕がそう提案すると、しばらく間をおいて返事が来た。

『わかった、すぐ行くね』

 僕はそれだけ確認すると、すわっていたベンチから立ち上がった。

     *

 誰もいないことを確認し、僕は私服姿の笑香を生徒会室にまねき入れた。興味津々といった様子で笑香が部屋の中を見回す。

「思ったよりせまいね」
「資料室もかねてるから」

 広さは教室の半分くらいで、淡いグレーの絨毯が敷かれ、会議用のテーブルといす、各役員専用のロッカーが設置されている。壁にはキャビネットが並び、年代物のファイルがぎっしりとつまっていた。

 水曜は定例の会議があり、木、金はひまな先輩がいすわっていることもあるのだが、週明けの放課後はたいてい誰も使っていない。それをいいことに無人の時は僕が一人で仕事がてら、過去の資料をひっくり返していたりする。
 昔の事業報告書や、決算報告書をつき合わせて会議の議事録を確認すると、不審な繰り越し金の流れや各部の過去のいさかい等、色々とわかって参考になるのだ。

「時間は大丈夫なのか?」

 僕がたずねると、笑香はにっこり笑って答えた。

「今日、お父さんいないし。お母さんに出かけるって言ったら、史郎君にあやまっておいてって言われた。もしよかったら一緒に夕飯を食べに来いって。……ちょっと言いすぎたって思ってるみたい」

 僕は複雑な心境でテーブルの上に荷物を置いた。カバンの中から買っておいたスポーツドリンクのボトルを取り出す。

「おばさんがあやまることはないよ。心配はもっともだと思うし」

 一本を笑香に手渡して、言いながら自分のボトルを開ける。笑香は受け取った飲物を片手にきょとんとした顔で僕を見た。
 僕は一瞬、どきりとした。

「なんだよ? 別に、毒なんか入ってないぞ」

 動揺を隠しながら言うと、笑香はくすくすと笑いだした。

「何だか変な気分……。史郎君、優しいんだもの。ちゃんと今朝のことも謝ってくれたし、時間とか気にして常識的だし」

 僕は笑香を見返した。何か言ってやりたいが、まったく言葉が出てこない。
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