【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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第四章 文化祭

26.

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 いつもは白い病室にオレンジ色の残光が満ちている。昨日までいた大学生も荷物を抱えて退院し、がらんとした広い部屋には僕一人だけが残っていた。
 笑香が僕の前にいる。

「……久しぶり」

 小さな声に無言でうなずく。
 今日は土曜日のはずなのに、笑香は学校の制服を着ていた。
 文化祭の夜以来、僕達が直接会うことはなかった。この一週間、ラインや電話で短くやり取りするだけで、僕も笑香も肝心なことはお互い口に出さなかった。

「今日は大丈夫なのか?」

 そう僕がたずねると笑香は柔らかく微笑んだ。その表情は大人っぽくて、たった一週間会わない間に何だかきれいになったようだ。
  僕はさりげなく目を伏せて、まともに視線を合わせずにすませた。

「お母さんがいいって。史郎君に会って来なさいって言われたの」

 僕はベッドにすわったままで、自分の口元に力を入れた。

「すわれよ」

 言うと、笑香がいすに腰を下ろす。僕達はそのまま口をつぐんだ。
 どうやって話せばいいのかわからない。聞きたいことがたくさんあったはずなのに。それは笑香も同じようで、僕達は唇を閉じたまましばらく夕焼けの中にいた。
 僕はあきらめて口を開いた。

「──五組で何があったんだ」

 笑香はぱっと顔を上げた。しいて明るい口調で答える。

「やっぱり、いろいろ聞かれちゃった。なんでそんな目にあったの、とか。あの史郎君がケンカしたって、一体どうやったの? とか」
「大西が学校に来たって?」

 鋭く僕が切り出すと、再び沈黙が落ちた。
 笑香がぽつりと言った。

「教室で、ほかの友達と話してた時に美優が入って来て……。『全部自分がやったことだ』って。『私が出会い系サイトを使って、笑香のうわさを拡散した』って……」

『柿崎が出会い系サイトで援交してたってうわさが広まってな。一時期、そのトラブルにお前が巻き込まれたらしいって話になってて……大変だったぜ。結局柿崎も親と一緒に学校に呼び出されたみたいだし。どうしたもんかと思ってたら、ずっと休んでた大西が私服で学校に来て──』

 僕が新保から聞いた、笑香が僕に話さなかった学校内の当時の状況。

『大西がえらい剣幕でまくしたてたみたいだぜ。全部自分がやったことだって。自分は前から柿崎が大っ嫌いだった、だからやってやったんだ、ってな。そのままの勢いで退学届けを叩きつけたらしい。それで柿崎に一気に同情が集まって、とりあえずそっちは落ち着いたみたいだけど。……だから言っただろ? 一組は授業どころじゃないって』
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