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第二章 バレた後
22.
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彼はジャージのポケットからスマホを取り出し、操作した。どうやら雄基と通じたらしく、耳に押しつけて会話を始める。
「……ああ。今どこにいるんだ? 来てるぞ、例の彼女だろ? 何でって──知るか、自分で聞け」
それだけ言ってスマホを離し、にっこりと完璧な笑顔を見せる。
「すぐに原が来るってさ。ちょっとそこで待っててくれ」
イケメンはみのりに背中を向けるとすたすたベンチへ歩いて行った。そして一人グラウンドに残っていた小柄な男子に話しかける。
フェンスの向こうで二人が何か話し合っている姿を、みのりはじっと見つめていた。小柄な男子が腕組みをしてみのりの方をながめている。
その時、背後から声がした。
「──なんでいるんだ」
どこか怒った響きをふくんだ、だいぶ聞き慣れた低い声。
みのりは振り向き、彼を見上げた。今日はどうやら部活動には参加していなかったらしく、制服姿のままでずいぶんあせった表情をしている。
みのりは腰に手を当ててふんぞり返った。
──ざまあみろ、思い知ったか。
友達の前で異性に待たれる羞恥プレイを実践してやり、やっと今までの溜飲が下がる。あの時自分が受けたはずかしめを、彼も存分に思い知ればいいのだ。
「こうでもしないと雄基君、私に会ってくれなそうだったし。もしかしたら家にいるのかも、とはちょっと考えたんだけど。でも、もう今の雄基君じゃ私には引きずり出せないでしょ?」
雄基は深々とため息を吐き出した。
「そんなの昔の話だろ。普通にラインに残してくれれば……今日は図書館の中にいたから、スマホに気がつかなかっただけで」
みのりは口元をへの字に曲げた。
「うそばっか。お友達からの電話にはすぐに気がついたじゃない。だいたい、昨日だって無視してくれて──」
「ちょうど図書館から出るところだったんだ。昨日は中を見る勇気がなかったんだよ! だいたい、今さらなんで──」
言いかけた言葉が途中で止まる。視線がみのりの背後へ動き、みのりもそのまま振り向いた。
グラウンドから出て来た二人が雄基のそばへとよって来た。見事なまでの痴話ゲンカの現場を友達に思いっきり押さえられ、雄基がばつの悪そうな顔をする。
小柄な男子が先に立ち、雄基を見上げて口を開いた。
「お前、元気だな。明日の練習には出ろよ。──彼女できたなんて聞いてねえぞ」
「……ああ。今どこにいるんだ? 来てるぞ、例の彼女だろ? 何でって──知るか、自分で聞け」
それだけ言ってスマホを離し、にっこりと完璧な笑顔を見せる。
「すぐに原が来るってさ。ちょっとそこで待っててくれ」
イケメンはみのりに背中を向けるとすたすたベンチへ歩いて行った。そして一人グラウンドに残っていた小柄な男子に話しかける。
フェンスの向こうで二人が何か話し合っている姿を、みのりはじっと見つめていた。小柄な男子が腕組みをしてみのりの方をながめている。
その時、背後から声がした。
「──なんでいるんだ」
どこか怒った響きをふくんだ、だいぶ聞き慣れた低い声。
みのりは振り向き、彼を見上げた。今日はどうやら部活動には参加していなかったらしく、制服姿のままでずいぶんあせった表情をしている。
みのりは腰に手を当ててふんぞり返った。
──ざまあみろ、思い知ったか。
友達の前で異性に待たれる羞恥プレイを実践してやり、やっと今までの溜飲が下がる。あの時自分が受けたはずかしめを、彼も存分に思い知ればいいのだ。
「こうでもしないと雄基君、私に会ってくれなそうだったし。もしかしたら家にいるのかも、とはちょっと考えたんだけど。でも、もう今の雄基君じゃ私には引きずり出せないでしょ?」
雄基は深々とため息を吐き出した。
「そんなの昔の話だろ。普通にラインに残してくれれば……今日は図書館の中にいたから、スマホに気がつかなかっただけで」
みのりは口元をへの字に曲げた。
「うそばっか。お友達からの電話にはすぐに気がついたじゃない。だいたい、昨日だって無視してくれて──」
「ちょうど図書館から出るところだったんだ。昨日は中を見る勇気がなかったんだよ! だいたい、今さらなんで──」
言いかけた言葉が途中で止まる。視線がみのりの背後へ動き、みのりもそのまま振り向いた。
グラウンドから出て来た二人が雄基のそばへとよって来た。見事なまでの痴話ゲンカの現場を友達に思いっきり押さえられ、雄基がばつの悪そうな顔をする。
小柄な男子が先に立ち、雄基を見上げて口を開いた。
「お前、元気だな。明日の練習には出ろよ。──彼女できたなんて聞いてねえぞ」
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