蛮族嫁婚姻譚その1:魔術師領主と押し付けられた嫁

ぎんげつ

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氷原の白い猫

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「パルヴィ、これは……」

 夜、パルヴィが寝静まった頃を見計らって、ベッドに入ったはずだった。ベッドは広いから、端といっても十分に広い。そっと入って寝てしまえば、朝までそのまま別寝のようにぐっすり……なはずだった。
 それが、今、どうしてこうなっている。

「羊の毛刈りは女の仕事だし、旦那様は羊みたいに蹴ったりしないから」 
「羊!?」

 ふふ、と笑ってパルヴィは紐の調子を見る。手首と足首は柔らかい布を使った帯で縛っているから、痛くはないだろう。
 イェルハルドは慌てたようにきょろきょろと視線を動かし、ぶつぶつと何かを呟き始める。だが、すぐにパルヴィが気づいて布の塊を突っ込んでしまう。

「口を塞げば魔術は使えないって聞いたの」

 もごもごと言葉にならない声を漏らしながら、イェルハルドは布を吐き出そうとする。だが、パルヴィにすぐに押し込まれ、目に絶望の色を浮かべる。
 嬉々として夜着の前合わせを解くパルヴィからどうにか身を捩って逃れようとするが、四肢を抑えられてはままならない。

「旦那様、私たちもう儀式も契りも済ませた夫婦なんだし、せめて息子を産むまでは子作りがんばらなきゃいけないんだからね。私が気に入らなくて第二夫人を迎えるにしても、それからにしてもらわないと困るの」

 ひと際大きく呻き声をあげるイェルハルドの前を完全に開いて、ぐいと下着をずり下げた。現れたそれはくたりと萎れていて……首を傾げてしばし考えたパルヴィは、自分の夜着も脱ぎ捨てると、ベッド横から瓶を取り、とろりとした香油をそこに垂らした。

「今は胸も腰も薄いけど、旦那様が可愛がってくれれば、私もすぐに育つから。そしたらダメじゃなくなるでしょ? だから大丈夫」

 相変わらず力のないそれに、香油を擦り込むように手を添えてゆっくりと動かしはじめた。すぐに鎌首をもたげるように勃ち上がり、固くなりはじめた感触を確かめて、パルヴィはにんまりと笑う。
 喉を詰まらせたようなくぐもった声を漏らし、イェルハルドが顔を顰めた。

 完全に勃ち上がったところで、イェルハルドの脚を跨ぐように上に乗ったパルヴィが屈みこみ、その先端にキスをした。

 大きく目を見開いたイェルハルドは、どうにか逃れようとますます身体をバタつかせる。だが、やはりしっかりと結ばれた紐に阻まれてしまう。
 きしきしと軋む紐は意外にもしっかりと結ばれていて、外れる気配がない。

 ぱくりと口を開けたパルヴィは、先を吸い込むように含んだ。それから、どうやるんだっけと……あの、教会の書物に描かれていたものを思い出そうとじっと考え込む。
 歯を当ててしまったら、多分痛いだろう。
 男のこれはたいへんにデリケートなモノなのだと、母からも姉からも聞いている。だから、触れる時は優しく扱わなくてはいけないのだと。

 イェルハルドの表情を伺うように、ちらりと上目遣いに見やれば、顔を真っ赤にして目を剥いてパルヴィを見ていた。
 むうむうと唸り続けてはいるが、パルヴィがそっと舌を這わせると、びくりと身体が動いてキリと布を噛み締める。

 どうやら感じてくれているようだ。

 どんな風にすればイェルハルドが悦ぶか。
 表情と反応を伺いつつ、なおも舐めたり咥えたり擦ったりを繰り返す。どのあたりをどのくらいの力で締め付ければいいのかを探りながら。

「ん、う、んん……」

 堪え切れないていで次第に声が大きくなり、イェルハルドは余裕をなくしているようだ。そろそろいいだろう。

 いつもの、澄まして落ち着いているイェルハルドと今のようすはまるで違う。
 そのことにパルヴィ自身も興奮したのか、脚の間がなんだかむずむずと落ち着かなくなっている。手を伸ばして触れてみると、甘い痺れが背を突き抜けるように走った。指先にぬるりとした感触がして、くちゅりと音が立つ。
 十分に潤ってもいるようだし、これなら大丈夫だろう。
 イェルハルドだって、もうすっかりかちかちに固く大きくなっている。先からは露も滲んで、普段の体温よりずっと熱い。

「旦那様、これならちゃんとできるよね」

 にっこり笑って身体を起こすパルヴィに、イェルハルドが鼻からふうふうと荒い息を吐いて頭を振った。胸は大きく上下して、ほんのりと汗ばんでもいる。

「旦那様、ここは、男も感じるところだって聞いてるの」

 パルヴィが、イェルハルドの胸の先の小さな塊に指をのばす。
 そっと転がすように触れて、それから顔を寄せて口に含む。
 ぴくぴくと筋肉が動く。
 イェルハルドの息が速くなる。

 もう片手を伸ばして、さらにイェルハルドの猛りを握る。ややきついほうが反応がいいからと、少し力を込めて握り締め、しっかりと手を動かす。
 本当ならもっといろいろな技巧があるのだろうが、あいにく、書物で併記されていた文字はさっぱり読めなかった。これ以上を知るためにも、きちんと文字を習ったほうがいいだろう。

「旦那様、どう?」

 目を剥いてぶんぶん首を振るイェルハルドに、パルヴィは口を尖らせる。

「旦那様のここ、こんなに元気なんだから、“その気になった”ってことだよね」

 たらたらとこぼれ出す雫でくちくち音が立つ。手の中で震える先端を親指で押すように撫でると、イェルハルドの腰がびくんと反応した。
 心なしか、イェルハルドの腰が落ち着かなげに動き始めている。
 パルヴィの脚の間からも、たらりと蜜が垂れ落ちる。

 これだけしっかりと固く勃ち上がったのだから、もう大丈夫だろう。
 パルヴィは腰を上げて自分のそこにイェルハルドをあてがうと、ゆっくりと腰を落としていった。
 最初はぬるりと滑って逃げていたイェルハルドの猛りも、うまく入り口に引っ掛かった後はおとなしく納められていった。
 痛みはほとんど無いが、圧迫感はかなり感じる。お腹の奥を押される不快感もある。けれど、それ以上に満足感が大きい。
 イェルハルドはぎゅっと目を瞑ったまま、布をぎりぎりと噛み締めている。

「入った」

 パルヴィとイェルハルドの股がぴたりとくっついた。パルヴィはにっこり笑い、はあ、と大きく吐息を漏らす。

「ほら、旦那様。私、ちゃんと子作りもできる大人なの」

 擦り合わせるように腰を動かすと、イェルハルドの腰がまたびくりと大きく跳ねた。顎を突き出すように首を逸らす。
 こすり合わせるたびにイェルハルドが内に当たり、パルヴィの背にぞくぞくぴりぴりする感覚が走って、「あん」と声が漏れる。蜜がどんどん溢れ、滑りがよくなって、ぐちゅぐちゅという水音も大きくなる。
 中でびくびくと震えるイェルハルドを感じ、自然に力が入ってしまう。屹立をきついくらいに締められて、ぐ、とイェルハルドの喉が鳴った。キシキシと布を噛み締める音がかすかに聞こえる。

 腰を浮かして落として、円を描くように擦り付けて、次第にパルヴィも落ち着かなくなってきた。イェルハルドの擦れる場所に、もっともっと刺激が欲しくなる。

「……あ、旦那様、私も、気持ちよくなって、きたの」

 パルヴィは、あ、あ、と声を上げて腰を擦り合わせる。イェルハルドの動きも、次第にパルヴィを突き上げようとするものに変わっていく。
 もどかしさに焦れるように、イェルハルドの目が細められる。

「パルヴィ……っ」

 いつの間にか、ようやく布を吐き出せたのか、イェルハルドが掠れる声で呼んだ。はあはあと荒く息を吐いて汗を滲ませて、もう一度「パルヴィ」と呼ぶ。

「んっ……旦那様……っ」

 パタリと身体を倒してしがみつくパルヴィを、不自由ながらもどうにか突き上げて、イェルハルドが「縄を解くんだ」と囁いた。

「でも」
「逃げないから。このままだと、君も半端なままだろう」

 確かに、パルヴィだけではいまひとつうまく動けず、このままだと生殺しかもしれない。もう少し強い刺激が欲しいのに、どうもうまくできない。

「パルヴィ、解くんだ」

 息を切らせて繰り返すイェルハルドに、パルヴィはやっと頷いた。身体をずり上げて片手を伸ばした拍子に、くぽんとイェルハルドが抜け落ちた。

 紐を解くのは簡単だ。もともと、毛刈りで暴れる羊を抑えるための結びだ。毛刈りを終えた羊をすぐに放てるよう、片手で端を引くだけで解けてしまう。
 ようやく両手が自由になったイェルハルドが身体を起こした。パルヴィを抱き込み引き寄せ、腰を落とさせて、軽く数度突き上げる。
 奥を抉るように腰を押さえて回せば、パルヴィは声を上げて仰け反った。
 その喉にキスをすると、イェルハルドは二言三言呟き指を閃かせ、足首の戒めも解いてしまう。ようやく自由になった身体を捻り、くるりと位置を入れ替えて、パルヴィを自分の下に組み敷いた。

 こんなに小さな娘相手なのに、止まらない。

 ちゅ、ちゅ、とキスをしながらイェルハルドはぼんやりと考える。
 自分には幼い娘を相手に欲情するような嗜好は無かったはずなのに、どうしてだか止められない。

 興奮しきったまま腰を振るイェルハルドを、パルヴィの内襞がぐねぐねと蠢いてぎゅっと締め上げる。
 昨日と今日ですっかり馴染んでしまった隘路は、イェルハルドがぴったりと納められている。顔を真っ赤にして悶えるパルヴィは、とても十三には見えない表情で……イェルハルドへと向けたとても嬉しそうに微笑みに、束の間、注意を奪われてしまう。
 そっとキスをすると、パルヴィが「旦那様」と小さく呟く。
 もっとをねだるように腕を絡め、イェルハルドの頭を引き寄せようとする。

「パルヴィ……」

 その仕草がとてもかわいくて、イェルハルドはまたそっと唇を合わせた。
 誘うようにちろちろと差し出された舌を搦め捕る。じっくりと口の中を擽ると、パルヴィが気持ちよさそうに目を細める。
 その表情が、やっぱり猫のようだと思う。

 気まぐれなのかなんなのか、どうにも行動が読めず、こちらの常識が通用しない野生の猫だ。
 なのに、本当に義務感だけなのかと思うほど、懸命にイェルハルドを追いかけて捕らえようとする。
 猫が鼠を追い詰めるように。

 ――ああ、パルヴィは、さながら氷原に棲まう真っ白な雪虎か何かといったところか。自分は雪鼠か雪兎のように、捕らえられてしまったのか。

 は、は、とどんどん呼吸が浅くなる。
 イェルハルドの顔からぽたりと汗が滴って、パルヴィの頰を濡らす。
 はくはくと喘ぎながらしがみつくパルヴィを抱き締めて、イェルハルドは強く腰を叩きつけた。
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