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第4章*せめて瞳をそらさないで
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カッコつけて先に図書室をでたけど、気になってまっすぐ帰る気になれなかった。
今日は木曜日。サトシはバイトだ。
つまり、合流ってわけにもいかず、気を紛らわすそのすべがない。
とりあえず家に帰ったけど、マルを思い出しながら、我が家の猫をなでてばかりいた。
猫用のおやつを、ノドをなでながら食べさせた。
すり寄って、肩のあたりまでのぼってくる。なでてと言わんばかりに背中を伸ばした。
マルにも、これくらいの積極性が欲しいものだ。
さすがに食べ物じゃここまで釣られてはくれないだろう。
まあ、あんまり近くに寄られると、イロイロとがまんするのが大変なんだけど。
「龍、帰ってたのか?」
出かける前の下のアニキが、二階から降りてきた。
「今日は早いのな」
最近は図書室に寄って帰るから、サトシがバイトの日でも帰りが遅かった。
兄の圭を見て、ふと思いたった。圭も卒業生だ。
「なぁ…圭。玉木って人知ってる?」
大学2年といっていたから…
「圭の、一つ下の玉木…」
「篤弘?」
圭が後を引き取っていう。
「そう!!…どんな奴?」
さすがに副生徒会長だけあって、圭も知ってる様子だ。…俺は知らなかったけど。
「なつかしいな!!変に落ち着いてて、みんなに頼られてたよ」
顔をクシャっと崩して笑う。その様子は単に名前がわかる以上の親密さがあった。
「親しかったのか?」
圭はうんうんうなずいて、言葉を続けた。
「バスケ部で一緒だった」
なるほど。たしかに、色白だけどしまった体だったな。
「篤弘がどうした?」
「今日…学校で会ったんだよ。図書室で」
へぇっとうなずいて、そういえば…と続けた。
「本よく読んでたな」
「圭の時は、図書室の先生はマル…チョビだった?」
圭が眉をひそめた。その顔は少し父に似ている。
「マル?チョビ?いや、魔女ってあだ名のわし鼻のおばさん」
じゃ、玉木さんが3年で、俺が入学した年にマルも赴任して来たのか。
「なになに?図書室の先生、いい女なの!?」
確かにいい。…肉付きが。
口を開こうとしたら…
「リュウちゃん!?もうだめよ!?」
歳よりだいぶ若く見える母が、話に乱入した。
「………ハイ」
さんざん迷惑をかけた俺は、返事をするしかなかった。
横で圭が爆笑してるのを、こっそり足で蹴った。
「リュウちゃん!!自業自得でしょっ!?」
のを、バッチリ見られた。
「まぁまぁ、母さん。リュウだって、同じアヤマチは犯さないって。なっ!?」
圭が振り向いて笑顔で言ったたけど。
「………」
やましさ満載の俺は、今度は返事が出来なかった。
「…マジかよ」
また圭が笑う。母さんは怖い顔のまま、固まっている。
「ちがう。片想いだし、相手にされてない」
くそ。自業自得とはいえ、なんで家族の前でマルへの想いを述べないといけないんだ。
玉木さんにも言わずに来たのに!!
「でも…本気なんだ」
圭が笑うのをやめて、ちょっと息をのむのがわかった。
母さんの顔もいっそう険しくなった。
「余計…悪いじゃない」
そこから、母さんの尋問が始まる。
「歳は?」
「独身?」
「どんな人?」
些細な質問は、更に詰問に変わっていった。
「普段どんな服装?」
つまり、露出して誘惑してないかってこと。
「何年くらい勤めてるの?」
つまり、去年の騒動を知ってるかってこと。
わかってる。去年心配をかけた俺が悪い。
一つ一つ、根気強く答えていく。
「マルは…去年のこと知ってる」
ふぅっとため息が唇からもれた。
母さんが、質問をやめて無言で話をうながした。
「でも、だからじゃなくて、ただ、からかってるだけだと思ってるみたい」
今度は圭が口を開いた。
「もう告ったってこと?」
あ…不自然な沈黙に、母さんが目を光らせた。
「リュウちゃん?隠し事はなしにして」
「…無理矢理…キスした」
そう、無理矢理だ。マルは、2回とも涙目だった。
今日は木曜日。サトシはバイトだ。
つまり、合流ってわけにもいかず、気を紛らわすそのすべがない。
とりあえず家に帰ったけど、マルを思い出しながら、我が家の猫をなでてばかりいた。
猫用のおやつを、ノドをなでながら食べさせた。
すり寄って、肩のあたりまでのぼってくる。なでてと言わんばかりに背中を伸ばした。
マルにも、これくらいの積極性が欲しいものだ。
さすがに食べ物じゃここまで釣られてはくれないだろう。
まあ、あんまり近くに寄られると、イロイロとがまんするのが大変なんだけど。
「龍、帰ってたのか?」
出かける前の下のアニキが、二階から降りてきた。
「今日は早いのな」
最近は図書室に寄って帰るから、サトシがバイトの日でも帰りが遅かった。
兄の圭を見て、ふと思いたった。圭も卒業生だ。
「なぁ…圭。玉木って人知ってる?」
大学2年といっていたから…
「圭の、一つ下の玉木…」
「篤弘?」
圭が後を引き取っていう。
「そう!!…どんな奴?」
さすがに副生徒会長だけあって、圭も知ってる様子だ。…俺は知らなかったけど。
「なつかしいな!!変に落ち着いてて、みんなに頼られてたよ」
顔をクシャっと崩して笑う。その様子は単に名前がわかる以上の親密さがあった。
「親しかったのか?」
圭はうんうんうなずいて、言葉を続けた。
「バスケ部で一緒だった」
なるほど。たしかに、色白だけどしまった体だったな。
「篤弘がどうした?」
「今日…学校で会ったんだよ。図書室で」
へぇっとうなずいて、そういえば…と続けた。
「本よく読んでたな」
「圭の時は、図書室の先生はマル…チョビだった?」
圭が眉をひそめた。その顔は少し父に似ている。
「マル?チョビ?いや、魔女ってあだ名のわし鼻のおばさん」
じゃ、玉木さんが3年で、俺が入学した年にマルも赴任して来たのか。
「なになに?図書室の先生、いい女なの!?」
確かにいい。…肉付きが。
口を開こうとしたら…
「リュウちゃん!?もうだめよ!?」
歳よりだいぶ若く見える母が、話に乱入した。
「………ハイ」
さんざん迷惑をかけた俺は、返事をするしかなかった。
横で圭が爆笑してるのを、こっそり足で蹴った。
「リュウちゃん!!自業自得でしょっ!?」
のを、バッチリ見られた。
「まぁまぁ、母さん。リュウだって、同じアヤマチは犯さないって。なっ!?」
圭が振り向いて笑顔で言ったたけど。
「………」
やましさ満載の俺は、今度は返事が出来なかった。
「…マジかよ」
また圭が笑う。母さんは怖い顔のまま、固まっている。
「ちがう。片想いだし、相手にされてない」
くそ。自業自得とはいえ、なんで家族の前でマルへの想いを述べないといけないんだ。
玉木さんにも言わずに来たのに!!
「でも…本気なんだ」
圭が笑うのをやめて、ちょっと息をのむのがわかった。
母さんの顔もいっそう険しくなった。
「余計…悪いじゃない」
そこから、母さんの尋問が始まる。
「歳は?」
「独身?」
「どんな人?」
些細な質問は、更に詰問に変わっていった。
「普段どんな服装?」
つまり、露出して誘惑してないかってこと。
「何年くらい勤めてるの?」
つまり、去年の騒動を知ってるかってこと。
わかってる。去年心配をかけた俺が悪い。
一つ一つ、根気強く答えていく。
「マルは…去年のこと知ってる」
ふぅっとため息が唇からもれた。
母さんが、質問をやめて無言で話をうながした。
「でも、だからじゃなくて、ただ、からかってるだけだと思ってるみたい」
今度は圭が口を開いた。
「もう告ったってこと?」
あ…不自然な沈黙に、母さんが目を光らせた。
「リュウちゃん?隠し事はなしにして」
「…無理矢理…キスした」
そう、無理矢理だ。マルは、2回とも涙目だった。
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