最初に好きになったのは…声

高宮碧稀

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第6章*もっと…笑ってみせて?

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「…だって、オススメでしょ?」
好きじゃない本勧めねーだろ?
玉木さんの言いたいことが見えない。
「…本当に好きな本…生徒にすすめてないって…」
恥入った様子で、小さくない体を縮めてる。
その控えめな様子も手伝って、胸が高鳴る。
それって…
「…『トクベツ』って、コト?」
マルは、いっそうぎゅっと目をつぶってる。
それは、たぶん肯定の意味で…
ヤバい。これはかなり恥ずかしい。
マルの首に触れていない方の手で、まだかぶっていたタオルをつかんで…ばふっとマルにかぶせた。
びっくりさせて悪いけどさ。
「ごめん、マル。顔見ないで」
とっさにタオルに手を伸ばしたのを目にして、マルに告げた。
「顔赤いとかじゃなくて…」
いや、それもかなりあるけど。
「マルの顔直視できないし、俺の顔…絶対ニヤケててみっともない」

マルがぴたりと手をとめた。
タオルをかけたから見えないけど、もう目を開けているかもしれない。
「…でも、一人の生徒を特別扱いするなんて、いけないことでしょう?」 
そういって、タオルからそこだけのぞいてる唇を、キュッとかんでしまう。
まぁ、ね。去年のこともあるし…
「ちゃんと、卒業まで…生徒じゃなくなるまで待つから」
困らせないよう気をつけるから。

だから、もっと…
もっと、笑ってみせて? 

「ちょっとだけ『トクベツ』扱いしてよ」
決してたおやかじゃないマルの首から、そっと手をはずす。
「それが…恋愛とかじゃないって、ちゃんとわかってるよ」
そんな風に見られてないって、わかってるつもり。
いいんだ。今から振り向かせるから。 
「でも…俺が、マルをかなり『トクベツ』に思ってんだから…」
マルのそこだけ見える唇が、“えっ”って形にかわった。
あれ?それすらご存じない?
「思ってんの!!だから…ちょっとくらい、俺にツラレてよ」
そんな無理を言う俺に… マルはちょっと絶句して。
その後…唇だけで、歯を見せて笑った。

うん、そう。
お願いだから、もっともっと、笑っていて…

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