最初に好きになったのは…声

高宮碧稀

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第6章*もっと…笑ってみせて?

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「…えっ!?」
びっくりされた。わかるけど、恥ずかしいからさっさと答えてよ。
「…どこ?」
重ねて聞いたら、訳が分からないという顔をしながらも、一生懸命考えている。
「えっと、手も腕も髪もダメでしょ?」
うん、知ってる。よく触られてるよね。
「二の腕もダメだし、背中も鼻もほっぺもダメだし」
…それは見たことない。ムカツク。

困った顔のマルは、しばらく悩むような表情を見せた後、なぜかまた頬を赤らめた。赤面症?
「………」
ないのかよ。
「…どこ?」
もう一回、聞いてみる。
「えっと…あの「どこ?」」
俺、しつこい?
「あの…くっ首!!」
俺…しつこい性格で良かった!!
ついでに、マルが押しに弱くて良かった!!
あとは、他の男に押されないように、見張っておかないと…なんて思う。

「首ね」
確認して、手をのばす。緊張した…手を。
マルも緊張してる。ちょっと身を引いた。
「…ヤじゃ、ないんでしよ?首」
そういって、かまわずさらに手を伸ばした。
マルの肩までの髪が、先に手に触れる。
それだけでドキッとして、ちょっと手をとめた。
その髪をくぐって、更にほんの1、2センチ。
熱をもった首筋に、そっと触れた。
「……ンッ…」
鼻から抜けるような吐息が、マルから放たれてクラクラする。
どんな女のそんな吐息を聞いても、したことないってくらいドキドキした。
恥ずかしくて正視できずに、斜め下に目線を下げた。
顔をふせた瞬間。
マルの泣きそうな顔が焼き付いて、すっげぇそそられた。
でも、卒業までがまん。がまん。がま、ん。
…なんで“本気だとわかってもらうまで”にしなかったんだ?俺のバカ。

そっと、そっと首筋をなでながら、ちょっとかすれた声を出した。
「続き」
「…ぇっ!?」
マルの声なんか、もっとかすれてて、ちょっとホッとした。
当たり前だけど、緊張してんのは、俺だけじゃないみたい。
「だって、玉木くんが…だろ?玉木さんが、何?」
マルが息をのむのがわかった。
「おっおこ…「怒んない」」
マルの言葉を引き取って告げながら、ちらっとマルを見た。
「落ち着くようにこうしてんの」
ピタピタと首筋を軽くたたく。
「…むしろ落ち着かないんですけど」
マルの抗議に、笑ってしまう。
すねて曲がった唇。初めて見た。
いろんなマルを見ちゃうと、どんどん諦められなくなる。
茨の道ってヤツだ。なんてことないけど。

「俺が、怒んないように落ち着くためだよ」
そういうと、いっそう口をとがらせて“免疫ないっていったのに”とかつぶやいた。
「だって触られて平気なとこなんでしょ。首」
『自分でそういったじゃん』と切り返すと、ぐっと言葉に詰まる。
「免疫関係ないでしょ。『平気』なんだし」
かまわず続ける。
「で?玉木さんが、何?」
席ひとつ分を、俺がのばした腕がつないでる。
このままマルを見てたら、その隙間をつめてしまいそうになる。
俺はまた、視線を落としてマルの答えを待った。

「玉木くんが…本をっ、本が…」
つっかえ過ぎ。
「篠原くんに貸してるっ、本とかが…」
しどろもどろって、まさにこんな感じのことなんだろうな。
「………しっ、篠原くんを」
「うん。俺を?」
指先が、マルの感触を味わってる。
なかなか離れてくれそうにない。
「……なんでもない」
マル…往生際が悪い。
「そう。ようは、マルって玉木さんの話したかっただけなんだ?」
はぁーっとわざとらしく息をついてみる。
チラッとマルを見ると、あきらかにあせっていた。
「ちがっ、あの…」
怒られるとでも思ってる様子だ。
「あの、篠原くんには、好きな本をすすめてるって…」
赤くなって、目をぎゅっと閉じて、覚悟を決めた感じで一気に言い切った。…かわいいな。オイ。
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