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18. 詐欺師
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雲一つない青空だったのに、雲行きが怪しくなってきた。
掃除機をかけてる私に代わって、カイが洗濯物を取り込んでくれた。
畳みながら、クスクス笑ってるので、理由を聞いてみた。
「なんで、パンティとブラジャーが全部バラバラなんだよ。色までちげぇし」
コイツ、喧嘩を売ってるのか、特売で買うとそうなるんだよ。
上下セットは勝負の時しか着ないんだよ。
そんな風に言葉には出さなかったが、優しく諭してあげた。
「あのね、みんながみんなセットで着ているわけではないんだよ」
「へぇ~そうなんだ、ぜんぜん気が付かなかった」
経験値で判断するな、おばさんはビジュアルより中身で勝負です。
と、言いたかったが自信もないので黙っていた。
そこへ誰かが訪ねてきた。
俺が出ると、ドアを開けに行ったカイが押し黙ったままだ。
ズカズカと男が乗り込んできた。
「誰?元カレ?」
「幼馴染み」
「詐欺師」
私の言葉に「じゃあ、通報しなきゃ」カイがスマホを取り出した。
坂出との親密なスナップ写真を見たカイに、お金を持ち逃げされたことは話したことがある。
坂出晃、元幼馴染で150万をかっさらって消えた詐欺師である。
「あ、待って誤解だから」
「で、なんの用」
「金、返しに来た」
「あっそう、お金置いてさっさと出て行って」
「さっき、詐欺師って」
「有り金全部巻き上げて5年も音信不通で、よく幼馴染なんて言えたね」
「悪いとは思ったけど、絶対返すつもりだったし」
「もういい、言い訳はいいわ、さようなら」
「ちょっといい、すんごく気になっちゃうのよ、誰?、弟はいなかったし、まさか隠し子って、、、わけないか」
指を差すな、指を。カイが見たこともない表情で詐欺師を睨んでます。
「恋人です、結婚を前提で同棲させてもらってます」
おいおい、プロポーズも同棲もしてないぞ。さてはマウント取ったな。
「グッ、・・・させてもらってますって」
「なに!なんか文句あるの!」
「こっちの方が犯罪じゃないかと・・・」
「もう 二十歳だから大丈夫です」
「えっえーーーー、おまえ正気か、俺と1コ違いだから42だぞ、こんなイケメンたらし込んで、何かあやかしの術とか使ったの」
「おじさんは、ゆりっちのことが好きなんですか」
「急になんだよ、おじさんって、ゆりっちって、まっいいか。そうだよ~ぼくちゃんの生まれる前から、ずっと一緒でずっと両想いでさぁ~」
「じゃぁ、なんで5年も放っといたの?」
「・・・」
「あんたに言う必要があるの?大人の事情だよ、大人の」
「知りたいですよ、恋人なんだから」
「知ってどうすんの」
「・・・」
「お前みたいなガキにはわかんないかもだけど、カネ、、、金を好きな女に、好きな女に金を借りるって、死ぬほど恥ずかしいんだよ。こいつが俺のことを好きだって知ってたし。いつか、いつかって先延ばしにして、あっという間に5年が経っちゃった。放っといたわけじゃねえよ、毎日、夢の中でこいつが優しく微笑むんだ。いつだって我儘を許してくれて、こんな俺を好きでいてくれる」
「おじさんの妄想は夢のなかだけにしてください。5年間の、、、5年間もあなたを待ち続けた百合さんの大切な時間、いまだって、あなたを許してるし、僕が許せないのはその優しさに、あなたが甘えているからだよ」
「許すとか許さないとか関係ないんだよ。百合は俺のこと忘れないよ。初めての男は忘れられないって言うだろ。一生の刻印なんだよ。わかったか、坊主」
「みっともないですよ、そんなことでマウント取ったつもりなんですか。いつまでも過去に執着して、おれはその刻印とやらに上書きする。これからもずっと、変わらずにずっとだ。おれの上に俺を、上書きして上書きして、だからあんたの名前なんか、とっくに消えてるんだよ」
「カイ、もういい、もういいから、私が惨めになっちゃうから」
「・・・ごめん」
「やらしいガキだな、まったく!」捨て台詞を残して坂出は出て行った。
カイ、あなたが謝る必要なんてないよ。
いまね、確信したことがある。
お金はくれてやったつもりでいたから、どうでも良い。
このアパートを出なかったのは、このロクでもないヤツを待ってたんじゃない。
カイを待ってたんだって。
声が震えていたよ。いつもカッコいいけど、もっともっとカッコよかった。
真っ直ぐな愛、ちゃんと受け取ったよ、ありがとう。
<レベル100>ついに満点出ました
掃除機をかけてる私に代わって、カイが洗濯物を取り込んでくれた。
畳みながら、クスクス笑ってるので、理由を聞いてみた。
「なんで、パンティとブラジャーが全部バラバラなんだよ。色までちげぇし」
コイツ、喧嘩を売ってるのか、特売で買うとそうなるんだよ。
上下セットは勝負の時しか着ないんだよ。
そんな風に言葉には出さなかったが、優しく諭してあげた。
「あのね、みんながみんなセットで着ているわけではないんだよ」
「へぇ~そうなんだ、ぜんぜん気が付かなかった」
経験値で判断するな、おばさんはビジュアルより中身で勝負です。
と、言いたかったが自信もないので黙っていた。
そこへ誰かが訪ねてきた。
俺が出ると、ドアを開けに行ったカイが押し黙ったままだ。
ズカズカと男が乗り込んできた。
「誰?元カレ?」
「幼馴染み」
「詐欺師」
私の言葉に「じゃあ、通報しなきゃ」カイがスマホを取り出した。
坂出との親密なスナップ写真を見たカイに、お金を持ち逃げされたことは話したことがある。
坂出晃、元幼馴染で150万をかっさらって消えた詐欺師である。
「あ、待って誤解だから」
「で、なんの用」
「金、返しに来た」
「あっそう、お金置いてさっさと出て行って」
「さっき、詐欺師って」
「有り金全部巻き上げて5年も音信不通で、よく幼馴染なんて言えたね」
「悪いとは思ったけど、絶対返すつもりだったし」
「もういい、言い訳はいいわ、さようなら」
「ちょっといい、すんごく気になっちゃうのよ、誰?、弟はいなかったし、まさか隠し子って、、、わけないか」
指を差すな、指を。カイが見たこともない表情で詐欺師を睨んでます。
「恋人です、結婚を前提で同棲させてもらってます」
おいおい、プロポーズも同棲もしてないぞ。さてはマウント取ったな。
「グッ、・・・させてもらってますって」
「なに!なんか文句あるの!」
「こっちの方が犯罪じゃないかと・・・」
「もう 二十歳だから大丈夫です」
「えっえーーーー、おまえ正気か、俺と1コ違いだから42だぞ、こんなイケメンたらし込んで、何かあやかしの術とか使ったの」
「おじさんは、ゆりっちのことが好きなんですか」
「急になんだよ、おじさんって、ゆりっちって、まっいいか。そうだよ~ぼくちゃんの生まれる前から、ずっと一緒でずっと両想いでさぁ~」
「じゃぁ、なんで5年も放っといたの?」
「・・・」
「あんたに言う必要があるの?大人の事情だよ、大人の」
「知りたいですよ、恋人なんだから」
「知ってどうすんの」
「・・・」
「お前みたいなガキにはわかんないかもだけど、カネ、、、金を好きな女に、好きな女に金を借りるって、死ぬほど恥ずかしいんだよ。こいつが俺のことを好きだって知ってたし。いつか、いつかって先延ばしにして、あっという間に5年が経っちゃった。放っといたわけじゃねえよ、毎日、夢の中でこいつが優しく微笑むんだ。いつだって我儘を許してくれて、こんな俺を好きでいてくれる」
「おじさんの妄想は夢のなかだけにしてください。5年間の、、、5年間もあなたを待ち続けた百合さんの大切な時間、いまだって、あなたを許してるし、僕が許せないのはその優しさに、あなたが甘えているからだよ」
「許すとか許さないとか関係ないんだよ。百合は俺のこと忘れないよ。初めての男は忘れられないって言うだろ。一生の刻印なんだよ。わかったか、坊主」
「みっともないですよ、そんなことでマウント取ったつもりなんですか。いつまでも過去に執着して、おれはその刻印とやらに上書きする。これからもずっと、変わらずにずっとだ。おれの上に俺を、上書きして上書きして、だからあんたの名前なんか、とっくに消えてるんだよ」
「カイ、もういい、もういいから、私が惨めになっちゃうから」
「・・・ごめん」
「やらしいガキだな、まったく!」捨て台詞を残して坂出は出て行った。
カイ、あなたが謝る必要なんてないよ。
いまね、確信したことがある。
お金はくれてやったつもりでいたから、どうでも良い。
このアパートを出なかったのは、このロクでもないヤツを待ってたんじゃない。
カイを待ってたんだって。
声が震えていたよ。いつもカッコいいけど、もっともっとカッコよかった。
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