私が月になる

琴音

文字の大きさ
19 / 42

19. バーベキュー

しおりを挟む
タクヤ主催のバーベキューに行かないかと、誘われたのが昨日のことである。
「アイツんち庭が広いから、去年もやったし、明日は家の人がいないから好きに出来るって」
「えーーー、私はいいよ、カイだけ行ってきなよ」
「断るのなし、ゆりっちも参加するって返事しちゃった」
「ないないない、ありえない、タクヤ君だけじゃないでしょ」
「他にサークルの仲間が5~6人来る、そいつらにも連れて行くって約束しちゃったもん」
「・・・」
「タクヤが絶対連れて来いって」
「最初で最後だからね。後はないから」
「そのフレーズ好きだね、前にも聞いたことがある」
笑いながら言われたが、いつ使ったのかは覚えていない。
カイの親友の頼みを無下に断わるわけにもいかないので、しぶしぶ承諾したが気乗りはしない。
とても気が重い。重い荷物を背負わされたロバの気分である。
だが容赦なく、その日はやって来た。

バイトのあるカイと、休みの私は別々に行くこととなった。
「タクヤ、一人で準備してるって」
観念して裏方に徹するつもりでいた。
「じゃあ、先に行ってお手伝いしてるよ、野菜ぐらい切れるし」
「それはダメ。タクヤと二人っきりになっちゃう。あいつ、女相手だとケダモノになるの何度も目撃してっから」
タクヤ君は、あなたほどマニアックではないよ、と言いたかったが、話が長くなるので黙っていた。
「バイトが終わるのが4時だから、すぐに行けば俺は4時半には着くでしょ。ゆりっちはバスで15分で行けるから、4時15分に出発、それ以上早く行っちゃダメだよ」
「ラジャー!」カラ元気なのはカイにも伝わったと思う。
地図アプリに住所を入れてくれたので迷うことはない。
それにしても出発時間まで限定されるとは思わなかった。
友達と言っても、タクヤ君以外は初めて会う人ばかりなので緊張する。
しかも若い連中に交じり、ひとりだけ浮かないか心配。
違和感が半端ない。どうしょう、腹痛が、、、
「大丈夫、俺の隣にいるだけでいいんだから」
鋭い、何もかもお見通しかよ。
どこにアンテナはってんだ。私もその感度の良いアンテナが欲しいよ。

言われたとおりに4時15分に家を出たが、バスが遅れて着いたのは4時45分を過ぎていた。
カイを始め、ほとんどのメンバーが揃っていた。
手招きされて、緊張が高まった。
イケメン大豊作とでもいいましょうか。
紹介された面々はにこやかな笑みを湛えて自己紹介をしてくれる。
カイと同じ医大生なので、お医者様予備軍である。
この人たちが、余裕の応対が出来るのはリア充だからだ。
恋人としてお披露目された女が、揺るがないでも動揺はしない。
目が泳ぐこともなく、そつなく会話を続けてくれる。
それは恵まれているからこそ出来る わざだと思う。
穿った見方をしたのではない。
お育ちがイイというのは、そういうことなのだ。
そつなくお披露目も終わり、疲れ果てて帰宅した。

「バーベキュー、タクヤがゆりっちのために企画したんだ。みんなに紹介して既成事実を作っておくのも大事だって。色々けじめつけられっから、って。アイツなりに色々考えてくれてて嬉しかった」
カイはそう言ったが、そんな良い人をケダモノ扱いしてたのは誰でしょうか。
”けじめ”の相手がマリリンなのは明白だった。
カイは彼女に友達以上にはなれないと告げたらしい。
一言も言葉を交わさなかったが、彼女の視線は痛いほど感じていた。
それはそうだよ、40過ぎのおばさんに鞍替えされたなんて、ズタボロだよね。
でも私だってカイのことが好きだから、ここは譲れない。
あなたみたいに美人なら、世の中の男、選り取り見取りでしょ。
サイボーグでも作らない限り、シェアはできませんから。
デキる親友に<レベル94>ありがとう


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

“熟年恋愛”物語

山田森湖
恋愛
妻を亡くし、独りで過ごす日々に慣れつつあった 圭介(56)。 子育てを終え、長く封じ込めていた“自分の時間”をようやく取り戻した 佳奈美(54)。 どちらも、恋を求めていたわけではない。 ただ——「誰かと話したい」「同じ時間を共有したい」、 そんな小さな願いが胸に生まれた夜。 ふたりは、50代以上限定の交流イベント“シングルナイト”で出会う。 最初の一言は、たった「こんばんは」。 それだけなのに、どこか懐かしいような安心感が、お互いの心に灯った。 週末の夜に交わした小さな会話は、 やがて食事の誘いへ、 そして“誰にも言えない本音”を語り合える関係へと変わっていく。 過去の傷、家族の距離、仕事を終えた後の空虚—— 人生の後半戦だからこそ抱える孤独や不安を共有しながら、 ふたりはゆっくりと心の距離を縮めていく。 恋に臆病になった大人たちが、 無理をせず、飾らず、素のままの自分で惹かれ合う—— そんな“優しい恋”の物語。 もう恋なんてしないと思っていた。 でも、あの夜、確かに何かが始まった。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

処理中です...