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愛。
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私の空手の師匠は伝説の人だ。今から語らせて頂く事はその中のほんの一部、数多ある伝説の一つだ。
師匠は一年の半分は山に籠っている。そこはこの現代に於いて未だ人の手が入っていない未開の地、神々が住まうとされる山の奥深く。
凶暴な獣が数多く潜み、更にはまるで厳しい罰を与えるかの様に天候の急変を繰り返す自然環境の中で、師匠は神の一撃をひたすら極めんと己を研鑽していた。
これは師匠がその強敵と出会った時の話。
え?何?うんうん。ええ!?師匠の話は興味がないですってぇ!こんのー!たまには私の話もちゃんと聞きなさいよね!ぷりぷり。
……そうやって、いつもいつも人の話に興味持たないでソーシャルゲームばかり。たまには私の目を見て話を聞きなさいよ!
髪切ったのもどうせ気付いてないでしょ?黙ってたけど、私この前職場の人にご飯に誘われたのよ。
仕事も出来て、優しくて、気も使える人。そう貴方とは正反対の人。
その時ね、告白されたの。
私、もう貴方とはやっていけないわ——
こ、こんな事言ってみたーい!!
以上!現場からお届けしたのは皆の聖母的ポジションまであと1マイル!未だ彼氏が出来たことのない朱里ちゃんでした☆
——————
「朱里、レベル上がった?」
「上がってる! やったー!」
「ゴクリ。そ、それって朱里の疾風迅雷の如く放った震天動地の神の一振りが一番槍の絶命を意味するものじゃ」
「うえええ! まじでー!? あんな手加減した猫パンチで絶命したって言うのー!? あんなのメイドカフェの店員が『にゃん、にゃん』ってやった時のあの手が当たった程度のクラスに一人はいるデコピン自慢が放つあのお遊び程度一発で!?」
「基準はよく分からないし、朱里にとってはそうなのかも知れないけど、常人が吹き飛んだ自らの体で大木を何本も薙ぎ倒して絶命をする程の威力は猫パンチとは言わないと思うんだ」
想像以上に私の拳は人類が畏怖し慄くものへと変貌を遂げているらしい。スキルってすごいし、よく河童生きてたな。
「うう」
あれ?今吹き飛んだ方向から声が?
「見てよ。朱里、生きてるよ! 一番槍が辛うじて息をしてるよ! あれが俗に言う虫の息だね! わあ、初めて見た!」
よ良かったー。人を殺めた拳として封印も致し方ない所だったよ。
「お前何者だ? 明らかに叡智を超えるその力。お前魔王の直近だな? もしくは魔王そのものか」
「すごいや! 顔が中心にむけて、あんなに捻りめり込んでいるのにどうやって声が出てるんだろう? 人体って摩訶不思議!」
「お前の生態も摩訶不思議で奇々怪々だよ」
……ん?魔王?こ、この可愛らしい花の女子高生の朱里ちゃんに向かって魔王だと!?この童があああああ!
「ひい! 命だけは! 命だけはお助けください!」
「朱里、魔王様より魔王様みたいだね! 狙っちゃう? 魔王」
「狙わないよ。ねえ、勇者達ってこの中にいるの? 魔物達を手当たり次第攻撃したりしてこっちは迷惑なんだ。(建前)ムカつくから一発殴りに行く。(本音)案内してよ」
「勇者達の情報だけは流す訳にはいかない。ぐふっ」
うーん、どうしよう。口が固そうだ。これ以上小突いたら、空からラッパ持った天使がお迎えに来そうだし。
「とりあえずこいつは木に縛っておくか。邪魔されたら手加減出来ないし」
「首!(笑)首!(笑)締まってるよ! 青くなってる! 顔が村長みたいな色になってる!(笑)」
「い、いっけなーい! 絞首刑執行する寸前だよー」
「さあ、お約束もやった所で『気まぐれ穴』にレッツラゴー!」
「おー! あ、あれ? 私の指を犬歯でギリギリと齧ってもぎ取ろうとしてたフェンリルの子供がいないよ」
「恐らく、朱里のあの一撃を見て怯えて逃げたのかも知れないね。心優しい悪鬼羅刹は往々としてその悍ましき見た目から心の内を理解されずに一人寂しく過ごすものなのさ」
「誰が悪鬼羅刹だ。絶対一人で過ごさないから、いい男見つけて幸せな生活繰り広げてやるから」
(失笑)
こいつ今笑ったな?その柔らかそうな体に拳大の穴開けてやろうかな。
!!
「……まだ誰かいるね」
「油断しないで朱里。一番槍がいたって事は二番槍、三番槍が身を潜めているかも知れない(笑)」
こいつ楽しんでるな?今まで人間に蔑まされてきた先祖の恨みを恨みを私を使って晴らそうとしてるな?
「まって!……なにあれ。あんなの反則だよ」
(え!?朱里がそんなに驚くなんて『恋☆どす』のキャラクターが出現した時以外あり得ないよ!それ程にインパクトのある敵が!?)
「こんなケモ耳モフモフで、尻尾もモフモフで、フリフリのお姫様みたいな小さい女の子なんて顔を埋めてハフハフしない訳にはいかないではないかー! わ、我輩を止めるものは何人たりとも許さんのだぞー!」
「き、きっつい表現だなー。あ、朱里そんなに急に近づくと」
ガブ。ギリギリギリギリギリギギギギギ。
「っあーーーーーー!」
「言わんこっちゃない。その子はさっきのフェンリルだよ! 人型に変身なんて希少種しかいないよ! すごいね!」
鮮血に染まった私の制服が意味するのは、指を落としかけるまでのケモ耳への愛の証。
この愛は永久に不滅なんです!
ギリギリギリギリギリギリギリギギギギギ。
師匠は一年の半分は山に籠っている。そこはこの現代に於いて未だ人の手が入っていない未開の地、神々が住まうとされる山の奥深く。
凶暴な獣が数多く潜み、更にはまるで厳しい罰を与えるかの様に天候の急変を繰り返す自然環境の中で、師匠は神の一撃をひたすら極めんと己を研鑽していた。
これは師匠がその強敵と出会った時の話。
え?何?うんうん。ええ!?師匠の話は興味がないですってぇ!こんのー!たまには私の話もちゃんと聞きなさいよね!ぷりぷり。
……そうやって、いつもいつも人の話に興味持たないでソーシャルゲームばかり。たまには私の目を見て話を聞きなさいよ!
髪切ったのもどうせ気付いてないでしょ?黙ってたけど、私この前職場の人にご飯に誘われたのよ。
仕事も出来て、優しくて、気も使える人。そう貴方とは正反対の人。
その時ね、告白されたの。
私、もう貴方とはやっていけないわ——
こ、こんな事言ってみたーい!!
以上!現場からお届けしたのは皆の聖母的ポジションまであと1マイル!未だ彼氏が出来たことのない朱里ちゃんでした☆
——————
「朱里、レベル上がった?」
「上がってる! やったー!」
「ゴクリ。そ、それって朱里の疾風迅雷の如く放った震天動地の神の一振りが一番槍の絶命を意味するものじゃ」
「うえええ! まじでー!? あんな手加減した猫パンチで絶命したって言うのー!? あんなのメイドカフェの店員が『にゃん、にゃん』ってやった時のあの手が当たった程度のクラスに一人はいるデコピン自慢が放つあのお遊び程度一発で!?」
「基準はよく分からないし、朱里にとってはそうなのかも知れないけど、常人が吹き飛んだ自らの体で大木を何本も薙ぎ倒して絶命をする程の威力は猫パンチとは言わないと思うんだ」
想像以上に私の拳は人類が畏怖し慄くものへと変貌を遂げているらしい。スキルってすごいし、よく河童生きてたな。
「うう」
あれ?今吹き飛んだ方向から声が?
「見てよ。朱里、生きてるよ! 一番槍が辛うじて息をしてるよ! あれが俗に言う虫の息だね! わあ、初めて見た!」
よ良かったー。人を殺めた拳として封印も致し方ない所だったよ。
「お前何者だ? 明らかに叡智を超えるその力。お前魔王の直近だな? もしくは魔王そのものか」
「すごいや! 顔が中心にむけて、あんなに捻りめり込んでいるのにどうやって声が出てるんだろう? 人体って摩訶不思議!」
「お前の生態も摩訶不思議で奇々怪々だよ」
……ん?魔王?こ、この可愛らしい花の女子高生の朱里ちゃんに向かって魔王だと!?この童があああああ!
「ひい! 命だけは! 命だけはお助けください!」
「朱里、魔王様より魔王様みたいだね! 狙っちゃう? 魔王」
「狙わないよ。ねえ、勇者達ってこの中にいるの? 魔物達を手当たり次第攻撃したりしてこっちは迷惑なんだ。(建前)ムカつくから一発殴りに行く。(本音)案内してよ」
「勇者達の情報だけは流す訳にはいかない。ぐふっ」
うーん、どうしよう。口が固そうだ。これ以上小突いたら、空からラッパ持った天使がお迎えに来そうだし。
「とりあえずこいつは木に縛っておくか。邪魔されたら手加減出来ないし」
「首!(笑)首!(笑)締まってるよ! 青くなってる! 顔が村長みたいな色になってる!(笑)」
「い、いっけなーい! 絞首刑執行する寸前だよー」
「さあ、お約束もやった所で『気まぐれ穴』にレッツラゴー!」
「おー! あ、あれ? 私の指を犬歯でギリギリと齧ってもぎ取ろうとしてたフェンリルの子供がいないよ」
「恐らく、朱里のあの一撃を見て怯えて逃げたのかも知れないね。心優しい悪鬼羅刹は往々としてその悍ましき見た目から心の内を理解されずに一人寂しく過ごすものなのさ」
「誰が悪鬼羅刹だ。絶対一人で過ごさないから、いい男見つけて幸せな生活繰り広げてやるから」
(失笑)
こいつ今笑ったな?その柔らかそうな体に拳大の穴開けてやろうかな。
!!
「……まだ誰かいるね」
「油断しないで朱里。一番槍がいたって事は二番槍、三番槍が身を潜めているかも知れない(笑)」
こいつ楽しんでるな?今まで人間に蔑まされてきた先祖の恨みを恨みを私を使って晴らそうとしてるな?
「まって!……なにあれ。あんなの反則だよ」
(え!?朱里がそんなに驚くなんて『恋☆どす』のキャラクターが出現した時以外あり得ないよ!それ程にインパクトのある敵が!?)
「こんなケモ耳モフモフで、尻尾もモフモフで、フリフリのお姫様みたいな小さい女の子なんて顔を埋めてハフハフしない訳にはいかないではないかー! わ、我輩を止めるものは何人たりとも許さんのだぞー!」
「き、きっつい表現だなー。あ、朱里そんなに急に近づくと」
ガブ。ギリギリギリギリギリギギギギギ。
「っあーーーーーー!」
「言わんこっちゃない。その子はさっきのフェンリルだよ! 人型に変身なんて希少種しかいないよ! すごいね!」
鮮血に染まった私の制服が意味するのは、指を落としかけるまでのケモ耳への愛の証。
この愛は永久に不滅なんです!
ギリギリギリギリギリギリギリギギギギギ。
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