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頂への道のり。
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ええ!?なに?私が可愛い?
もう、そんな事言っても何も出ないよ。照れた私が「やーだー!もう!」って肩を叩いて骨折、或いは脱臼する位だから。
実際それで私の親戚のおじさんは肩の脱臼と、肘の骨折してるから。それ以来、おじさんは私と目も合わせようとしない。
これは冗談じゃない、警告。お世辞なら言うのは辞めた方がいいよ、まじで。
そりゃあね、毎日言われるよ?通学のバス待ちの時におばあちゃんとおじいちゃんに毎日ね。この間なんてバス待ってる十分の間に七回も言われたんだよ!
流石の私も、知らないおじいちゃんとおばあちゃんには微笑みと会釈を返すのみだったけどね。
他人の高齢者に怪我させるわけにはいかないから。
それにしても一世紀近く人生を歩んできた人達は見る目があるよね!
—————————
「爆発音が鳴り響いたから戻ってみたら、この大きな穴。一体何が起こったというんだ」
(大体想像出来るけど)
「すごい。『気まぐれ穴』が完全に活動停止して、瘴気も全て吹き飛んじゃってる」
(多分、朱里ちゃん、だよね?)
なんか洞窟がウネウネしなくなったな。なんでだろ、少しだけ朱里ちゃん特製オリジナル技を強く放ちすぎたかな?……ん?
「リルちゃーん! こっち、こっちー」
「朱里ちゃん! 大丈夫だった!? すごい地響きと爆音が鳴り響いたから急いで戻って来たんだよ」
「大丈夫、大丈夫。心配かけてごめんね」
(やっぱり朱里か。この子ってステータス無視の規格外の事いつもやるけど、本気出したらどうなるんだ?)
「クリスもいるじゃん、よかったー。洞窟から出れなくて困ってたんだけど、たまたま出口が出来て良かったよ」
「朱里は月の裏側に放置しても帰って来そうだけど、放って置くと何するか分かんないから一緒に行動していた方が良さそうだね!」
「流石に無重力、無酸素の空間はキツイんじゃないかな? ただやってみない事には何とも言えないよ。あ、そうそう。私が洞窟内を彷徨ってる時、羽が生えてて白いローブを着た金髪のお姉さんに化けた敵が声をかけて来たんだけど」
(え?それって)
(ええ!?それって多分、女神様だよね?)
「吹っ飛ばしておいたから安心してね! リルちゃんのお家に不審者がいるなんて許せないね!」
「許せないって、ちょっと待って朱里。今、敵って言った?」
「急に背後に回られてさ、相当のやり手だったよ。ムポポペサに来て一番だったかも。河童二番で、一番槍が三番」
「朱里さん? さっきの爆発音ってその人吹っ飛ばした時の音?」
「そうだよ」
(女神様に!?えー!!)
「もしかしてそのお姉さん死んじゃったの?)
(クリスちゃんも本当は分かってる筈なのに、現実が受け止められてないのね!大丈夫、私もだよ!)
「いや、気配は消えてたけど恐らく死んではいないんじゃないかな? ていうか、さっきからなんだよ。回りくどくないな」
(や、やっぱり君は魔王になる器だよ!まさか女神様を吹き飛ばすとは(笑)。勝手に応募したら何されるか分からないから今言っちゃおう)
「朱里、君をスカウトしたい」
「……は?」
「見てくれ。実はもう書類選考の応募用紙に君のプロフィールを書かせてもらった」
何だこいつ。脳みそにアニサキスでも巣食ってんのか?
「よく聞いておくれよ。その若さ、その可愛らしい顔、引き締まったスタイル、今までそんな人は(歴代の魔王に)いなかったんだ!!」
可愛いだと?おちょくってんのか?脳みそに黄色ブトウ球菌でも繁殖したか?
「君なら取れるよ! 頂点(魔物の)を! その才能(暴力の)を埋もれさせるなんて! ぼ、僕には、で、出来ない。くっ」
(クリスちゃん泣いてる。なんなの?この寸劇は)
何だこいつマジで。キレさせたいの?そんな事、バス停のおばあちゃん達と、家族にしか言われた事ないわ。
「頼む!!この、第6592回発掘!魔界のアイドル(魔王)発掘スカウト選手権大会に応募させてくれない!?」
(あ、ずるい。一番大事な所を隠しちゃってる。確かに魔王は私達の中でアイドル的な人気ではあるけど、大丈夫なの?)
「あれ? 首里ちゃん? 動かなくなっちゃった。瞬きすらしてないよ」
「あたいがアイドル!? あばばばばば」
「そう! アイドル(魔王)さ!」
「これってクラスの友達が勝手に応募しちゃってー、知らない間に受かってたんです! 的なアレでしょ? むりむりむり」
「言ってる事は良く分からないけど、多分そんな感じなんじゃないかな?」
「むり、むり、むりー! でもやる前から無理っていうのも良くないよね? クリスが五体投地で、そこまで言うんだったら応募する事もやぶさかではないよ(早口)」
「や、やったー! 未来のアイドル(魔王)の誕生だー!」
「そうと決まれば急いで宿に戻らなきゃ。髪のキューティクルがボロボロだよ。先に帰ってるね!」
「切り替えの速さも去ることながら、足もすっげえ速いな。もう見えなくなっちゃった」
「あんなに張り切っちゃって、バレたら怒られちゃうよ?」
「あと、リルちゃんも応募しといたよ。魔王の側近としてね」
「えー! 私達って勇者を追いかけるんじゃないの?」
「まあ、応募するなら旅を続けながら出来るし、業界とパイプを繋げとくのもいいと思うよ」
「パイプって。クリスちゃんって悪徳マネージャーが似合いそうだね」
「褒め言葉と受け取っておくよ! はーはっはっはっはっはー」
こうして、私はアイドルと言う名のイバラ道を進んでいく事になったんだ!
目指すはテッペン!
年末開催の新人ムポポペサCD大賞だね!
もう、そんな事言っても何も出ないよ。照れた私が「やーだー!もう!」って肩を叩いて骨折、或いは脱臼する位だから。
実際それで私の親戚のおじさんは肩の脱臼と、肘の骨折してるから。それ以来、おじさんは私と目も合わせようとしない。
これは冗談じゃない、警告。お世辞なら言うのは辞めた方がいいよ、まじで。
そりゃあね、毎日言われるよ?通学のバス待ちの時におばあちゃんとおじいちゃんに毎日ね。この間なんてバス待ってる十分の間に七回も言われたんだよ!
流石の私も、知らないおじいちゃんとおばあちゃんには微笑みと会釈を返すのみだったけどね。
他人の高齢者に怪我させるわけにはいかないから。
それにしても一世紀近く人生を歩んできた人達は見る目があるよね!
—————————
「爆発音が鳴り響いたから戻ってみたら、この大きな穴。一体何が起こったというんだ」
(大体想像出来るけど)
「すごい。『気まぐれ穴』が完全に活動停止して、瘴気も全て吹き飛んじゃってる」
(多分、朱里ちゃん、だよね?)
なんか洞窟がウネウネしなくなったな。なんでだろ、少しだけ朱里ちゃん特製オリジナル技を強く放ちすぎたかな?……ん?
「リルちゃーん! こっち、こっちー」
「朱里ちゃん! 大丈夫だった!? すごい地響きと爆音が鳴り響いたから急いで戻って来たんだよ」
「大丈夫、大丈夫。心配かけてごめんね」
(やっぱり朱里か。この子ってステータス無視の規格外の事いつもやるけど、本気出したらどうなるんだ?)
「クリスもいるじゃん、よかったー。洞窟から出れなくて困ってたんだけど、たまたま出口が出来て良かったよ」
「朱里は月の裏側に放置しても帰って来そうだけど、放って置くと何するか分かんないから一緒に行動していた方が良さそうだね!」
「流石に無重力、無酸素の空間はキツイんじゃないかな? ただやってみない事には何とも言えないよ。あ、そうそう。私が洞窟内を彷徨ってる時、羽が生えてて白いローブを着た金髪のお姉さんに化けた敵が声をかけて来たんだけど」
(え?それって)
(ええ!?それって多分、女神様だよね?)
「吹っ飛ばしておいたから安心してね! リルちゃんのお家に不審者がいるなんて許せないね!」
「許せないって、ちょっと待って朱里。今、敵って言った?」
「急に背後に回られてさ、相当のやり手だったよ。ムポポペサに来て一番だったかも。河童二番で、一番槍が三番」
「朱里さん? さっきの爆発音ってその人吹っ飛ばした時の音?」
「そうだよ」
(女神様に!?えー!!)
「もしかしてそのお姉さん死んじゃったの?)
(クリスちゃんも本当は分かってる筈なのに、現実が受け止められてないのね!大丈夫、私もだよ!)
「いや、気配は消えてたけど恐らく死んではいないんじゃないかな? ていうか、さっきからなんだよ。回りくどくないな」
(や、やっぱり君は魔王になる器だよ!まさか女神様を吹き飛ばすとは(笑)。勝手に応募したら何されるか分からないから今言っちゃおう)
「朱里、君をスカウトしたい」
「……は?」
「見てくれ。実はもう書類選考の応募用紙に君のプロフィールを書かせてもらった」
何だこいつ。脳みそにアニサキスでも巣食ってんのか?
「よく聞いておくれよ。その若さ、その可愛らしい顔、引き締まったスタイル、今までそんな人は(歴代の魔王に)いなかったんだ!!」
可愛いだと?おちょくってんのか?脳みそに黄色ブトウ球菌でも繁殖したか?
「君なら取れるよ! 頂点(魔物の)を! その才能(暴力の)を埋もれさせるなんて! ぼ、僕には、で、出来ない。くっ」
(クリスちゃん泣いてる。なんなの?この寸劇は)
何だこいつマジで。キレさせたいの?そんな事、バス停のおばあちゃん達と、家族にしか言われた事ないわ。
「頼む!!この、第6592回発掘!魔界のアイドル(魔王)発掘スカウト選手権大会に応募させてくれない!?」
(あ、ずるい。一番大事な所を隠しちゃってる。確かに魔王は私達の中でアイドル的な人気ではあるけど、大丈夫なの?)
「あれ? 首里ちゃん? 動かなくなっちゃった。瞬きすらしてないよ」
「あたいがアイドル!? あばばばばば」
「そう! アイドル(魔王)さ!」
「これってクラスの友達が勝手に応募しちゃってー、知らない間に受かってたんです! 的なアレでしょ? むりむりむり」
「言ってる事は良く分からないけど、多分そんな感じなんじゃないかな?」
「むり、むり、むりー! でもやる前から無理っていうのも良くないよね? クリスが五体投地で、そこまで言うんだったら応募する事もやぶさかではないよ(早口)」
「や、やったー! 未来のアイドル(魔王)の誕生だー!」
「そうと決まれば急いで宿に戻らなきゃ。髪のキューティクルがボロボロだよ。先に帰ってるね!」
「切り替えの速さも去ることながら、足もすっげえ速いな。もう見えなくなっちゃった」
「あんなに張り切っちゃって、バレたら怒られちゃうよ?」
「あと、リルちゃんも応募しといたよ。魔王の側近としてね」
「えー! 私達って勇者を追いかけるんじゃないの?」
「まあ、応募するなら旅を続けながら出来るし、業界とパイプを繋げとくのもいいと思うよ」
「パイプって。クリスちゃんって悪徳マネージャーが似合いそうだね」
「褒め言葉と受け取っておくよ! はーはっはっはっはっはー」
こうして、私はアイドルと言う名のイバラ道を進んでいく事になったんだ!
目指すはテッペン!
年末開催の新人ムポポペサCD大賞だね!
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