16 / 49
頂への道のり。
しおりを挟む
ええ!?なに?私が可愛い?
もう、そんな事言っても何も出ないよ。照れた私が「やーだー!もう!」って肩を叩いて骨折、或いは脱臼する位だから。
実際それで私の親戚のおじさんは肩の脱臼と、肘の骨折してるから。それ以来、おじさんは私と目も合わせようとしない。
これは冗談じゃない、警告。お世辞なら言うのは辞めた方がいいよ、まじで。
そりゃあね、毎日言われるよ?通学のバス待ちの時におばあちゃんとおじいちゃんに毎日ね。この間なんてバス待ってる十分の間に七回も言われたんだよ!
流石の私も、知らないおじいちゃんとおばあちゃんには微笑みと会釈を返すのみだったけどね。
他人の高齢者に怪我させるわけにはいかないから。
それにしても一世紀近く人生を歩んできた人達は見る目があるよね!
—————————
「爆発音が鳴り響いたから戻ってみたら、この大きな穴。一体何が起こったというんだ」
(大体想像出来るけど)
「すごい。『気まぐれ穴』が完全に活動停止して、瘴気も全て吹き飛んじゃってる」
(多分、朱里ちゃん、だよね?)
なんか洞窟がウネウネしなくなったな。なんでだろ、少しだけ朱里ちゃん特製オリジナル技を強く放ちすぎたかな?……ん?
「リルちゃーん! こっち、こっちー」
「朱里ちゃん! 大丈夫だった!? すごい地響きと爆音が鳴り響いたから急いで戻って来たんだよ」
「大丈夫、大丈夫。心配かけてごめんね」
(やっぱり朱里か。この子ってステータス無視の規格外の事いつもやるけど、本気出したらどうなるんだ?)
「クリスもいるじゃん、よかったー。洞窟から出れなくて困ってたんだけど、たまたま出口が出来て良かったよ」
「朱里は月の裏側に放置しても帰って来そうだけど、放って置くと何するか分かんないから一緒に行動していた方が良さそうだね!」
「流石に無重力、無酸素の空間はキツイんじゃないかな? ただやってみない事には何とも言えないよ。あ、そうそう。私が洞窟内を彷徨ってる時、羽が生えてて白いローブを着た金髪のお姉さんに化けた敵が声をかけて来たんだけど」
(え?それって)
(ええ!?それって多分、女神様だよね?)
「吹っ飛ばしておいたから安心してね! リルちゃんのお家に不審者がいるなんて許せないね!」
「許せないって、ちょっと待って朱里。今、敵って言った?」
「急に背後に回られてさ、相当のやり手だったよ。ムポポペサに来て一番だったかも。河童二番で、一番槍が三番」
「朱里さん? さっきの爆発音ってその人吹っ飛ばした時の音?」
「そうだよ」
(女神様に!?えー!!)
「もしかしてそのお姉さん死んじゃったの?)
(クリスちゃんも本当は分かってる筈なのに、現実が受け止められてないのね!大丈夫、私もだよ!)
「いや、気配は消えてたけど恐らく死んではいないんじゃないかな? ていうか、さっきからなんだよ。回りくどくないな」
(や、やっぱり君は魔王になる器だよ!まさか女神様を吹き飛ばすとは(笑)。勝手に応募したら何されるか分からないから今言っちゃおう)
「朱里、君をスカウトしたい」
「……は?」
「見てくれ。実はもう書類選考の応募用紙に君のプロフィールを書かせてもらった」
何だこいつ。脳みそにアニサキスでも巣食ってんのか?
「よく聞いておくれよ。その若さ、その可愛らしい顔、引き締まったスタイル、今までそんな人は(歴代の魔王に)いなかったんだ!!」
可愛いだと?おちょくってんのか?脳みそに黄色ブトウ球菌でも繁殖したか?
「君なら取れるよ! 頂点(魔物の)を! その才能(暴力の)を埋もれさせるなんて! ぼ、僕には、で、出来ない。くっ」
(クリスちゃん泣いてる。なんなの?この寸劇は)
何だこいつマジで。キレさせたいの?そんな事、バス停のおばあちゃん達と、家族にしか言われた事ないわ。
「頼む!!この、第6592回発掘!魔界のアイドル(魔王)発掘スカウト選手権大会に応募させてくれない!?」
(あ、ずるい。一番大事な所を隠しちゃってる。確かに魔王は私達の中でアイドル的な人気ではあるけど、大丈夫なの?)
「あれ? 首里ちゃん? 動かなくなっちゃった。瞬きすらしてないよ」
「あたいがアイドル!? あばばばばば」
「そう! アイドル(魔王)さ!」
「これってクラスの友達が勝手に応募しちゃってー、知らない間に受かってたんです! 的なアレでしょ? むりむりむり」
「言ってる事は良く分からないけど、多分そんな感じなんじゃないかな?」
「むり、むり、むりー! でもやる前から無理っていうのも良くないよね? クリスが五体投地で、そこまで言うんだったら応募する事もやぶさかではないよ(早口)」
「や、やったー! 未来のアイドル(魔王)の誕生だー!」
「そうと決まれば急いで宿に戻らなきゃ。髪のキューティクルがボロボロだよ。先に帰ってるね!」
「切り替えの速さも去ることながら、足もすっげえ速いな。もう見えなくなっちゃった」
「あんなに張り切っちゃって、バレたら怒られちゃうよ?」
「あと、リルちゃんも応募しといたよ。魔王の側近としてね」
「えー! 私達って勇者を追いかけるんじゃないの?」
「まあ、応募するなら旅を続けながら出来るし、業界とパイプを繋げとくのもいいと思うよ」
「パイプって。クリスちゃんって悪徳マネージャーが似合いそうだね」
「褒め言葉と受け取っておくよ! はーはっはっはっはっはー」
こうして、私はアイドルと言う名のイバラ道を進んでいく事になったんだ!
目指すはテッペン!
年末開催の新人ムポポペサCD大賞だね!
もう、そんな事言っても何も出ないよ。照れた私が「やーだー!もう!」って肩を叩いて骨折、或いは脱臼する位だから。
実際それで私の親戚のおじさんは肩の脱臼と、肘の骨折してるから。それ以来、おじさんは私と目も合わせようとしない。
これは冗談じゃない、警告。お世辞なら言うのは辞めた方がいいよ、まじで。
そりゃあね、毎日言われるよ?通学のバス待ちの時におばあちゃんとおじいちゃんに毎日ね。この間なんてバス待ってる十分の間に七回も言われたんだよ!
流石の私も、知らないおじいちゃんとおばあちゃんには微笑みと会釈を返すのみだったけどね。
他人の高齢者に怪我させるわけにはいかないから。
それにしても一世紀近く人生を歩んできた人達は見る目があるよね!
—————————
「爆発音が鳴り響いたから戻ってみたら、この大きな穴。一体何が起こったというんだ」
(大体想像出来るけど)
「すごい。『気まぐれ穴』が完全に活動停止して、瘴気も全て吹き飛んじゃってる」
(多分、朱里ちゃん、だよね?)
なんか洞窟がウネウネしなくなったな。なんでだろ、少しだけ朱里ちゃん特製オリジナル技を強く放ちすぎたかな?……ん?
「リルちゃーん! こっち、こっちー」
「朱里ちゃん! 大丈夫だった!? すごい地響きと爆音が鳴り響いたから急いで戻って来たんだよ」
「大丈夫、大丈夫。心配かけてごめんね」
(やっぱり朱里か。この子ってステータス無視の規格外の事いつもやるけど、本気出したらどうなるんだ?)
「クリスもいるじゃん、よかったー。洞窟から出れなくて困ってたんだけど、たまたま出口が出来て良かったよ」
「朱里は月の裏側に放置しても帰って来そうだけど、放って置くと何するか分かんないから一緒に行動していた方が良さそうだね!」
「流石に無重力、無酸素の空間はキツイんじゃないかな? ただやってみない事には何とも言えないよ。あ、そうそう。私が洞窟内を彷徨ってる時、羽が生えてて白いローブを着た金髪のお姉さんに化けた敵が声をかけて来たんだけど」
(え?それって)
(ええ!?それって多分、女神様だよね?)
「吹っ飛ばしておいたから安心してね! リルちゃんのお家に不審者がいるなんて許せないね!」
「許せないって、ちょっと待って朱里。今、敵って言った?」
「急に背後に回られてさ、相当のやり手だったよ。ムポポペサに来て一番だったかも。河童二番で、一番槍が三番」
「朱里さん? さっきの爆発音ってその人吹っ飛ばした時の音?」
「そうだよ」
(女神様に!?えー!!)
「もしかしてそのお姉さん死んじゃったの?)
(クリスちゃんも本当は分かってる筈なのに、現実が受け止められてないのね!大丈夫、私もだよ!)
「いや、気配は消えてたけど恐らく死んではいないんじゃないかな? ていうか、さっきからなんだよ。回りくどくないな」
(や、やっぱり君は魔王になる器だよ!まさか女神様を吹き飛ばすとは(笑)。勝手に応募したら何されるか分からないから今言っちゃおう)
「朱里、君をスカウトしたい」
「……は?」
「見てくれ。実はもう書類選考の応募用紙に君のプロフィールを書かせてもらった」
何だこいつ。脳みそにアニサキスでも巣食ってんのか?
「よく聞いておくれよ。その若さ、その可愛らしい顔、引き締まったスタイル、今までそんな人は(歴代の魔王に)いなかったんだ!!」
可愛いだと?おちょくってんのか?脳みそに黄色ブトウ球菌でも繁殖したか?
「君なら取れるよ! 頂点(魔物の)を! その才能(暴力の)を埋もれさせるなんて! ぼ、僕には、で、出来ない。くっ」
(クリスちゃん泣いてる。なんなの?この寸劇は)
何だこいつマジで。キレさせたいの?そんな事、バス停のおばあちゃん達と、家族にしか言われた事ないわ。
「頼む!!この、第6592回発掘!魔界のアイドル(魔王)発掘スカウト選手権大会に応募させてくれない!?」
(あ、ずるい。一番大事な所を隠しちゃってる。確かに魔王は私達の中でアイドル的な人気ではあるけど、大丈夫なの?)
「あれ? 首里ちゃん? 動かなくなっちゃった。瞬きすらしてないよ」
「あたいがアイドル!? あばばばばば」
「そう! アイドル(魔王)さ!」
「これってクラスの友達が勝手に応募しちゃってー、知らない間に受かってたんです! 的なアレでしょ? むりむりむり」
「言ってる事は良く分からないけど、多分そんな感じなんじゃないかな?」
「むり、むり、むりー! でもやる前から無理っていうのも良くないよね? クリスが五体投地で、そこまで言うんだったら応募する事もやぶさかではないよ(早口)」
「や、やったー! 未来のアイドル(魔王)の誕生だー!」
「そうと決まれば急いで宿に戻らなきゃ。髪のキューティクルがボロボロだよ。先に帰ってるね!」
「切り替えの速さも去ることながら、足もすっげえ速いな。もう見えなくなっちゃった」
「あんなに張り切っちゃって、バレたら怒られちゃうよ?」
「あと、リルちゃんも応募しといたよ。魔王の側近としてね」
「えー! 私達って勇者を追いかけるんじゃないの?」
「まあ、応募するなら旅を続けながら出来るし、業界とパイプを繋げとくのもいいと思うよ」
「パイプって。クリスちゃんって悪徳マネージャーが似合いそうだね」
「褒め言葉と受け取っておくよ! はーはっはっはっはっはー」
こうして、私はアイドルと言う名のイバラ道を進んでいく事になったんだ!
目指すはテッペン!
年末開催の新人ムポポペサCD大賞だね!
0
あなたにおすすめの小説
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる