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拷問。
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皆さん、こんにちは!リルです!
この間、人型になれるフェンリルは希少種しかいないとクリスちゃんに言われたけど、そんな事は初めて知りました。
そんなクリスちゃんは、何が目的なのか「少しだけ、少しだけ」と、毎日よの様に私の毛髪やら爪を求めてきます。
とっても気持ち悪いです。
あまりのしつこさに防衛本能で噛み付いたら喜んでました。これには私も血の気が引きました。
話は変わるけど、今日の晩に朱里ちゃんが、なんで私はモテないんだと歯軋りをしていたんです。
聞いたところ、しょっちゅう下駄箱に果し状が入っていたり、通学中のバス名乗っていると男子高校生にガン飛ばされてたり、常に周りの格闘家の玉子達から目をつけられていたと言ってました。
多分それはラブレターだど思うし、きっと可愛さ故に注目されていたと思うのですが、本人は気付いていないみたいです。
よくハンカチを噛みながら泣いている女子にも睨みつけられてたとも言っていました。
人間の愛憎というものは、とても恐ろしいものなのですね。
あ、お父さんの呪いは笑いのツボが浅くなり、時と場所を選ばずに笑いが止まらなくなる呪いです。
恐ろしいです。
ではでは。リルでした。
—————————
「わあ、美味しいハーブティーですね」
「本当だね。香りも凄くいい」
「気に入って貰えたみたいで嬉しいわ。焼き菓子も出すわね」
「お銀さん、解呪の皿って国宝なんですか? 私、お父さんの呪いを解くアイテムを探しているんです」
「呪いを? まあ、それは大変じゃない。お皿貸してあげるわよ」
「え!? そんな簡単に? 国宝なんじゃ無いんですか?」
「ふふ、あれはね、客引きの為にそう言っているだけよ。 祠に飾っているのはただのお皿よ。悪戯する人がいるから結界を張っているの」
クリスみたいな罰当たりな奴はどこにでも一定数いるもんなんだな。
「ルシアに聞かなかったの?」
「お皿があるとは聞いていたけど、そこまで詳しくは聞いてなかったです」
「ルシアは里の観光事業に興味が無かったから、恐らくうろ覚えだったのね」
お銀さんは、呆れて様子で肩をすくめていた。そして棚からお皿取り出すと、リルちゃんにそのまま手渡した。
「ありがとうございます! 大切に預からせてもらいます」
リルちゃんに手渡されたお皿は、ルシアとかいう生意気な名を持つ河童の皿とは輝きが全く違っていた。
あいつの皿はなんであんなに薄汚れているんだ?
「いいのよ。その代わりに、ルシアにまた会ったら私が待っている事を伝えてくれる?」
「もちろんです! 私が責任持って連れて来ますよ。抵抗できないように縄に縛りつけてでもね!」
「ありがとう、お願いね」
私達は、名残惜しそうに手を振るお銀さんに別れを告げた。リルちゃんのお父さんの呪いを一刻でも早く解呪する為に。
しかし私は一つだけ気がかりがあった。
それはリルちゃんとの別れ。
お父さんの呪いが解けたら、リルちゃんは家族の元に帰ってしまうだろう。
考えただけで涙目の私は、果たして泣かずにお別れする事が出来るだろうか?
「ぎゃーーーーーーーー!」
「ええ!? クリスちゃん! まだ痺れてたの!?」
「お前何時間痺れるんだよ」
「だーずーげーでー」
「仕方がない奴だな本当に。ちょっと待ってな」
(朱里ちゃん素手で結界剥がし始めちゃったよ。あっ! 結界が過剰反応示して威力を増してる!)
「じゅりーー!」
違う名前になってんじゃねーか。誰だよジュリーって。
もう一気に剥がすしかない!
(こ、壊しちゃった。物理的に結界を破壊するなんてあり得るの? 朱里ちゃん規格外すぎるよ)
「かはあっ! はあ、はあ、はあ、はあ」
クリスのやつ意外にも原型留めてるじゃん。プルプルの体している癖に意外に固いんだな。
「はあ、はあ。流石、国宝のセキュリティといった所か。しゅ、朱里が結界を破壊しなかったらどうなっていたか」
(私、言えないよ。クリスちゃんのこの姿を見て客引きのお皿が飾ってあっただけなんて言えないよ)
客寄せの皿でした、なんて言ったらクリスすごいガッカリするんだろうな。
「すまない。僕じゃあ皿を手に入れる事はできなかったよ。しかし結果的に朱里が結界を破壊してくれたんだ。これでなんとかなるよ」
「あのね、クリスちゃん。数時間ほど痺れていた所、申し訳無いんだけど。……コレ」
「クリス、その皿は偽物でリルちゃんのが本物」
(はっきり言っちゃった)
「な、な、なんだって! ぼ、僕の苦労は、一体? ぐはっ!」
「気絶しちゃった!」
「うーん、これは目覚めそうにもないね。流石に気の毒だから今日はここで休ませてやるか。リルちゃんはそれでもいい?」
「そうだね。拷問を受け続けていたんだもんね。私は大丈夫だから帰るのは明日にしようよ」
「じゃあ折角だから、今日の夕食はリルちゃんに私のスペシャリテをご馳走しちゃう!」
「わあ! 朱里ちゃんはお料理も出来るなんてきっといいお嫁さんになるね! 私も見習わなきゃ」
クリスは野犬に食べられるといけないので木の枝に引っ掛けておくことにした。
よーし!今晩はリルちゃんが失神する程の美味しい手料理を振る舞うぞ!
この間、人型になれるフェンリルは希少種しかいないとクリスちゃんに言われたけど、そんな事は初めて知りました。
そんなクリスちゃんは、何が目的なのか「少しだけ、少しだけ」と、毎日よの様に私の毛髪やら爪を求めてきます。
とっても気持ち悪いです。
あまりのしつこさに防衛本能で噛み付いたら喜んでました。これには私も血の気が引きました。
話は変わるけど、今日の晩に朱里ちゃんが、なんで私はモテないんだと歯軋りをしていたんです。
聞いたところ、しょっちゅう下駄箱に果し状が入っていたり、通学中のバス名乗っていると男子高校生にガン飛ばされてたり、常に周りの格闘家の玉子達から目をつけられていたと言ってました。
多分それはラブレターだど思うし、きっと可愛さ故に注目されていたと思うのですが、本人は気付いていないみたいです。
よくハンカチを噛みながら泣いている女子にも睨みつけられてたとも言っていました。
人間の愛憎というものは、とても恐ろしいものなのですね。
あ、お父さんの呪いは笑いのツボが浅くなり、時と場所を選ばずに笑いが止まらなくなる呪いです。
恐ろしいです。
ではでは。リルでした。
—————————
「わあ、美味しいハーブティーですね」
「本当だね。香りも凄くいい」
「気に入って貰えたみたいで嬉しいわ。焼き菓子も出すわね」
「お銀さん、解呪の皿って国宝なんですか? 私、お父さんの呪いを解くアイテムを探しているんです」
「呪いを? まあ、それは大変じゃない。お皿貸してあげるわよ」
「え!? そんな簡単に? 国宝なんじゃ無いんですか?」
「ふふ、あれはね、客引きの為にそう言っているだけよ。 祠に飾っているのはただのお皿よ。悪戯する人がいるから結界を張っているの」
クリスみたいな罰当たりな奴はどこにでも一定数いるもんなんだな。
「ルシアに聞かなかったの?」
「お皿があるとは聞いていたけど、そこまで詳しくは聞いてなかったです」
「ルシアは里の観光事業に興味が無かったから、恐らくうろ覚えだったのね」
お銀さんは、呆れて様子で肩をすくめていた。そして棚からお皿取り出すと、リルちゃんにそのまま手渡した。
「ありがとうございます! 大切に預からせてもらいます」
リルちゃんに手渡されたお皿は、ルシアとかいう生意気な名を持つ河童の皿とは輝きが全く違っていた。
あいつの皿はなんであんなに薄汚れているんだ?
「いいのよ。その代わりに、ルシアにまた会ったら私が待っている事を伝えてくれる?」
「もちろんです! 私が責任持って連れて来ますよ。抵抗できないように縄に縛りつけてでもね!」
「ありがとう、お願いね」
私達は、名残惜しそうに手を振るお銀さんに別れを告げた。リルちゃんのお父さんの呪いを一刻でも早く解呪する為に。
しかし私は一つだけ気がかりがあった。
それはリルちゃんとの別れ。
お父さんの呪いが解けたら、リルちゃんは家族の元に帰ってしまうだろう。
考えただけで涙目の私は、果たして泣かずにお別れする事が出来るだろうか?
「ぎゃーーーーーーーー!」
「ええ!? クリスちゃん! まだ痺れてたの!?」
「お前何時間痺れるんだよ」
「だーずーげーでー」
「仕方がない奴だな本当に。ちょっと待ってな」
(朱里ちゃん素手で結界剥がし始めちゃったよ。あっ! 結界が過剰反応示して威力を増してる!)
「じゅりーー!」
違う名前になってんじゃねーか。誰だよジュリーって。
もう一気に剥がすしかない!
(こ、壊しちゃった。物理的に結界を破壊するなんてあり得るの? 朱里ちゃん規格外すぎるよ)
「かはあっ! はあ、はあ、はあ、はあ」
クリスのやつ意外にも原型留めてるじゃん。プルプルの体している癖に意外に固いんだな。
「はあ、はあ。流石、国宝のセキュリティといった所か。しゅ、朱里が結界を破壊しなかったらどうなっていたか」
(私、言えないよ。クリスちゃんのこの姿を見て客引きのお皿が飾ってあっただけなんて言えないよ)
客寄せの皿でした、なんて言ったらクリスすごいガッカリするんだろうな。
「すまない。僕じゃあ皿を手に入れる事はできなかったよ。しかし結果的に朱里が結界を破壊してくれたんだ。これでなんとかなるよ」
「あのね、クリスちゃん。数時間ほど痺れていた所、申し訳無いんだけど。……コレ」
「クリス、その皿は偽物でリルちゃんのが本物」
(はっきり言っちゃった)
「な、な、なんだって! ぼ、僕の苦労は、一体? ぐはっ!」
「気絶しちゃった!」
「うーん、これは目覚めそうにもないね。流石に気の毒だから今日はここで休ませてやるか。リルちゃんはそれでもいい?」
「そうだね。拷問を受け続けていたんだもんね。私は大丈夫だから帰るのは明日にしようよ」
「じゃあ折角だから、今日の夕食はリルちゃんに私のスペシャリテをご馳走しちゃう!」
「わあ! 朱里ちゃんはお料理も出来るなんてきっといいお嫁さんになるね! 私も見習わなきゃ」
クリスは野犬に食べられるといけないので木の枝に引っ掛けておくことにした。
よーし!今晩はリルちゃんが失神する程の美味しい手料理を振る舞うぞ!
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