30 / 49
クライマー。
しおりを挟む
ぐすん。クリスちゃん執行猶予付くといいけど。
あ、ごめんなさい。リルです。
実は今日ショッキングな出来事があったんです。涙が止まりません。
私って人の悪口とか言わないし、人の事もあまり苦手にならないの。
でも、あんな変質者の口の中に入って移動していた事を思い出すだけで。
ぞぞぞー
犬なのに鳥肌が立っちゃった。もうクリスちゃんの何もかもが疑わしく思えてきちゃう。
さっき朱里ちゃんに上着かけられてクリスちゃんは署に連れて行かれたけど、どうなったんだろう?
あれ?もう出てきた?
なんでよ。裁いてくれないの?法は私達の味方じゃないの?民事不介入とか言ってんの!?
……こうなったら弁護士を雇うしかない。諦めないから、絶対に。
—————————
「絶対にシャバで自由になんてさせないんだから!」
びっくりした。リルちゃんがこんな大声出すなんて。
「リ、リルちゃん? あのね、考えてみたらクリス何もやってないんだよね。ただ気持ち悪かったってだけで」
(……はっ!確かに。よくよく考えてみると、クリスちゃんはただ気持ち悪かっただけで何もしてなかったじゃない)
「ごめんなさい、クリスちゃん。私ちょっと錯乱してたみたい」
「いいんだよ、僕も自分の美しさに酔っていたよ。怖い思いをさせてごめんね、子猫ちゃ——」
「は? まだ言ってんの?」
「ご、ごめんなさい」
普段怒らない子が怒ると怖いのは本当だね。
「……はっ! いこいこ! もうホテル行こうよ」
リルちゃんの闇を垣間見た私達はがホテルに向かうと、最上階にあるスイートルーム「雅」に案内された。
派手な内装とふかふかのベッド。
ルシアがいなくて本当に良かった。
あいつがいたら、臭いと分泌物による器物破損でホテル側から訴えられるのは間違い無いだろう。
「さあ、気を取り直すとしよう。明日は早速オーディション会場に下見に行くよ」
お前が言うな。お前が原因だ。
「そうだね! 楽しみだな」
「勇者達にもいつ出くわすか分からないから気を引き締めないとね」
そうだ。勇者達もこの島にいるんだ。
私の願いを叶える為に、絶対に勇者を倒さなくちゃ。
「でも朱里なら余裕だよね? いくら勇者とはいえ、朱里が負ける所はちょっと想像出来ないよ」
「朱里ちゃんなら勇者も倒してくれるし、魔王オーディションも楽々突破だよ!」
「油断は出来ないけどね。とりあえず今日は休もう!。明日に備えないとね」
「おやすみなさい、朱里ちゃん、クリスちゃん」
「おやすみなさい」
私は少し悩んでいた。願い事は一つだけ。『恋☆どす』の事は一旦置いておいて、元の世界に戻ったら皆とはもう会えなくなる。
なんだかんだでムポポペサが楽しくなってきた私はその事を考えると少し寂しくなってくるんだ。
二人が寝静まり、一人そんな事を考えている時だった。
ドン!ドンドンドンドン!!
「な、何?」
「びっくりした! なんの音だい?」
「静かに。窓の外に誰かいる」
(最上階の部屋の窓に?まさか勇者からの刺客では)
(怖い。でも朱里ちゃんが守ってくれる。朱里ちゃんは一番強いんだ!)
「カーテン開けるよ。せーの!」
っ!!!
「お前さ、何やってんの? 何時だと思ってんだよ。なんで窓にカエルみたいに張り付いてんだよ」
「河童の執念恐るべし、だね。あの海を渡り切るとは」
(考えてみればヌーにも襲われたのに。すごい生命力)
「あーけーてー! た、高い所こわい!」
(なんで登ったのだろう)
(の、登らなきゃいいのに)
「あ、もしもし警備の方ですか?「雅」の窓に爬虫類が止まってるんですけど。もしかしたら変質者かもしれないんで駆除お願いします。はい、いいですよ。撃ち落としても構いません。お願いします」
「師匠! なんでー!?」
「嘘だよ。風すごいから早く入ってよ。あ、部屋汚れるから風呂で寝てよね。もう私寝るから」
「そんな! 折角、再会できたのだから少し位構ってくださいよ」
「こんな夜更けに、窓に張り付いてる不審者を招き入れただけでもありがたく思いな」
「ルシアさん頑張ったんだね。すごいよ。明日になったらお話聞くから、ゆっくりお風呂でも入って休んでね」
「そ、そんなー!」
流石に不憫に思ったクリスは、ルシアとホテルの備え付きのバーで夜のひと時を楽しんだみたい。
私はその話を翌朝に聞き、カウンターで二人がウイスキーを飲んでいる所を想像して少しイラッときました。
あ、ごめんなさい。リルです。
実は今日ショッキングな出来事があったんです。涙が止まりません。
私って人の悪口とか言わないし、人の事もあまり苦手にならないの。
でも、あんな変質者の口の中に入って移動していた事を思い出すだけで。
ぞぞぞー
犬なのに鳥肌が立っちゃった。もうクリスちゃんの何もかもが疑わしく思えてきちゃう。
さっき朱里ちゃんに上着かけられてクリスちゃんは署に連れて行かれたけど、どうなったんだろう?
あれ?もう出てきた?
なんでよ。裁いてくれないの?法は私達の味方じゃないの?民事不介入とか言ってんの!?
……こうなったら弁護士を雇うしかない。諦めないから、絶対に。
—————————
「絶対にシャバで自由になんてさせないんだから!」
びっくりした。リルちゃんがこんな大声出すなんて。
「リ、リルちゃん? あのね、考えてみたらクリス何もやってないんだよね。ただ気持ち悪かったってだけで」
(……はっ!確かに。よくよく考えてみると、クリスちゃんはただ気持ち悪かっただけで何もしてなかったじゃない)
「ごめんなさい、クリスちゃん。私ちょっと錯乱してたみたい」
「いいんだよ、僕も自分の美しさに酔っていたよ。怖い思いをさせてごめんね、子猫ちゃ——」
「は? まだ言ってんの?」
「ご、ごめんなさい」
普段怒らない子が怒ると怖いのは本当だね。
「……はっ! いこいこ! もうホテル行こうよ」
リルちゃんの闇を垣間見た私達はがホテルに向かうと、最上階にあるスイートルーム「雅」に案内された。
派手な内装とふかふかのベッド。
ルシアがいなくて本当に良かった。
あいつがいたら、臭いと分泌物による器物破損でホテル側から訴えられるのは間違い無いだろう。
「さあ、気を取り直すとしよう。明日は早速オーディション会場に下見に行くよ」
お前が言うな。お前が原因だ。
「そうだね! 楽しみだな」
「勇者達にもいつ出くわすか分からないから気を引き締めないとね」
そうだ。勇者達もこの島にいるんだ。
私の願いを叶える為に、絶対に勇者を倒さなくちゃ。
「でも朱里なら余裕だよね? いくら勇者とはいえ、朱里が負ける所はちょっと想像出来ないよ」
「朱里ちゃんなら勇者も倒してくれるし、魔王オーディションも楽々突破だよ!」
「油断は出来ないけどね。とりあえず今日は休もう!。明日に備えないとね」
「おやすみなさい、朱里ちゃん、クリスちゃん」
「おやすみなさい」
私は少し悩んでいた。願い事は一つだけ。『恋☆どす』の事は一旦置いておいて、元の世界に戻ったら皆とはもう会えなくなる。
なんだかんだでムポポペサが楽しくなってきた私はその事を考えると少し寂しくなってくるんだ。
二人が寝静まり、一人そんな事を考えている時だった。
ドン!ドンドンドンドン!!
「な、何?」
「びっくりした! なんの音だい?」
「静かに。窓の外に誰かいる」
(最上階の部屋の窓に?まさか勇者からの刺客では)
(怖い。でも朱里ちゃんが守ってくれる。朱里ちゃんは一番強いんだ!)
「カーテン開けるよ。せーの!」
っ!!!
「お前さ、何やってんの? 何時だと思ってんだよ。なんで窓にカエルみたいに張り付いてんだよ」
「河童の執念恐るべし、だね。あの海を渡り切るとは」
(考えてみればヌーにも襲われたのに。すごい生命力)
「あーけーてー! た、高い所こわい!」
(なんで登ったのだろう)
(の、登らなきゃいいのに)
「あ、もしもし警備の方ですか?「雅」の窓に爬虫類が止まってるんですけど。もしかしたら変質者かもしれないんで駆除お願いします。はい、いいですよ。撃ち落としても構いません。お願いします」
「師匠! なんでー!?」
「嘘だよ。風すごいから早く入ってよ。あ、部屋汚れるから風呂で寝てよね。もう私寝るから」
「そんな! 折角、再会できたのだから少し位構ってくださいよ」
「こんな夜更けに、窓に張り付いてる不審者を招き入れただけでもありがたく思いな」
「ルシアさん頑張ったんだね。すごいよ。明日になったらお話聞くから、ゆっくりお風呂でも入って休んでね」
「そ、そんなー!」
流石に不憫に思ったクリスは、ルシアとホテルの備え付きのバーで夜のひと時を楽しんだみたい。
私はその話を翌朝に聞き、カウンターで二人がウイスキーを飲んでいる所を想像して少しイラッときました。
0
あなたにおすすめの小説
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる