階段から転げ落ちたら知らないゲームの中だったので勇者を倒してサッサと帰りたいと思います。

uma

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突破。

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「朱里選手の大立ち回りにも驚かさせれますが、それ以上に驚かされたのはAフロアです! なんと最初の爆発音から、ものの数十分もたたない内に試合が終了してしまいました!」

「簡単にムポポペサを壊滅出来そうな強さですね」

「ちょっと怖い事言わないで下さいよ。一応は魔王候補なのですからそこは安心ですよ」

「魔王が圧政を敷き、気まぐれに破壊と殺戮を繰り返す。ありえない話では無いと思います。ええ」

(ちょっと、田中さん!音声流れてますから!不安を煽る様な事言わないで下さい!)

(やべ。生放送だった)

「はははは、嘘。嘘です。魔王は皆さんの味方です」

「で、ですよね!」

「あ、見てください! Bフロアの残り人数が、二人と表示されました! 決着が近そうですね」


———


 さ、参加者が見つからない!走り回ってる方が疲れるってなに?

 水飲みたーい!給水所とかないのー!?

 ……もういいや。全部破壊しよう。ね、朱里。って違う、違う、ダメダメ!

「お前が最後の一人だな」

「おいー! 急に出てくるなー! うわわわわわ! あっつ、靴溶けるわ!」

「お前が最後の一人、か」

「あぶっ、危ないよ! 急に飛び出すから轢き飛ばす所だったよ!」

 ん?待てよ、別にそれでも良かったのか。失敗したな。

「俺達が最後の二人だ。ここで決着をつけようと思ってな」

「なんでよ、まだいるでしょ? あんなに沢山参加者いたんだから」

「アレを見てみろ」

 知らなかった。あんなに大きなモニターあったんだ。本当だ、残り二人になってる。あれ?隣のフロアは終わってるや。早くない?

「いくぞ! 勝負!」

 それにしてもでっかい牛だな。ツノもでかいし、持ってる斧もでかい。さっきの子の翼は欲しかったけど、このツノはいらないな。

 似合ってしまいそうなのが悔しいけど。

「うおぉぉっ!」

 小細工無しの振り下ろし。

 避けるか。受け流すか。ここは!

「掴んで、破壊が一番早いかな?」

(斧が砕けた?片手で掴まれただけだぞ!?)

「ならばっ!」

 んあ?あれ?あれれーーーーーー!?

———

「えぇー! 朱里をぶん投げるって、牛さん馬鹿力過ぎやしないかい!?」

「田中さんの素が出る程の豪快な投げ技が炸裂しましたね!」

「……ごほん。牛がゴリラもどきをぶん投げましたね。驚きです。流石ミノタウルス、その膂力には自信ありと言ったところでしょうか?」

(田中さん、ボロが出始めたな)

「朱里ちゃんが、岩に激突しちゃった! だ、大丈夫かな? しかし流石ですね。最後まで残っているのも納得の実力者です」

「まだまだ楽しみな展開が待ってそうですね。リルさん」

「クライマックスです。見届けましょう!」

(リルちゃん、タレント出来そうだな)

———

 びっくりした、ぶん投げられたよ。しかも、かなり強引に。

「無傷か。お前、本当に人間か?」

 一直線にこっちに向かってくる。力勝負がお望みって訳ね。

「久々にぶん投げられたよ! でも受け身は大得意なんだよね」

「だろうな。怪我一つ無いその姿を見れば一目瞭然だ。長い事、戦いに身を置いていると拳を交えた一瞬で実力差が分かるものだが、どうやらこの勝負俺の勝ち目は薄そうだな」

「やってみなきゃ分かんないんじゃない? あ、斧壊しちゃってごめんね。後で同じの具現化してあげるから」

「ふん、いらぬ世話よ。無駄に長引かせても仕方があるまい。次の一撃に俺の全てを懸けさせてもらう」

「潔しだね。なら私もそうさせてもらうよ」

 早速すぎる来た!馬鹿正直な正拳突き!

 当たればマジでヤバそうだけど……遅いっ!

(いとも簡単に避けるかっ!)

「私も得意なんだよね、正拳突き! おりゃ!!」

「ぐわあぁぁぁっー!」

「押忍っ!」

———
 
「す、凄まじい正拳突きが炸裂! これはもう決まりだ! Aステージ代表者の決定です! 試合を通してご覧になられましたが、如何でしたか? リルさん」

(あ、あれ?僕がメイン解説なのに飛ばされちゃった!)

「あの巨体を吹き飛ばした正拳突き、流石でしたね。その前の回避も見事でした。アレがまともに入れば相手の選手はまず立てないでしょうね。朱里ちゃん、おめでとう!」

「Bステージの代表者は朱里選手で決定いたしました! おめでとうございます! さあ、まだまだ戦いは続きます。 ここで一旦CMです」

(ええ?僕のコメントは!?)

(クリスちゃん、悲しそう)



 ふぅ、今日はもう終わりだよね?勝てて良かったよー!

 早く帰ってお風呂入りたーい!

 隣にも強そうなのがいるみたいだし、明日も気合い入れていくっきゃない!
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