恥ずかしいほど愛してる

Enishi

文字の大きさ
16 / 21
3章

嵐の前の静けさ

しおりを挟む
「かんぱーい」

大きな声を張り上げて啓太が私のジョッキに自分のビールジョッキをぶつける。

「危ない!割れる!」

啓太の笑顔に私も思わず笑みを浮かべた。
賑やかな大衆居酒屋で私たちは喉を潤す。
啓太は一気に半分まで飲み、ジョッキを置くとまだ飲んでいる私にさらに笑顔を向けた。
ようやくジョッキを置いた私も半分まで飲んでいた。

「良い飲みっぷりだな」
「喉渇いていたみたい」

ジョッキを置いて、つまみの枝豆に私は手を伸ばした。

「それで? 何があったの?」

私が聞くと啓太は驚いた表情をした。

「何かあったから飲みに誘ったんでしょ? また取引先から何か言われた?」
「おいおい、俺はたまにはあゆ美と飲みたくて」
「またぁ~そんなことで私を呼ばないでしょ? ほら、聞いてあげるから言いなさい」

啓太はわざとらしく少しむくれた表情をした。

「何かないと誘っちゃいけないのかよ」

そう言って残りのビールを一気に飲みほした。
空になったジョッキを啓太がテーブルに乱暴に置いたので私は枝豆をくわえながら飲み物のメニューを突き出した。

「次は何にする?」

啓太はそのメニューを乱暴に奪い取りざっと見た後、手を上げて「生、もう1本!」と叫んだ。

「だと思った」
「わかってるならメニューよこすな」

メニューを元の位置に戻すと啓太は目の周りをほんのり赤くした顔を私に向けた。

「もう赤いよ」

私はケラケラと笑い、啓太はその私を見て笑顔になった。

「あゆ美と飲んでいたら嫌なこと全部、忘れちゃったよ」
「何よ、それ」

それは私も同じだった。
今日は啓太に誘われてよかったと心の底から思った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

降っても晴れても

凛子
恋愛
もう、限界なんです……

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

処理中です...