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6話:春を売る
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「はいこれ後払い分」
暗いホテルの一室。
裸の小太りの男が差し出した数枚の札を小雪が制服を着ながら受け取った。
「ねえねえ、白雪ちゃん」
「何?」
「最近、君の学校で援助交際流行ってるの?」
「……知らない。あたしはソロでやってるから」
「そうなんだ」
小雪は、白雪という名で売春をしていた。
自分以外にも、同じ学校に数人同じように売春をやっていることを小雪は知っていた。きっかけはそれぞれだろうが、小雪は少なくとも、自分には大して理由はないと思っていた。さくらに目を付けられて、学校での居場所がなくなり始めた時ぐらいから売春を始めたのは偶然だし、聖女気取りで処女を守る馬鹿女共よりも自分の方が優れていると信じる為にやっているわけではない。
そう、小雪は自分に言い聞かせていた。
自分が求められている。こんな貧相な身体で、大して可愛くもない自分でなぜ喜ぶのか不思議だったが、嬉しかった。そうやってずるずると小雪は売春を行うようになった。最初は嫌悪感しかなかったが、それも慣れた。客曰く、身内の紹介が一番らしく安全に女子を買いたい男性に、女子高生や中学生を紹介する斡旋業者がいるらしい。だけど小雪はそれらには警戒して近付かなかった。
「この子、白雪ちゃんと同じ学校って紹介されてるけど……こんな可愛い子がねえ」
「どうでもいいよ」
男がスマホの画面を小雪に差し出してくる。彼女は何の興味もなかったが、渋々画面を覗いた。画面に映っているのは、一人の女子高生だった。今度のイベントの目玉だと大きく表示されてあるので嫌でも目に付く。
そこには、デート中と思わしき写真や制服の姿の画像、何より大きく表示されていたのは、その子が排泄してる様子の画像だ。
「これ、盗撮?」
「だろうねえ。他は本人の許可あるっぽいけど」
「……あの馬鹿」
「ん?」
「何でもない」
そこに映っていたのは、紛れもなく日向さくら、その人だった。小雪は思わず舌打ちをしてしまった。
暗いホテルの一室。
裸の小太りの男が差し出した数枚の札を小雪が制服を着ながら受け取った。
「ねえねえ、白雪ちゃん」
「何?」
「最近、君の学校で援助交際流行ってるの?」
「……知らない。あたしはソロでやってるから」
「そうなんだ」
小雪は、白雪という名で売春をしていた。
自分以外にも、同じ学校に数人同じように売春をやっていることを小雪は知っていた。きっかけはそれぞれだろうが、小雪は少なくとも、自分には大して理由はないと思っていた。さくらに目を付けられて、学校での居場所がなくなり始めた時ぐらいから売春を始めたのは偶然だし、聖女気取りで処女を守る馬鹿女共よりも自分の方が優れていると信じる為にやっているわけではない。
そう、小雪は自分に言い聞かせていた。
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