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2章凍てつく断罪----慈悲の導き
8話 断罪と慈悲の間で皇帝の新たな覚悟
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凍てつく玉座の間に、再びセレナの足音が響いた。
あの時と同じ場所。だが、心は、あの時とは少し違っていた。
皇帝は立っていた。逃げるでもなく、膝を折るでもなく、ただまっすぐにセレナを見つめていた。
「戻ってきてくれたのか、セレナ」
その声に、嘘はなかった。ただ、何もかもを受け入れた者の静かな覚悟が宿っていた。
セレナは答えず、玉座の前まで歩み寄ると、ゆっくりと目を閉じた。
胸の奥で、まだ冷たい怒りがわだかまっている――でも、それはもう、世界を凍てつかせるほどの力ではなかった。
「……私は、あなたを許すつもりはない」
皇帝はただ、黙って頷いた。
「でも、私はもう、過去に囚われたくはない。断罪の精霊の思うままにただ破壊するだけの存在にはなりたくない」
「断罪の精霊には容赦が無いのよ。全て正義か悪か、どちらかしか存在しない。そして悪には徹底的な断罪が執行される。」
「だから断罪の精霊だけでは駄目だったのよ。そこに慈悲の精霊が必要だった………。」
「私は怒りに囚われていて断罪の精霊の力のみが全てだと信じていた。
まさか……慈悲の精霊と対になっていて慈悲の精霊の力が混ざり、
それが正しき断罪の力なのだとは思いもしなかった。今、2つの精霊の力で改めて断罪の終焉を迎えたの」
白い息が吐き出される。精霊の力もまた、静かに波紋のように沈んでいく。
「私は、あの塔で死んだ。あの時のセレナは、あの冬に終わった。だからこそ――今ここに立っているのは、生きることを選んだ新しいセレナ」
皇帝の目がわずかに見開かれる。
「私はあなたを赦さない。でも、この国を滅ぼすこともしない。凍てつく冬は、ここで終わりにする」
彼女の言葉と同時に、空に舞っていた雪が静かに止まった。
玉座の間の天井に、小さな光が差し込む。まるで、遥か彼方に春の兆しが生まれたかのように。
「あなたは、あなたの罪を語りなさい。そして、この国の人々にも、それを伝えなさい」
「……ああ。必ず」
皇帝の声は震えていた。だが、その震えには、逃げ場を失った男の弱さではなく、立ち上がろうとする者の覚悟があった。
セレナは静かに背を向けた。
もう、この場所に留まる理由はない。
許しはしない。けれど、破壊も選ばない。
それが、彼女なりの「決着」だった。
城を出たセレナを迎えたのは、ただひたすらに白い風だった。
氷に閉ざされた王都の空は、雲すら動かない。
彼女の歩みを止めるものは、もう何もない。
だが、導くものもまた、どこにもなかった。
セレナには帰る場所がなかった。
家も、友も、故郷も。
愛された記憶も、抱きしめられた温もりも、何一つ。
人の善意を信じれば、足元が崩れた。
差し伸べられる手は、何度でも嘘だった。
だから、信じない。信じられない。
――けれど、それでも。
足は止まらない。歩くしかない。
断罪と慈悲、その本当の意味が、どこかにあると信じたいから。
誰かに赦しを乞うのではなく、自分がこの手でその意味を見つけたい。
セレナは、地図にない道を進む。
他国の街の片隅で、名もなく過ごす日もある。
誰にも顔を見られず、誰とも言葉を交わさず、ただ、夜空を見上げる。
そしていつか、もし……。
その果てで、自分の断罪が終わったと感じたとき、そのときこそ――私はわたしになれるだろうか
あの時と同じ場所。だが、心は、あの時とは少し違っていた。
皇帝は立っていた。逃げるでもなく、膝を折るでもなく、ただまっすぐにセレナを見つめていた。
「戻ってきてくれたのか、セレナ」
その声に、嘘はなかった。ただ、何もかもを受け入れた者の静かな覚悟が宿っていた。
セレナは答えず、玉座の前まで歩み寄ると、ゆっくりと目を閉じた。
胸の奥で、まだ冷たい怒りがわだかまっている――でも、それはもう、世界を凍てつかせるほどの力ではなかった。
「……私は、あなたを許すつもりはない」
皇帝はただ、黙って頷いた。
「でも、私はもう、過去に囚われたくはない。断罪の精霊の思うままにただ破壊するだけの存在にはなりたくない」
「断罪の精霊には容赦が無いのよ。全て正義か悪か、どちらかしか存在しない。そして悪には徹底的な断罪が執行される。」
「だから断罪の精霊だけでは駄目だったのよ。そこに慈悲の精霊が必要だった………。」
「私は怒りに囚われていて断罪の精霊の力のみが全てだと信じていた。
まさか……慈悲の精霊と対になっていて慈悲の精霊の力が混ざり、
それが正しき断罪の力なのだとは思いもしなかった。今、2つの精霊の力で改めて断罪の終焉を迎えたの」
白い息が吐き出される。精霊の力もまた、静かに波紋のように沈んでいく。
「私は、あの塔で死んだ。あの時のセレナは、あの冬に終わった。だからこそ――今ここに立っているのは、生きることを選んだ新しいセレナ」
皇帝の目がわずかに見開かれる。
「私はあなたを赦さない。でも、この国を滅ぼすこともしない。凍てつく冬は、ここで終わりにする」
彼女の言葉と同時に、空に舞っていた雪が静かに止まった。
玉座の間の天井に、小さな光が差し込む。まるで、遥か彼方に春の兆しが生まれたかのように。
「あなたは、あなたの罪を語りなさい。そして、この国の人々にも、それを伝えなさい」
「……ああ。必ず」
皇帝の声は震えていた。だが、その震えには、逃げ場を失った男の弱さではなく、立ち上がろうとする者の覚悟があった。
セレナは静かに背を向けた。
もう、この場所に留まる理由はない。
許しはしない。けれど、破壊も選ばない。
それが、彼女なりの「決着」だった。
城を出たセレナを迎えたのは、ただひたすらに白い風だった。
氷に閉ざされた王都の空は、雲すら動かない。
彼女の歩みを止めるものは、もう何もない。
だが、導くものもまた、どこにもなかった。
セレナには帰る場所がなかった。
家も、友も、故郷も。
愛された記憶も、抱きしめられた温もりも、何一つ。
人の善意を信じれば、足元が崩れた。
差し伸べられる手は、何度でも嘘だった。
だから、信じない。信じられない。
――けれど、それでも。
足は止まらない。歩くしかない。
断罪と慈悲、その本当の意味が、どこかにあると信じたいから。
誰かに赦しを乞うのではなく、自分がこの手でその意味を見つけたい。
セレナは、地図にない道を進む。
他国の街の片隅で、名もなく過ごす日もある。
誰にも顔を見られず、誰とも言葉を交わさず、ただ、夜空を見上げる。
そしていつか、もし……。
その果てで、自分の断罪が終わったと感じたとき、そのときこそ――私はわたしになれるだろうか
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