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【第二部】東の国アル・ハダール
64 再会
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誰もいないはずの部屋の大きな窓の前に、誰かが立って外を見ていた。その大きな黒い人影に、神殿でエイレケのアダンに眠り薬をかがされて連れ去られた時のことを思い出して心臓がヒュッとなる。
その時、僕に気づいたらしい相手が振り向いて、思わず息を呑んだ。
「…………ダ、……」
それ以上言葉は出なくて、気が付いたら部屋履きを蹴り飛ばして走り出してた。そして大きくて分厚くてめちゃくちゃ重そうな身体にしがみつく。
すると相手は初めはちょっと驚いたみたいな顔をして、でもすぐに僕の肩を抱いて大きな手のひらを頭の上に乗せてくれた。
息を吸うと懐かしい匂いがする。そう、サイードさんとあともう一人、僕の大好きな匂いだ。
サイードさんはスッキリとした中にほんの少し甘い果物とピリッとする香辛料が入り混じったような香りがする。前に何か香水みたいなのでもつけてるのかな? って思ったほどだ。
でもこの人は違う。甘さなんかは欠片もなくて、そう、太陽に晒されて乾いて焼けた砂のような匂いだ。
僕がその懐から顔を上げると、頭に乗せた手のひらをするり、と僕の頬に滑らせる。そしてすこしかさついた親指で濡れた目尻を拭って、そのまま僕の手を取って口づけて言った。
「ようやくお目に掛かれましたな、神子よ」
「……それはこっちの台詞だよ、ダルガート」
さっきまでの疲れや怠さはすっかりどこかに吹き飛んでしまった。僕は悔し紛れにニッと笑って見せると、ダルガートの太い胴に巻きつけた腕に精一杯力を込めた。
「お変わりないか」
「ないよ。怪我もしてない。サイードさんもね」
「それはよろしゅうござった」
警護の仕事はもう終わったのか、今日はあの薄い金属の鎧はつけておらず、薄着でゆったりした服を着ている。だからダルガートが声を出す度にくっついたお腹の辺りに直接彼の声が響いてきた。
こうしていると、あのエルミランの聖廟で冷え切って意識を亡くしたダルガートの上に覆いかぶさって、同じようにぴったりと肌を合わせながら彼の顔を見下ろしていた時のことを思い出す。
ほんとに、ほんとにダルガートだ。
相変わらず何を考えてるかわかんない無表情というか鉄面皮というかそんな顔だけど、記憶と全然変わらない黒い目を見ているとなんだか胸がいっぱいになってくる。
ああ、そうか。僕はずっと、こんなにもダルガートに会いたかったのか。自分のことなのに今頃になってようやく理解する。
神殿で最後に会ってからもう四十日以上が経っている。
でも僕にはずっとサイードさんがついていてくれて、だから寂しいとか何かに困ったことなんて一度もなかった。それなのにこうしてダルガートを見ると、やっぱりどこか何かが足りなかったんだ、ってよくわかる。
僕には絶対サイードさんが必要なのと同時に、きっとダルガートじゃなきゃ埋められない穴があるんだ。なんて贅沢でわがままなんだろうって自分でも呆れてしまうけど。
でも多分、多分だけど、それは僕だけじゃなくて、サイードさんだってそうだと思う。サイードさんのようにたくさんの責任と役目を負っていて、辛いことや苦しいことがあっても黙ってそれに耐えているような人を完全に満たしてあげるには、僕だけじゃ足りないんじゃないだろうか。
ふと、旅の間に何度も思ったことが頭をよぎる。もしもダルガートが今ここにいたら、って。僕は何度そう思ったことだろう。
ダルガートならサイードさんを慰めるいい言葉がわかったかもしれない。それどころか、もしダルガートが一緒だったらサイードさんの馬が怪我をすることだって絶対になかったはずだ。
わかってる。全部ただの八つ当たりだ。自分にダルガートのような力や強さがないのがいけないのに。それでも久し振りにダルガートに会えてホッとした反動なのか、こみ上げてくる感情を抑えることができなかった。
「すごく会いたかった」
僕はぐい、と顔を上げてダルガートを見る。
「ほんとだよ? 旅の間だって一緒にいてくれたら、そしたら……」
でもダルガートは少しおかしそうに目を細めただけだった。
「ダルガートは?」
ずっと会えてなかったのに、以前と全然様子の変わらないダルガートが少し腹立たしくて、思わず聞き返してしまう。僕一人で浮かれて苛々して八つ当たりして、本当にバカ丸出しだ。情けない。
そう思った時、出し抜けに身体を持ち上げられて、鼻がぶつかるくらい近くでダルガートが言った。
「愚問だ、神子よ」
僕を見るダルガートの黒い目の奥に何かが見え隠れしている。ひどく獰猛で荒々しい、僕を落ち着かなくさせる何かが。
途端に身体の奥がカッと熱くなって、考えるより先に身体が動いた。
僕はほんの数センチ先にあるダルガートの厚くて肉感的な唇に噛みつくようにキスをする。するとすぐにダルガートもそれに応えてくれた。
「……っ、ん……っふ、んっ」
唇で触れ合って、噛みついて、すぐに舌が入り込んでくる。
僕は今まで誰かを好きになったり付き合ったりした経験なんてまるでなかったけど、同じキスでも人によって全然違うんだってことをこっちの世界に来て初めて知った。
旅の途中、周りの目を気にして僕とサイードさんはあまり過度な接触はしないようにしてたんだけど、その分泊めてもらった幕家や村や街の家の誰もいない片隅で盗み合うような口づけをたくさんした。
サイードさんとのキスはひどく優しくて甘くて、まるで正しい方向にたくさん毛並みを撫でられた猫みたいな気持ちになってホッとする。
でもダルガートとのキスはサイードさんとするのとは全然違う。ダルガートの舌は彼の身体と同じで厚みがあって力強い。それに身体も口の中もすごく熱い。触れたところからガンガン伝わってくるその熱が嵐のように何もかも奪い尽くして、僕の腹の奥底にも火を点ける。
ダルガートが口づけながら僕をお姫様みたいに軽々と抱き上げた。さすがにそんな風にされると力の差とか体格差がちょっと悔しくはあるんだけど、でもダルガートぐらい色々と規格外の相手だともう仕方ないか、って思ってしまう。
そのまま僕なんて何ほどの重さもないみたいに簡単に運ばれて、神殿のと同じくらい大きな天蓋つきの寝台に降ろされた。
「んっ、……っふ、ん……っ」
覆いかぶさって来るダルガートに浅く、深く口づけられる。ウルドが着せてくれた夜着はほんとに薄くて軽くて、肩や腕や脇腹や胸を這うダルガートの手のひらの熱さにゾクゾクと快感が走った。
突然、ダルガートが僕の首筋に顔を埋め、スンと鼻を鳴らして言う。
「……神殿にいた時とは違う香油ですな」
「え? ああ、そうみたい……、前のはラヴァンドラってやつだったんだけど……」
と言いかけたところでダルガートの目を見て、思わず言葉を呑み込んだ。
「お分かりか? これは男を煽り、奮い立たせる匂いだ」
そう言われて顔がたまらなく熱くなる。それに僕まで自分の身体から匂い立つ、まるで夜の底みたいな濃密な香りがひどく気になり始めた。
はぁ……、と吐息が漏れて、僕から首を伸ばして少し上にあるダルガートにキスをする。そのままものすごく頑丈そうな首に両腕でしがみついて身体を起こした。
ダルガートも僕の舌を絡めとって口の中を愛撫しながら、僕のしたいことを読んでくれたみたいに僕を上に乗せて、寝具に仰向けに寝てくれる。
ダルガートのがっしりとした強靭な胴の上に跨って、僕はダルガートの腰帯を抜いて服を剥ぎ、鍛え抜かれた身体を露わにする。そして彼の太い首や浮いた鎖骨や厚みのある胸筋や硬い腹筋に夢中で唇を這わせ、口づけていった。
その時、僕に気づいたらしい相手が振り向いて、思わず息を呑んだ。
「…………ダ、……」
それ以上言葉は出なくて、気が付いたら部屋履きを蹴り飛ばして走り出してた。そして大きくて分厚くてめちゃくちゃ重そうな身体にしがみつく。
すると相手は初めはちょっと驚いたみたいな顔をして、でもすぐに僕の肩を抱いて大きな手のひらを頭の上に乗せてくれた。
息を吸うと懐かしい匂いがする。そう、サイードさんとあともう一人、僕の大好きな匂いだ。
サイードさんはスッキリとした中にほんの少し甘い果物とピリッとする香辛料が入り混じったような香りがする。前に何か香水みたいなのでもつけてるのかな? って思ったほどだ。
でもこの人は違う。甘さなんかは欠片もなくて、そう、太陽に晒されて乾いて焼けた砂のような匂いだ。
僕がその懐から顔を上げると、頭に乗せた手のひらをするり、と僕の頬に滑らせる。そしてすこしかさついた親指で濡れた目尻を拭って、そのまま僕の手を取って口づけて言った。
「ようやくお目に掛かれましたな、神子よ」
「……それはこっちの台詞だよ、ダルガート」
さっきまでの疲れや怠さはすっかりどこかに吹き飛んでしまった。僕は悔し紛れにニッと笑って見せると、ダルガートの太い胴に巻きつけた腕に精一杯力を込めた。
「お変わりないか」
「ないよ。怪我もしてない。サイードさんもね」
「それはよろしゅうござった」
警護の仕事はもう終わったのか、今日はあの薄い金属の鎧はつけておらず、薄着でゆったりした服を着ている。だからダルガートが声を出す度にくっついたお腹の辺りに直接彼の声が響いてきた。
こうしていると、あのエルミランの聖廟で冷え切って意識を亡くしたダルガートの上に覆いかぶさって、同じようにぴったりと肌を合わせながら彼の顔を見下ろしていた時のことを思い出す。
ほんとに、ほんとにダルガートだ。
相変わらず何を考えてるかわかんない無表情というか鉄面皮というかそんな顔だけど、記憶と全然変わらない黒い目を見ているとなんだか胸がいっぱいになってくる。
ああ、そうか。僕はずっと、こんなにもダルガートに会いたかったのか。自分のことなのに今頃になってようやく理解する。
神殿で最後に会ってからもう四十日以上が経っている。
でも僕にはずっとサイードさんがついていてくれて、だから寂しいとか何かに困ったことなんて一度もなかった。それなのにこうしてダルガートを見ると、やっぱりどこか何かが足りなかったんだ、ってよくわかる。
僕には絶対サイードさんが必要なのと同時に、きっとダルガートじゃなきゃ埋められない穴があるんだ。なんて贅沢でわがままなんだろうって自分でも呆れてしまうけど。
でも多分、多分だけど、それは僕だけじゃなくて、サイードさんだってそうだと思う。サイードさんのようにたくさんの責任と役目を負っていて、辛いことや苦しいことがあっても黙ってそれに耐えているような人を完全に満たしてあげるには、僕だけじゃ足りないんじゃないだろうか。
ふと、旅の間に何度も思ったことが頭をよぎる。もしもダルガートが今ここにいたら、って。僕は何度そう思ったことだろう。
ダルガートならサイードさんを慰めるいい言葉がわかったかもしれない。それどころか、もしダルガートが一緒だったらサイードさんの馬が怪我をすることだって絶対になかったはずだ。
わかってる。全部ただの八つ当たりだ。自分にダルガートのような力や強さがないのがいけないのに。それでも久し振りにダルガートに会えてホッとした反動なのか、こみ上げてくる感情を抑えることができなかった。
「すごく会いたかった」
僕はぐい、と顔を上げてダルガートを見る。
「ほんとだよ? 旅の間だって一緒にいてくれたら、そしたら……」
でもダルガートは少しおかしそうに目を細めただけだった。
「ダルガートは?」
ずっと会えてなかったのに、以前と全然様子の変わらないダルガートが少し腹立たしくて、思わず聞き返してしまう。僕一人で浮かれて苛々して八つ当たりして、本当にバカ丸出しだ。情けない。
そう思った時、出し抜けに身体を持ち上げられて、鼻がぶつかるくらい近くでダルガートが言った。
「愚問だ、神子よ」
僕を見るダルガートの黒い目の奥に何かが見え隠れしている。ひどく獰猛で荒々しい、僕を落ち着かなくさせる何かが。
途端に身体の奥がカッと熱くなって、考えるより先に身体が動いた。
僕はほんの数センチ先にあるダルガートの厚くて肉感的な唇に噛みつくようにキスをする。するとすぐにダルガートもそれに応えてくれた。
「……っ、ん……っふ、んっ」
唇で触れ合って、噛みついて、すぐに舌が入り込んでくる。
僕は今まで誰かを好きになったり付き合ったりした経験なんてまるでなかったけど、同じキスでも人によって全然違うんだってことをこっちの世界に来て初めて知った。
旅の途中、周りの目を気にして僕とサイードさんはあまり過度な接触はしないようにしてたんだけど、その分泊めてもらった幕家や村や街の家の誰もいない片隅で盗み合うような口づけをたくさんした。
サイードさんとのキスはひどく優しくて甘くて、まるで正しい方向にたくさん毛並みを撫でられた猫みたいな気持ちになってホッとする。
でもダルガートとのキスはサイードさんとするのとは全然違う。ダルガートの舌は彼の身体と同じで厚みがあって力強い。それに身体も口の中もすごく熱い。触れたところからガンガン伝わってくるその熱が嵐のように何もかも奪い尽くして、僕の腹の奥底にも火を点ける。
ダルガートが口づけながら僕をお姫様みたいに軽々と抱き上げた。さすがにそんな風にされると力の差とか体格差がちょっと悔しくはあるんだけど、でもダルガートぐらい色々と規格外の相手だともう仕方ないか、って思ってしまう。
そのまま僕なんて何ほどの重さもないみたいに簡単に運ばれて、神殿のと同じくらい大きな天蓋つきの寝台に降ろされた。
「んっ、……っふ、ん……っ」
覆いかぶさって来るダルガートに浅く、深く口づけられる。ウルドが着せてくれた夜着はほんとに薄くて軽くて、肩や腕や脇腹や胸を這うダルガートの手のひらの熱さにゾクゾクと快感が走った。
突然、ダルガートが僕の首筋に顔を埋め、スンと鼻を鳴らして言う。
「……神殿にいた時とは違う香油ですな」
「え? ああ、そうみたい……、前のはラヴァンドラってやつだったんだけど……」
と言いかけたところでダルガートの目を見て、思わず言葉を呑み込んだ。
「お分かりか? これは男を煽り、奮い立たせる匂いだ」
そう言われて顔がたまらなく熱くなる。それに僕まで自分の身体から匂い立つ、まるで夜の底みたいな濃密な香りがひどく気になり始めた。
はぁ……、と吐息が漏れて、僕から首を伸ばして少し上にあるダルガートにキスをする。そのままものすごく頑丈そうな首に両腕でしがみついて身体を起こした。
ダルガートも僕の舌を絡めとって口の中を愛撫しながら、僕のしたいことを読んでくれたみたいに僕を上に乗せて、寝具に仰向けに寝てくれる。
ダルガートのがっしりとした強靭な胴の上に跨って、僕はダルガートの腰帯を抜いて服を剥ぎ、鍛え抜かれた身体を露わにする。そして彼の太い首や浮いた鎖骨や厚みのある胸筋や硬い腹筋に夢中で唇を這わせ、口づけていった。
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