祝福されし太陽の神子と夜の従者の最期

伊藤クロエ

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祝福されし太陽の神子の役目

01 見知らぬ世界

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(今日は四話更新、それ以降は毎朝6時更新となります)
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「やべ、目の前が暗い……」

 立ち眩みだろうか。急にくらっときて慌てて立ち止まり、両膝に手をつく。

「あー、鉄分足りてねぇのかなー」

 まだ五月とは思えないくらいの炎天下の中、俺は大学へ行く途中の道で呟いた。このままだと一限目に遅刻してしまいそうだ。月曜日の一限目に必修の語学なんか取ったやつを心底呪ってやりたい。って自分なんだが。

(まあ一回ぐらい休んでもなんとなるか)

 親や友人たちからいつも『お気楽極楽野郎』と言われる能天気さで、俺はあっさりと一限目を放棄した。そしてふらふらと往来の脇に寄る。ところがそこでぐらりとめまいを起こして倒れてしまった。――――そして、不思議な夢を見た。



 突き抜けるような青い空と白い雲。折り重なるように続く赤茶けた山の頂上に、石を積み上げて造られた建物がある。それは神様を祀る神殿か何かに見えた。

 その神殿へと続く長い長い階段の下に大勢の人たちが詰めかけている。みんな黒い髪と褐色の肌をしていて、誰もがひどく興奮して口々に何かを讃え叫んでいた。
 そんな人たちをかき分けるようにして、逞しい半裸の男たちが担ぐ輿こしに乗った一人の青年が神殿への道を登っていく。彼はキラキラ輝く黒い目と背中まである艶やかな黒髪が美しい、淡い褐色の肌の驚くほど綺麗な男だった。
 
「***! ********! *******!」

 俺にはわからない言葉で、みんなが何かを叫んでいる。
 神殿へ向かう彼を見送る人たちの顔は歓喜に満ちていて、女は彼に向かって花を投げ、男たちは拳を振り上げて雄たけびを上げていた。そして輿から降りて山のてっぺん目指して一人石の階段を登っていく彼の顔は喜びと誇りに輝き、頭上に照り付ける太陽みたいに晴れやかだった。
 彼の視線はひたすらに山上の神殿へと注がれている。正確には、そこに立っている一人の男に。

 その男は波打つ長い黒髪を後ろで束ね、褐色の逞しい身体を太陽の下に晒している。凛々しくて端正な顔に柔らかな笑みを浮かべて、石の階段を登って来る青年を待っていた。

 そして二人が互いの前に立ち、手に手を取って微笑みあう姿を目にした時、俺はなぜか胸がぎゅっと締め付けられるような苦しさを覚えた。
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