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08★ 赤ずきんちゃん、奪われる。

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「……あ」

 臍につきそうなくらい反り返ったドルフの肉棒が、散々弄られてひくついてるアナルに押し当てられる。
 ドルフのモノが僕のそんなところにちゅぷ、とくっつけられてるなんてとても現実だなんて思えない。けど僕を肩をベッドに押し付けてる手の力の強さとか、身を屈めて耳元に吹きかけてくる熱くて荒い呼吸とか、僕の俯いた首筋に時々ぐい、って押し付けてくる尖った鼻先とか、そして何よりアソコに押し当てられてる熱の感触が、全部ホンモノで現実なんだって言ってる。

「う」

 僕は来たる衝撃を無意識に悟って、口を覆った手にさらに力を込めた。けどどうしても大きく開かされた両足の間の、そこから目が離せない。
 ぷちゅ、ぷちゅ、とカウパーに塗れたドルフのモノの先っぽと僕の後腔がくっついては離れ、入り口を押し開こうとしては滑って濡れた音をたてる。
 あ、いやだ、うそ、ほんとに、はいって、…………っ!?
 狼族のペニスは人間のように亀頭が膨れていない。だから少し丸みを帯びた円錐形の先端がぬる、っと簡単に潜り込んできてしまう。

「~~~~~~~~~ッツ!!」

 勃たないとか、不能だとか、一体なんの冗談……!? っふ、すご……おおき、い……っ、ふとくて、なか、ぐりぐりこすれてる、ああ、うそだ、そんな。
 そのまま太い竿の部分までずぶずぶと入っていくのを僕は瞬きもできずに凝視した。
 そう、先のとがった、この形がいけないんだ。だって僕は正真正銘初めてなのに、あんなに太くて血管がビクビクしてる狂暴なモノをいきなり最奥までぐっぷりとねじ込まれてしまって、思わずベッドの上で激しく仰け反った。

「ひうんっ!」

 もうとにかく、くるしくてくるしくて、ドルフのおっきいのが、おなかいっぱいにはいってるのが、いやでもわかって。
 ああ、うそうそうそうそ……っ! おなか、くるしい、やだ、うごかないで、あ、う、う~~~~っ!!
 なんで、苦しいはずなのに、手でぎゅって押さえた口の端からこぼれそうになるのは甘い甘い喘ぎなのはなんで?

「っふ、んっ、……っ、ふ…………ぅん……っ!」

 やっぱりドルフは酔っぱらってて、意識もかなり朦朧としてるんだろう。彼の動きはいつもの機敏さからは想像もつかないほどひどく緩慢で、不規則で、腹いっぱいに埋め込まれたまま何度も寸止めの状態で動きを止められてしまう。そうかと思うと今度はじれったくてじれったくて叫び出したくなるほどゆっくりと奥をこね回されて、もう僕は泣き出す寸前だった。
 ああ、うそだろ? こんなにくるしいのに、いきができないくらい、きもちいよくてたまんない……っ!

 中の粘膜を擦られて、少し尖った先端が奥の行き止まりみたいなところをぬちぬち突いてくるたびにゾクゾクとたまらない熱と疼きが下腹の奥深くを刺激する。
 ああ、イきたい、でもイけるわけない。だって、こんな。
 その時またドルフが動きを止めた。って嘘だろ!? こんな状態で……!? 思わずすぐ上にあるドルフの顔を見上げる。ああもうやだ、はやくイきたい。みっちりと埋め込まれたソコが、ずくずくと疼いてたまんない。
 はやくうごいて、このままじゃあたまがおかしくなっちゃう……。もう訳がわかんないまま我慢できずにドルフを揺さぶろうとしたけど、じっと僕を見下ろしてるドルフの金褐色の目に射竦められて、指一本動かせなくなった。

 …………ドルフが、僕をみてる。
 今まで一度も僕のことなんて振り返ったりしたことないのに。いつも一人でどこまでも走っていってしまうのに。どんなに辛くても苦しくても僕にはひとことも打ち明けてはくれなかったくせに。
 なのに今は僕だけを見ている。あの、ギラギラと光る綺麗な目が、僕だけを。

「…………っふ…………っ」

 どうしよう、たったそれだけのことなのに、心臓がドキドキして痛い。お腹がきゅぅうううっ、ってなってイってしまいそうになる。

 ゆらゆらと、暗闇の中で舌なめずりしている獣の目は、明らかに僕を欲しがってる。
 まさか、本当にあのドルフが、僕に、欲情してんの……っ?
 突然、ゾクゾクと得体の知れない感覚が腹の底から這い上がってきて全身総毛立つ。

「~~~~~~~~~ッツ!?」

 一瞬呼吸が止まって、腹いっぱいに埋め込まれた極太の楔をうねる肉襞がきつく締め付ける。陰嚢の奥からとてつもない熱の塊が一気にこみ上げてきて、僕は反り返ったペニスから勢いよく精液を吐き出してしまった。

「………………っふ………………う……ぁっ…………」

 視界がパチパチと弾けて意識が朦朧とする。まだ出し切れていない精液がポタポタと自分の腹に滴り落ちてくるのをぼんやりと感じていると、突然ドルフが動き出した。

「ひぐっ!」

 まだビクビクと痙攣している奥を容赦なく突かれ、限界まで広げられた肉襞を何度も擦られる。僕は必死に口を抑えて声を殺す。

「…………っ、…………っふ、ん………………っ」

 だめ、こえだしちゃ、みんな、おきちゃう。

「っ、んぐ、っふ…………っ、んっ」

 ああ、うそ、きもちいい、きもちいい。
 その時、ドルフのモノの根元あたりが僕の中で急に硬くしこって膨張して、僕は仰け反りながら悲鳴を飲み込んだ。
 な、なに? なんなのこれ!? あ、だめ、当たってる、さっき散々ドルフに弄られたあの場所に、当たってる……ッ!!

「んっ、っふ、んっ、んんっ」

 あっ、やだ、こえ、こえ、でちゃう。
 ずんずんとドルフが腰を打ち付けてくるたびに頭がおかしくなるんじゃないかってくらいひっきりなしに快感が襲ってきて、僕は必死に手を押し付け口を塞ぐ。
 ああ、どうしよう、だめだ、こえきかれちゃ、ドルフに。
 だって、もしもドルフに声を聞かれてしまったら、きっとドルフは正気に返ってしまう。今自分が抱いているのが柔らかな胸と熱いヴァギナを持つ女じゃなくて、今まで自分が見向きもしなかったただの古い昔なじみの男なのだと気づいてしまう。

「ハッ、ハッ、ハッ」

 ドルフが荒い息を吐きながら僕を押さえつけて、太くて硬くて熱いペニスで支配する。
 僕を組み伏せてる獰猛な、狼そのものみたいなドルフを見上げながら僕はようやく理解した。
 そうだ、僕はもうずっとずっと前からドルフに捕まっちゃってたんだ。
 憧れとか、尊敬とか、そんな綺麗な言葉じゃ片付けられない気持ち。
 ドルフが欲しい。ううん、違うな、僕がドルフのものになりたいんだ。強い強い狼が唯一大事にしてる特別なもの。僕はドルフの『特別』になりたいんだ。
 ははっ、我ながら大それた望みだな。
 こんな最低で最悪の事態に陥って、僕はようやくドルフに抱いていたドロドロとした感情の正体を知ってしまった。

 その時、よそ事を考えてた僕に苛立ったみたいにぐぐっ、と奥を突かれて我に返る。暗い部屋でもドルフの目はギラギラと光っててすごく綺麗だ。ハッ、ハッって短く息をしながら舌をだらりと出してるドルフを見てると本当に獣に犯されてるみたいで余計にドキドキする。
 ああ、どうしよう、きもちいい、ドルフの、おっきなのでぐちゅぐちゅ突かれて、あう、すごい、あつい、あつい。
 自分からはほとんどしゃべらなくて、口を開けば皮肉っぽい意地悪な言葉ばかり。僕が一生懸命面白おかしい話とかしても大きな口の端っこを上げるだけ、みたいな、そんなドルフが獣みたいに欲望を剥き出しにした顔で僕を見下ろしてる。

 ああ、そう、ぼくをみてよ、ドルフ。たのむから、ぼくをみて。

 けどドルフはいつも鋭く僕を射抜く目を閉じてしまう。そしてぶるり、と身体を震わせて僕の一番奥深くで射精した。
 突然、最奥に叩きつけられたそれがあまりにも熱くて熱くて、まるでその熱がじんわりと僕の中に染み込んでくるような感覚に襲われる。

「…………っふ、う、…………っ、ふ…………っ」

 なんとか息を吸おうとするけどできない。まだお腹の中にドクドクとドルフの精液を注がれ続けてるのがわかる。時々中でドルフのがびくっ、びくっ、てして……ああ、すごい……まだ出てる……。おなかが、あついよ……ぉ……。

 ドルフがハアハアと息を荒げながら、それでも時折ぐりぐりと先端をなすりつけるように動かして最後の一滴までを僕のナカに注ぎ込むのを感じながら、僕は真っ白になってく頭で、もうそれ以上考えることをやめてしまった。


   ◇   ◇   ◇


 一瞬、僕は意識をなくしていたらしい。けどずるずると巨大なモノが抜けていく感覚と突然腰のあたりに落ちてきたとてつもない重みに僕はハッと我に返った。そんで恐る恐る上半身を起こすと、僕の上にうつ伏せて寝入ってしまったドルフの、汗に濡れた黒い毛皮に覆われた逞しい背中が見えた。それとがっしりとした太い首に、ぶ厚い肩とそこから繋がる逞しい腕。顔はベッドに埋まっててよく見えない。

「…………ド、ドルフ……っ」

 ザーッと音を立てて血の気が引いていって目の前が真っ暗になる。その時、ドルフが低く唸って身じろいだ。思わず僕は硬直してしまう。けどその弾みで腹の奥から何かが流れ出すような感覚がして息を止めた。

「…………あ」

 ベッドのシーツについた尻の間からどぷ、と何かが溢れて来る。

「ひっ」

 未だに何か太いモノが挟まっているような違和感が残る後腔を必死に閉めながら触ってみると、白い粘液がねっとりと指を濡らした。

(……これ、ドルフの……っ)

 ずくん! と腹の奥が震えてさらにドルフの精液が腿を伝い落ちてくる。
 僕は思うように動かない身体を叱咤してなんとかドルフの下から這い出した。そして息を殺して脱がされた下着と部屋着を手探りで拾い上げる。

 どうしよう、どうしよう、泣きそうだ。

 僕は窓の外から時折聞こえてくる酔っ払いの調子はずれな歌とノールのいびきに耳をふさいで、油断したら涙が転げ落ちてきそうな目を擦って浴室へと逃げ出した。
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