まだまだこれからだ!

九重

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第一章 異世界の住人はとても個性的でした。

白い妖精さんに出会いました

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「×××! ○○!」

 耳元で怒鳴られ、体をユサユサと揺さぶられ、うららは目を覚ました。
 開けた目の前には、魔女のおばあさんの不機嫌な顔がある。

「××、○△×!」

(……図太いとか、危機感がないとか言われていそう)

 やはり、悪口は伝わるものだった。
 見れば、ウルフィアももう一人の男性も呆れ顔をしていた。
 その顔のまま、男性が近づいてくる。

「サーバス」

 男性は自分を指さしながら、そう言った。それが彼の名前なのだろう。

「サーバスさん?」

「サーバス」

 やはり敬称はいらないらしい。
 年上の男性を呼び捨てすることに躊躇いながらも暖は口を開く。

「サーバス」

 笑って頷いてくれた。

 それから三人は再び話し合いをはじめてしまう。 相変わらず何を言っているかはわからないが、その中から一つの言葉が繰り返されるのを聞き取れるようになった。

 ――――アルディア――――

 同じ単語が、三者三様に語られる。

 ディアナは、嫌そうに。
 ウルフィアは、固い口調で。
 サーバスは、遠慮がちに。

(アルディアって、何だろう?)

 暖は頭を捻る。何となく人の名前のような気がするのだが、この三人からこれ程バラバラな印象で呼ばれる人物に興味が湧いた。

(人だとしたら、どんな人?)

 やがて、サーバスがおずおずと暖の前に立った。

「××、アルディア××」

 何かはわからないが促される。
 そのまま腕を引かれ、連行された。
 暖を促しながら、ディアナやウルフィアも追い立てる。サーバスの勢いはすごかった。

(何だか早く厄介払いしたい雰囲気がするのは気のせいじゃないわよね?)

 あれよあれよという間に建物から出され、近くの別の建物に案内された。
 
 行った先は外も中も白い建物だ。
 かなり大きく、屋内は清潔でどこもかしこもピカピカ。ゴミはもちろん、ホコリひとつない。

(病院? それとも、サナトリウム?)

 キレイだけれど、どこか寂しい静かな建物だった。
 屋内にいる人はまばらで、その誰もが、暖たちに驚いていた。
 奥まった一室の前まで、ずんずん進んだサーバスが、立ち止まる。
 コンコンとノックをすれば、きちんとした身なりの老紳士が、ドアを開けた。
 その紳士とサーバスが話し合って 紳士が奥に引っ込んでいく。
 しばらく待って 出てきた紳士に招き入れられて、そのまた奥の部屋に入った。


 そこは、やっぱり白い上品な部屋だった。
 白い壁に白い天井。純白な家具と絨毯。カーテンも白く、窓から入る風にふわりと揺れている。
 中央に、白い大きなベットがあった。布団も枕も当然白い。


 そこに、……白い妖精が、上体を起こして座っていた。


 頭がどうかしたのかと心配しないでほしい!
 本当に、そこにいるのは、妖精にしか見えないような人物なのだ。
 キラキラ輝く白銀の長いストレートの髪。
 透き通るような白い肌。
 整い過ぎるほどに整った、……顔。
 その美しさは、こちらを向いた角度から胸がまっ平らだということがわからなかったならば、完全に女性だと思ったほどだった。
 窓から入る陽光を浴びて、全身から光を発しているみたいな人間離れした美しさ。

(顔、小さい)

 そこにいたのは、ほっそりとした完璧無比なイケメンだった。

「アルディア○○」

 サーバスが何かを言って、その場に膝をつく。
 ディアナも嫌そうに腰を折って、頭を下げた。
 ウルフィアなどは、部屋に入った瞬間に片膝をついて頭を下げたきり動いていない。

 暖は、キョロキョロしてしまう。
 自分も頭を下げた方が良いのかもしれないが ……わからなかった。

 アルディアと呼ばれただろう男性が、暖を見る。
 吸い込まれるような紫の瞳だ。 

(…………キレイ)

 思わず魅入ってしまった暖の視線の先で、女神のように美しい顔が、……大きくしかめられた。


「何だ、ソイツは?」


 思いっきり嫌そうに言われてしまう。

「えっ? 言葉がわかる!?」

 言われた内容より、驚きが大きい。
 暖は、ポカンと口を開けた。
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