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第二章 平穏な日々ばかりではないようです。
王子さまは魔女に勝てません
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そんなこんなのやり取りの後、何故かアルディアのもとにディアナが怒鳴りこんできた。
「王子! お前という奴は、いったい何時からウララの父親になったのだ!?」
アルディアは額を押さえる。
「あんな破天荒娘の父親なんかゴメンだ」
「ならば、何故ウララの行動にいちいち口出しをする?」
美しい顔を嫌そうにしかめながらアルディアはディアナを睨む。
当然、ディアナはそんな顔に怯むことなどなかった。
「返答次第では、今すぐ永眠の魔法をかけてやるぞ!」
杖を振り上げるディアナ。
そのスムーズな体の動きに彼女の関節痛の目覚ましい快復ぶりを見て、アルディアはますます頭を抱える。
こうなったディアナがアルディアの口先だけの誤魔化しに丸め込まれるはずはなかった。
観念した王子は、深いため息をこらえながらディアナに自分の懸念を伝える。
暖が治癒の力を持っているかもしれないこと。
その力が知られたら、暖に危険が及ぶだろうことを話した。
聞いたディアナは――――
「なんだ。そんなつまらん事を悩んでウララの行動を制限したのか」
思いっきり呆れたようにそう言った。
「……だから、あなたに話すのは嫌だったんだ」
アルディアは大きく顔をしかめる。
ディアナは「阿呆じゃな」と笑った。
「何のために、ギオルが竜玉を授けたのだと思っておる?」
「竜玉……」
「あれを授けられたウララに、そんじょそこらの者が害をなせるはずがないじゃろう。それぐらいわからんのか?」
確かにその通りだった。
「お前の心配は遅きに過ぎる。ウララを大切に思う者は既に対策を考えておるぞ」
したり顔でディアナは説明する。
「――――まあリオールの花冠は流石に重すぎるからギオルが止められてOKじゃったが……そうそう、ラミアーが寝惚けたふりをしてウララに噛みつこうとするのも、まあ問題じゃな。わしが目を光らせておる間はそんなことはさせないが」
話を聞いてアルディアはますます頭を抱えた。
いつの間にそんな事態になっていたのだろう?
「ウララを守ろうとする者は多い。ウルフィアがウララをドワーフに会わせようとするのも、ドワーフのためというよりもウララのためじゃ。万が一どこかの国との戦になれば、あのドワーフの戦闘力を遊ばせておく手はないからな」
ニッとディアナは笑う。
「戦――――」
アルディアは呆気にとられた。
「あの娘を守ろうとするなら、それくらいの覚悟はいるという事じゃ。王子よ、お前もよく考えて覚悟を決めるがいい。……戦う相手がこの国とならぬ保証はないからな」
ディアナの言葉は重かった。
「私は……」
返事が出来ずにアルディアは言葉に詰まる。
「――――という事で、ウララにドワーフの面倒を見させるからな」
その隙にディアナは一方的に宣言した。
たった今までの重い空気はどこにやったのか?
あっけらかんと笑った。
「やれ良かった。なんと言っても、あのドワーフは頑固者でな。ウルフィアもほとほと困っていたのじゃ。能天気なウララならなんとかするじゃろう。……ウルフィアは、わしの貴重な茶飲み友達じゃからな。このままでは、ゆっくり茶を飲み世間話を楽しむこともできなくなるところじゃった」
――――本音駄々漏れな言葉だった
「しのごの言いながら、結局は面倒な相手をウララに任せたいだけなのか!?」
アルディアは怒鳴る。
当たり前じゃろうとディアナは胸を張った。
「いい若いもんがおるのに何でわしら年寄りが苦労せんとならん。使える者は使うのがわしの主義じゃ。しかも一石二鳥を狙えるのにためらう必要はないじゃろう?」
ディアナは悪びれもしない。
アルディアはがっくり項垂れた。
「良いか! 既に、これは決定事項じゃからな!」
人生経験の差なのか、はたまた単にディアナの性格がずうずうしいだけなのか? (絶対後者だろうとアルディアは確信する)どうあがいてもアルディアに勝ち目はなさそうだ。
こうして、暖がドワーフの世話をすることは決まったのであった。
「王子! お前という奴は、いったい何時からウララの父親になったのだ!?」
アルディアは額を押さえる。
「あんな破天荒娘の父親なんかゴメンだ」
「ならば、何故ウララの行動にいちいち口出しをする?」
美しい顔を嫌そうにしかめながらアルディアはディアナを睨む。
当然、ディアナはそんな顔に怯むことなどなかった。
「返答次第では、今すぐ永眠の魔法をかけてやるぞ!」
杖を振り上げるディアナ。
そのスムーズな体の動きに彼女の関節痛の目覚ましい快復ぶりを見て、アルディアはますます頭を抱える。
こうなったディアナがアルディアの口先だけの誤魔化しに丸め込まれるはずはなかった。
観念した王子は、深いため息をこらえながらディアナに自分の懸念を伝える。
暖が治癒の力を持っているかもしれないこと。
その力が知られたら、暖に危険が及ぶだろうことを話した。
聞いたディアナは――――
「なんだ。そんなつまらん事を悩んでウララの行動を制限したのか」
思いっきり呆れたようにそう言った。
「……だから、あなたに話すのは嫌だったんだ」
アルディアは大きく顔をしかめる。
ディアナは「阿呆じゃな」と笑った。
「何のために、ギオルが竜玉を授けたのだと思っておる?」
「竜玉……」
「あれを授けられたウララに、そんじょそこらの者が害をなせるはずがないじゃろう。それぐらいわからんのか?」
確かにその通りだった。
「お前の心配は遅きに過ぎる。ウララを大切に思う者は既に対策を考えておるぞ」
したり顔でディアナは説明する。
「――――まあリオールの花冠は流石に重すぎるからギオルが止められてOKじゃったが……そうそう、ラミアーが寝惚けたふりをしてウララに噛みつこうとするのも、まあ問題じゃな。わしが目を光らせておる間はそんなことはさせないが」
話を聞いてアルディアはますます頭を抱えた。
いつの間にそんな事態になっていたのだろう?
「ウララを守ろうとする者は多い。ウルフィアがウララをドワーフに会わせようとするのも、ドワーフのためというよりもウララのためじゃ。万が一どこかの国との戦になれば、あのドワーフの戦闘力を遊ばせておく手はないからな」
ニッとディアナは笑う。
「戦――――」
アルディアは呆気にとられた。
「あの娘を守ろうとするなら、それくらいの覚悟はいるという事じゃ。王子よ、お前もよく考えて覚悟を決めるがいい。……戦う相手がこの国とならぬ保証はないからな」
ディアナの言葉は重かった。
「私は……」
返事が出来ずにアルディアは言葉に詰まる。
「――――という事で、ウララにドワーフの面倒を見させるからな」
その隙にディアナは一方的に宣言した。
たった今までの重い空気はどこにやったのか?
あっけらかんと笑った。
「やれ良かった。なんと言っても、あのドワーフは頑固者でな。ウルフィアもほとほと困っていたのじゃ。能天気なウララならなんとかするじゃろう。……ウルフィアは、わしの貴重な茶飲み友達じゃからな。このままでは、ゆっくり茶を飲み世間話を楽しむこともできなくなるところじゃった」
――――本音駄々漏れな言葉だった
「しのごの言いながら、結局は面倒な相手をウララに任せたいだけなのか!?」
アルディアは怒鳴る。
当たり前じゃろうとディアナは胸を張った。
「いい若いもんがおるのに何でわしら年寄りが苦労せんとならん。使える者は使うのがわしの主義じゃ。しかも一石二鳥を狙えるのにためらう必要はないじゃろう?」
ディアナは悪びれもしない。
アルディアはがっくり項垂れた。
「良いか! 既に、これは決定事項じゃからな!」
人生経験の差なのか、はたまた単にディアナの性格がずうずうしいだけなのか? (絶対後者だろうとアルディアは確信する)どうあがいてもアルディアに勝ち目はなさそうだ。
こうして、暖がドワーフの世話をすることは決まったのであった。
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