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第二章 平穏な日々ばかりではないようです。
不機嫌なドワーフ
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「なんだこのちんくしゃは!?」
はじめて会ったドワーフの第一声がそれである。
(うわっ! 迫力)
暖は、内心ポカンとした。
目の前には車椅子に乗った筋骨隆々なおじいさんがいる。
(車椅子が壊れそう)
それが暖のドワーフに対する正直な第一印象だ。
もさもさな白髪と長いひげ。浅黒い肌の厳つい顔は不機嫌にしかめられ、長い眉毛の下の小さく鋭い目がギロリと暖を睨んでいる。
――――はっきりきっぱり不機嫌だ! と、主張している顔だった。
しかし暖をここに連れてきたウルフィアはドワーフのそんな顔にも慣れたもので、おかまいなしに彼の頭をドカッ! と拳固げんこで殴る。
「若い女性に対してそんな言い方があるか!?」
力一杯殴られたドワーフは、頭を抱えてウルフィアを睨んだ。
「ちんくしゃをちんくしゃと言って何が悪い。それに女性だと? どう見ても十歳にもならないガキだろう!?」
そう言った
「私、二十才越エテル!」
暖は怒鳴る。
「ああ? 人族はいつの間に寿命を伸ばしたんだ? 二十才でも子供ってどういうわけだ?」
「子供ジャナイ! 大人!」
暖は自分の胸をドン! と叩いた。勢い余って咳き込んでしまう。
ゴホゴホとむせる暖を、ドワーフとウルフィアは呆れたように見やった。
「本当にいったい何だ? このちんくしゃは?」
ドワーフの疑問に、ウルフィアがもう一度彼をドカッ! と殴る。
「彼女はウララだ。お前の世話をしてくれる。こう見えてれっきとした成人女性だからな。言葉使いは注意しろ」
頭を押さえながら、ドワーフは暖を忌々しそうに見た。
「その目も止めろ!」
ウルフィアはまた殴る。どうやら彼女は言葉と同時に手が出るタイプらしい。
暖がドワーフと直接会話をするまでの間に、彼の白髪頭の中はボコボコになった。
たんこぶを擦りながらドワーフは、車いすから暖を見上げる。
慌てて暖は車いすの脇に膝をついた。視線をしっかり小さな目に合わせる。
「ウララ、デス。ヨロシク。」
ペコンと頭を下げた。
虚をつかれたように軽く目を瞠るドワーフ。
ニヤニヤとウルフィアは笑った。
車椅子生活を送るようになってから、ドワーフが人の頭を見下ろすなんてことは、おそらくはじめてのはずだ。
半身不随になったとはいえ、やる気になればドワーフの片手一つで潰せそうな小さな頭が無防備にそこにある。
「お前はバカか?」
しばらく黙っていたドワーフは、やがて呆れたように聞いてきた。
「エッ?」
暖は慌てて聞き返す。挨拶をしただけなのに、どうしてそんなことを言われるのだろう?
「明らかに自分に対して敵意を表している相手の側に無防備に近づくなど、バカか間抜けのやる事だ」
ドワーフに言い切られて暖はガーン! とショックを受けた。
「デ、デモ、今スグ殴ル、思ッテナイデショ?」
涙目でそう聞いた。
ドワーフは眉をしかめながら考え込む。
「……まあ、そこまではな。俺は、ウルフィアほど乱暴じゃない」
聞いた途端、ウルフィアがまたドワーフを殴った。
「失礼な」
「どこも失礼じゃないだろう!」
確かに今回ばかりはドワーフの方が正しそうだった。
目を見開いた暖は、やがてクスクスと笑い出す。楽しそうにドワーフを見上げた。
「オジイサン優シソウ。嬉シイ」
「はっ?」
暖は深々と頭を下げた。
「コレカラ、ヨロシクオ願イシマス」
ドワーフはポカンと口を開けた。いまだかって、彼を優しそうなどと評した者はいない。
ブッと吹き出したウルフィアが大笑いをした。
「やっぱりお前は大バカだ!」
ドワーフは、真っ赤になって怒鳴った。
はじめて会ったドワーフの第一声がそれである。
(うわっ! 迫力)
暖は、内心ポカンとした。
目の前には車椅子に乗った筋骨隆々なおじいさんがいる。
(車椅子が壊れそう)
それが暖のドワーフに対する正直な第一印象だ。
もさもさな白髪と長いひげ。浅黒い肌の厳つい顔は不機嫌にしかめられ、長い眉毛の下の小さく鋭い目がギロリと暖を睨んでいる。
――――はっきりきっぱり不機嫌だ! と、主張している顔だった。
しかし暖をここに連れてきたウルフィアはドワーフのそんな顔にも慣れたもので、おかまいなしに彼の頭をドカッ! と拳固げんこで殴る。
「若い女性に対してそんな言い方があるか!?」
力一杯殴られたドワーフは、頭を抱えてウルフィアを睨んだ。
「ちんくしゃをちんくしゃと言って何が悪い。それに女性だと? どう見ても十歳にもならないガキだろう!?」
そう言った
「私、二十才越エテル!」
暖は怒鳴る。
「ああ? 人族はいつの間に寿命を伸ばしたんだ? 二十才でも子供ってどういうわけだ?」
「子供ジャナイ! 大人!」
暖は自分の胸をドン! と叩いた。勢い余って咳き込んでしまう。
ゴホゴホとむせる暖を、ドワーフとウルフィアは呆れたように見やった。
「本当にいったい何だ? このちんくしゃは?」
ドワーフの疑問に、ウルフィアがもう一度彼をドカッ! と殴る。
「彼女はウララだ。お前の世話をしてくれる。こう見えてれっきとした成人女性だからな。言葉使いは注意しろ」
頭を押さえながら、ドワーフは暖を忌々しそうに見た。
「その目も止めろ!」
ウルフィアはまた殴る。どうやら彼女は言葉と同時に手が出るタイプらしい。
暖がドワーフと直接会話をするまでの間に、彼の白髪頭の中はボコボコになった。
たんこぶを擦りながらドワーフは、車いすから暖を見上げる。
慌てて暖は車いすの脇に膝をついた。視線をしっかり小さな目に合わせる。
「ウララ、デス。ヨロシク。」
ペコンと頭を下げた。
虚をつかれたように軽く目を瞠るドワーフ。
ニヤニヤとウルフィアは笑った。
車椅子生活を送るようになってから、ドワーフが人の頭を見下ろすなんてことは、おそらくはじめてのはずだ。
半身不随になったとはいえ、やる気になればドワーフの片手一つで潰せそうな小さな頭が無防備にそこにある。
「お前はバカか?」
しばらく黙っていたドワーフは、やがて呆れたように聞いてきた。
「エッ?」
暖は慌てて聞き返す。挨拶をしただけなのに、どうしてそんなことを言われるのだろう?
「明らかに自分に対して敵意を表している相手の側に無防備に近づくなど、バカか間抜けのやる事だ」
ドワーフに言い切られて暖はガーン! とショックを受けた。
「デ、デモ、今スグ殴ル、思ッテナイデショ?」
涙目でそう聞いた。
ドワーフは眉をしかめながら考え込む。
「……まあ、そこまではな。俺は、ウルフィアほど乱暴じゃない」
聞いた途端、ウルフィアがまたドワーフを殴った。
「失礼な」
「どこも失礼じゃないだろう!」
確かに今回ばかりはドワーフの方が正しそうだった。
目を見開いた暖は、やがてクスクスと笑い出す。楽しそうにドワーフを見上げた。
「オジイサン優シソウ。嬉シイ」
「はっ?」
暖は深々と頭を下げた。
「コレカラ、ヨロシクオ願イシマス」
ドワーフはポカンと口を開けた。いまだかって、彼を優しそうなどと評した者はいない。
ブッと吹き出したウルフィアが大笑いをした。
「やっぱりお前は大バカだ!」
ドワーフは、真っ赤になって怒鳴った。
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