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第二章 平穏な日々ばかりではないようです。
逃げ出したした小人
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ともかく、外に行きたいという小人を手のひらに乗せて、暖は家を出る。
扉を開けて一歩出た途端、暖の手からピョンと飛び出た小人は、彼女が着ているエプロンのポケットの中にスルリと入り込んだ。
「チョット!」
「結界を張るから、絶対手を入れるなよ」
「ケ、結界?」
「迂闊に手を入れれば、指が切れるぞ」
「へ?……って!」
あまりのことに、暖の顔から血の気が引く。
そんな物騒な結界なんてものを、ポケットに張って欲しくなかった。
しかし、慌てる暖にはかまわず、小人はポケットの中に姿を消す。
「待ッテ!」
「大きな声を出すな。俺は”いないもの”として振る舞え」
そう命令したきり、小人はうんともすんとも言わなくなってしまった。
ポケットがほんの少し膨らんでいるような気がするが、それ以外に小人がいそうな気配はない。
(ど、どうしよう?)
迷う暖だが、ここでエプロンごと小人を置き去りに出来るようなら、そもそも彼女は小人を助けはしなかっただろう。
ようは暖は、どこまでもお人好しなのだ。
結局、ポケットを気にしつつ歩き出した。
「ウララ!」
しばらく行くと、そんな彼女に声がかかる。
「リオール」
そこにいたのは、珍しく外出していたエルフだった。
「会えて良かった。捜していたんですよ」
どうやらリオールは、暖に用があったようだ。
「私ヲ?」
「ええ。エルフの里からスラの実が届いたんです。以前食べた時にとても喜んでくれたでしょう」
スラの実というのは、地球でいう桃のような果実だ。甘くて柔らかで最高に美味しくて、暖は一口かじった途端に気に入った。
「ホント?」
「ウララに嘘はつきませんよ。さあ、私の家に行きましょう」
誘われてつい頷きそうになる。
しかし、その瞬間ポケットの中で何かが動いた。――――いや、何かではなく間違いなく小人だろう。
小さくポカポカと叩かれているような感覚で、どうやら小人はリオールの家に行きたくないようだ。
(え? でも、行かなきゃスラの実が食べられないわ)
暖の頭の中で、小人とスラの実が天秤にかかる。
天秤は、呆気なくスラの実に傾いた。
(なんだか嫌みたいだけれど、小人さんには、ずっとポケットの何にいてもらえばいいことよね?)
そう思った暖は、リオールの誘いを受けることにした。
「リオール、スラノ実、ソンナニ沢山アルノ?」
「ええ。ウララが食べきれないほどに」
「ジャア、煮込ンデ、ジャム、ジュース、作リタイ!」
「それは楽しみですね。煮込むのは時間がかかりそうだ。……その間、ずっとウララを独り占め出来る」
丁度リオールが話したタイミングで、小人が再び抗議するようにポケットの中で暴れた。
それに気を取られた暖は、リオールの後の方の言葉を聞きとれない。
「エ? リオール、何カ言ッタ?」
「いえ、何も。楽しみだと言っただけですよ」
リオールが嬉しそうに微笑めば、暖はその笑顔にみとれてしまう。
いそいそとリオール と一緒に、彼の家に向かった。
その間も、ポケットは時々暴れるが、かまわず歩く。
(スラの実は、本当に美味しいもの。リオールからもらって、後で食べさせてあげれば小人さんの機嫌も治るわよね)
気軽にそう思った暖は、近づくに連れポケットの動きがだんだん小さくなるのに気づかなかった。
リオールの家に着いて、暖は中に入ろうとする。
その途端――――
「うぎゃぁぁぁっ!!」
ものすごい悲鳴と同時に、暖のポケットが引き千切られた!
小人が飛び出し、あっという間に姿を消す。
「え?」
呆然とする暖。
「魔の気配だ!」
リオールが鋭く叫んだ。
扉を開けて一歩出た途端、暖の手からピョンと飛び出た小人は、彼女が着ているエプロンのポケットの中にスルリと入り込んだ。
「チョット!」
「結界を張るから、絶対手を入れるなよ」
「ケ、結界?」
「迂闊に手を入れれば、指が切れるぞ」
「へ?……って!」
あまりのことに、暖の顔から血の気が引く。
そんな物騒な結界なんてものを、ポケットに張って欲しくなかった。
しかし、慌てる暖にはかまわず、小人はポケットの中に姿を消す。
「待ッテ!」
「大きな声を出すな。俺は”いないもの”として振る舞え」
そう命令したきり、小人はうんともすんとも言わなくなってしまった。
ポケットがほんの少し膨らんでいるような気がするが、それ以外に小人がいそうな気配はない。
(ど、どうしよう?)
迷う暖だが、ここでエプロンごと小人を置き去りに出来るようなら、そもそも彼女は小人を助けはしなかっただろう。
ようは暖は、どこまでもお人好しなのだ。
結局、ポケットを気にしつつ歩き出した。
「ウララ!」
しばらく行くと、そんな彼女に声がかかる。
「リオール」
そこにいたのは、珍しく外出していたエルフだった。
「会えて良かった。捜していたんですよ」
どうやらリオールは、暖に用があったようだ。
「私ヲ?」
「ええ。エルフの里からスラの実が届いたんです。以前食べた時にとても喜んでくれたでしょう」
スラの実というのは、地球でいう桃のような果実だ。甘くて柔らかで最高に美味しくて、暖は一口かじった途端に気に入った。
「ホント?」
「ウララに嘘はつきませんよ。さあ、私の家に行きましょう」
誘われてつい頷きそうになる。
しかし、その瞬間ポケットの中で何かが動いた。――――いや、何かではなく間違いなく小人だろう。
小さくポカポカと叩かれているような感覚で、どうやら小人はリオールの家に行きたくないようだ。
(え? でも、行かなきゃスラの実が食べられないわ)
暖の頭の中で、小人とスラの実が天秤にかかる。
天秤は、呆気なくスラの実に傾いた。
(なんだか嫌みたいだけれど、小人さんには、ずっとポケットの何にいてもらえばいいことよね?)
そう思った暖は、リオールの誘いを受けることにした。
「リオール、スラノ実、ソンナニ沢山アルノ?」
「ええ。ウララが食べきれないほどに」
「ジャア、煮込ンデ、ジャム、ジュース、作リタイ!」
「それは楽しみですね。煮込むのは時間がかかりそうだ。……その間、ずっとウララを独り占め出来る」
丁度リオールが話したタイミングで、小人が再び抗議するようにポケットの中で暴れた。
それに気を取られた暖は、リオールの後の方の言葉を聞きとれない。
「エ? リオール、何カ言ッタ?」
「いえ、何も。楽しみだと言っただけですよ」
リオールが嬉しそうに微笑めば、暖はその笑顔にみとれてしまう。
いそいそとリオール と一緒に、彼の家に向かった。
その間も、ポケットは時々暴れるが、かまわず歩く。
(スラの実は、本当に美味しいもの。リオールからもらって、後で食べさせてあげれば小人さんの機嫌も治るわよね)
気軽にそう思った暖は、近づくに連れポケットの動きがだんだん小さくなるのに気づかなかった。
リオールの家に着いて、暖は中に入ろうとする。
その途端――――
「うぎゃぁぁぁっ!!」
ものすごい悲鳴と同時に、暖のポケットが引き千切られた!
小人が飛び出し、あっという間に姿を消す。
「え?」
呆然とする暖。
「魔の気配だ!」
リオールが鋭く叫んだ。
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