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第三章 魔族にもいろいろあるようです。
魔王さまは若作り?
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その後、ダンケルは魔王に帰還の報告をするからと言って席を外す。
もちろんブラットも引きずって行った。
出て行く際には、暖にくれぐれも動くなと命令――――いや、懇願する。
「お前に何かあれば、魔界は間違いなく滅び、魔族は全滅する。部屋に結界を張っておくから絶対ここから出ないでくれ。誰が来ても返事をするなよ」
ダンケルは魔族の王子である。彼が張った結界ならば、普通の魔族に破られるはずもない。
「頼マレナクテモ、出ナイ」
暖だって右も左もわからない魔王城の中をうろつきたくはない。まして、ブラットから魔界の女性の美の基準を聞いた後では、ダンケル以外の魔族に会いたいとも思えなかった。
大人しく待っているから早く行ってきてと、言っているのに、
「絶対だからな!」
ダンケルは、最後まで念を押し、暖を振り返り振り返り部屋を出て行った。
「心配し過ぎよね。ダンケルったらあんなに心配性だったかしら?」
ひとり部屋に残された暖は首を傾げる。
ダンケルの心労のほとんどは暖ゆえなのだが、彼女にそんな自覚はなかった。
もしもダンケルがここにいたら間違いなく「誰のせいだ!」と怒鳴っていただろうが、そんなこととは思いもしない暖は、呑気にあくびをする。
そこへ――――
トントンとノックの音が響いた。
当然暖は、返事をしない。
するなとダンケルに厳命されているのだ、当たり前である。
もう一度トントンと音がした。
暖は黙っている。
今度はドンドン! と大きな音がした。
もちろん暖は見向きもしない。
「少し眠ろうかしら……」
完璧に無視を決め込んだ暖は、居心地の良い長ソファーに横になろうとした。
小さくあくびをして、腕を伸ばす。
「……居留守とは、イイ度胸だな」
突然そんな声が部屋の中に響き、驚いた暖はそのまま動きを止めた。
「え?」
何もなかったはずの目の前に、忽然と1人の男が現れる。
「私を無視する者など久し振りだ」
楽しそうに笑いながら、男はそう言った。
――――再三言うが、ダンケルは魔族の王子である。
しかも次期魔王と決定している嗣子で、彼の魔力は大概の魔族より強い。
実質No.2の彼を超える者は、たった1人だけだろう。
ダンケルの張った結界をものともせずに表れた目の前の男。
その正体は――――
「ひょっとして、魔王?」
呆然とする暖に、男はニヤリと笑って頷いた。
「はじめてお目にかかる。治癒魔法の使い手殿」
バカ丁寧に頭を下げて挨拶をしてくる魔王。
しかし、その態度は尊大で、口ではなんと言おうとも、心の中では一ミリも頭を下げていないことなんてまるわかりである。
暖は、呆気にとられた。
なぜなら――――
「そんな、嘘でしょう! ……なんで、そんなに若いのよ!」
魔王を指さし、非難するかのように叫んだ。
――――ここで一言断っておくが、本来暖は初対面の相手を指さし怒鳴るような不躾な真似はしない人間だ。
彼女は社会人であり、義弟がなんと言おうとも一般常識を備えた大人の女性なのだという自負を持っている。
そんな彼女がここまで動揺してしまうのは、それなりの理由があった。
目の前の魔王は、どこからどう見ても二十代の青年にしか見えなかったのだ。
……へたをすれば、ダンケルよりも年下に見えるかもしれない。
「だって、ディアナが、若気のいたりで戦ってやっつけたって……だったら、少なくともディアナと同じくらいの年齢のはずでしょう?」
長身白皙の美青年に向かい、暖は疑問をぶつける。
心の中では若作りにも程があるだろうと、思った。
ディアナという名前を聞いた途端、魔王は大きく顔をしかめる。
「あんな魔女と私を一緒にするな。魔族は長命種なのだ。外見など好きなように保てることを知らぬのか? 惨めに老いて死ぬような軟弱な人間とは違う」
キレイな顔を不機嫌そうに歪めて、魔王は怒鳴った。
「でも、ディアナに負けたんでしょう?」
「引き分けだ! その証拠に、私はいまだ魔王として魔界に君臨し、ここにいる!」
暖の言葉に、魔王は忌々しそうに反論する。
その声は大きく眉間にはしわが刻まれている。
暖は目をぱちくりとさせた。
口を閉じて、目の前の魔王をジッと見る。
ここにきて、ようやく彼女は、少し落ち着いてきた。
同時に自分が、ずいぶんと相手に失礼な態度をとってしまったことに気がつくが……まあ、今更である。
(魔王さんの態度も慇懃無礼だったし、おあいこよネ?)
それよりも、暖には気になることがあった。
「……ひょっとして、言葉が通じている?」
そう聞いた。
もちろんブラットも引きずって行った。
出て行く際には、暖にくれぐれも動くなと命令――――いや、懇願する。
「お前に何かあれば、魔界は間違いなく滅び、魔族は全滅する。部屋に結界を張っておくから絶対ここから出ないでくれ。誰が来ても返事をするなよ」
ダンケルは魔族の王子である。彼が張った結界ならば、普通の魔族に破られるはずもない。
「頼マレナクテモ、出ナイ」
暖だって右も左もわからない魔王城の中をうろつきたくはない。まして、ブラットから魔界の女性の美の基準を聞いた後では、ダンケル以外の魔族に会いたいとも思えなかった。
大人しく待っているから早く行ってきてと、言っているのに、
「絶対だからな!」
ダンケルは、最後まで念を押し、暖を振り返り振り返り部屋を出て行った。
「心配し過ぎよね。ダンケルったらあんなに心配性だったかしら?」
ひとり部屋に残された暖は首を傾げる。
ダンケルの心労のほとんどは暖ゆえなのだが、彼女にそんな自覚はなかった。
もしもダンケルがここにいたら間違いなく「誰のせいだ!」と怒鳴っていただろうが、そんなこととは思いもしない暖は、呑気にあくびをする。
そこへ――――
トントンとノックの音が響いた。
当然暖は、返事をしない。
するなとダンケルに厳命されているのだ、当たり前である。
もう一度トントンと音がした。
暖は黙っている。
今度はドンドン! と大きな音がした。
もちろん暖は見向きもしない。
「少し眠ろうかしら……」
完璧に無視を決め込んだ暖は、居心地の良い長ソファーに横になろうとした。
小さくあくびをして、腕を伸ばす。
「……居留守とは、イイ度胸だな」
突然そんな声が部屋の中に響き、驚いた暖はそのまま動きを止めた。
「え?」
何もなかったはずの目の前に、忽然と1人の男が現れる。
「私を無視する者など久し振りだ」
楽しそうに笑いながら、男はそう言った。
――――再三言うが、ダンケルは魔族の王子である。
しかも次期魔王と決定している嗣子で、彼の魔力は大概の魔族より強い。
実質No.2の彼を超える者は、たった1人だけだろう。
ダンケルの張った結界をものともせずに表れた目の前の男。
その正体は――――
「ひょっとして、魔王?」
呆然とする暖に、男はニヤリと笑って頷いた。
「はじめてお目にかかる。治癒魔法の使い手殿」
バカ丁寧に頭を下げて挨拶をしてくる魔王。
しかし、その態度は尊大で、口ではなんと言おうとも、心の中では一ミリも頭を下げていないことなんてまるわかりである。
暖は、呆気にとられた。
なぜなら――――
「そんな、嘘でしょう! ……なんで、そんなに若いのよ!」
魔王を指さし、非難するかのように叫んだ。
――――ここで一言断っておくが、本来暖は初対面の相手を指さし怒鳴るような不躾な真似はしない人間だ。
彼女は社会人であり、義弟がなんと言おうとも一般常識を備えた大人の女性なのだという自負を持っている。
そんな彼女がここまで動揺してしまうのは、それなりの理由があった。
目の前の魔王は、どこからどう見ても二十代の青年にしか見えなかったのだ。
……へたをすれば、ダンケルよりも年下に見えるかもしれない。
「だって、ディアナが、若気のいたりで戦ってやっつけたって……だったら、少なくともディアナと同じくらいの年齢のはずでしょう?」
長身白皙の美青年に向かい、暖は疑問をぶつける。
心の中では若作りにも程があるだろうと、思った。
ディアナという名前を聞いた途端、魔王は大きく顔をしかめる。
「あんな魔女と私を一緒にするな。魔族は長命種なのだ。外見など好きなように保てることを知らぬのか? 惨めに老いて死ぬような軟弱な人間とは違う」
キレイな顔を不機嫌そうに歪めて、魔王は怒鳴った。
「でも、ディアナに負けたんでしょう?」
「引き分けだ! その証拠に、私はいまだ魔王として魔界に君臨し、ここにいる!」
暖の言葉に、魔王は忌々しそうに反論する。
その声は大きく眉間にはしわが刻まれている。
暖は目をぱちくりとさせた。
口を閉じて、目の前の魔王をジッと見る。
ここにきて、ようやく彼女は、少し落ち着いてきた。
同時に自分が、ずいぶんと相手に失礼な態度をとってしまったことに気がつくが……まあ、今更である。
(魔王さんの態度も慇懃無礼だったし、おあいこよネ?)
それよりも、暖には気になることがあった。
「……ひょっとして、言葉が通じている?」
そう聞いた。
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