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第四章 選んだ先の未来へ向かいます!
どちらも選べない……
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……暖は、なんだか、がっくりする。
これでも、アルディアの彼シャツになっている分、幾分マシなはずなのに――――いや、かえってそこがいけなかったのかもしれなかった。
『やっぱり思っていた通りだ。……その服! お前は、今度はどんな大物を引っかけたんだ?』
正樹は忌々しそうに舌打ちする。
なんて言いぐさだと暖は思った。
(やっぱり、あいつは、気に入らないわ!)
『何をしている! さっさとこっちに来い! お前がいない間、陽詩は三回も発作を起こしたんだぞ。……処置が早かったから大したことにはなっていないが。……これ以上陽詩を苦しめるな!』
イライラと怒鳴る正樹。彼の一番は、いつでも陽詩だ。
そして、暖の一番もいつでも陽詩だった。
――――少なくとも、これまでは。
「三回も!?」
驚いた暖は慌てて走り出そうとした。
この世界に暖が来る前、陽詩の症状は落ち着いていた。
最近は滅多に発作を起こさないくらいになっていたのだ。
「あなたがついていながら、何をしているのよ!」
義弟を怒鳴りつけながら、暖は足に力を入れる。
『お前が、急にいなくなったせいだろう!』
「言い訳なんて、聞きたくないわ!」
怒鳴り合いながら暖は光を――――その先の妹を目指そうとする。
「――――ウララ!!」
そんな彼女を、声が呼び止めた。
叫んだのは、アルディアだ。
彼の声を聞き、暖は足を止める。
「ウララ、往かないでください!」
『ウララ、我を置いて行くな!』
リオールとギオルも叫んだ。
暖は、ゆっくりと後ろを振り返る。
エルフと竜の姿を目に入れた。
「……リオール、ギオル」
「ウララ! あなたは、私の世話を放り出すの?」
いつも気だるそうに話すラミアーが、真剣な声を出した。
「ウララ! 俺を見捨てるつもりか!?」
髪の毛や髭を逆立てて、ネモも叫ぶ。
「魔族の治療はこれからが本番だぞ! お前は何処に行くんだ!?」
ダンケルの声は、悲痛だった。
確かに彼の言う通り、魔界のこれからは全て暖にかかっている。
必死な思いが、ひしひしと伝わった。
見れば、モノアや正妃も祈るように手を組み暖の方を見つめている。
暖の脳裏に、この世界に来てからの思い出が次々と浮かんできた。
言葉も通じぬ暖に、みんな……優しかった。
(ディアナみたいに、わかりにくい人もいるけれど)
それでも彼らは、暖を助け好意を寄せてくれたのだ。
「ア、ミンナ……」
揺らぐ暖の後ろから、陽詩の声が聞こえてくる。
『お姉ちゃん!』
「ウララ!」
今度、暖を呼んだのは、リオールだ。
泣き虫なエルフの目からは、先ほどから涙がこぼれ落ちている。
両方から呼ばれ――――暖はどちらにも答えられなかった。
どちらも、大切なのだ。
どちらも、選べない。
『何をしている!? 早く来い! 陽詩をこれ以上泣かせるな!』
光の中から正樹の声が聞こえた。
暖はノロノロとそちらを向く。
小さな頃から暖が育ててきた、可愛い可愛い妹。
陽詩が泣きながら自分を呼んでいるのだ。
一方アルディアは、最初に暖の名を呼んだきり黙ったままだった。
ただただ暖を見つめ続けている。
美しい紫の瞳に激しい焦燥を映しながら、彼はただ暖を……見ている。
『お姉ちゃん! お願い、帰って来て!』
「陽詩……」
妹に呼ばれた暖の足が、そちらに向いた。
フラフラと、一歩、二歩と進んで行く。
――――その時、
今の今まで動かなかったディアナが、杖を振りかぶった。
その杖で、ズン! と、アルディアの腹を突く。
「グッ!」
鳩尾を突かれたアルディアは、たまらず派手に咳き込みはじめた。
「ゴホッ! ……グッ、ゴホッ! ゴホッ、ゴホッ!」
「キャァッ! アルディア! 大丈夫!?」
慌てて暖はアルディアに――――駆け寄った。
これでも、アルディアの彼シャツになっている分、幾分マシなはずなのに――――いや、かえってそこがいけなかったのかもしれなかった。
『やっぱり思っていた通りだ。……その服! お前は、今度はどんな大物を引っかけたんだ?』
正樹は忌々しそうに舌打ちする。
なんて言いぐさだと暖は思った。
(やっぱり、あいつは、気に入らないわ!)
『何をしている! さっさとこっちに来い! お前がいない間、陽詩は三回も発作を起こしたんだぞ。……処置が早かったから大したことにはなっていないが。……これ以上陽詩を苦しめるな!』
イライラと怒鳴る正樹。彼の一番は、いつでも陽詩だ。
そして、暖の一番もいつでも陽詩だった。
――――少なくとも、これまでは。
「三回も!?」
驚いた暖は慌てて走り出そうとした。
この世界に暖が来る前、陽詩の症状は落ち着いていた。
最近は滅多に発作を起こさないくらいになっていたのだ。
「あなたがついていながら、何をしているのよ!」
義弟を怒鳴りつけながら、暖は足に力を入れる。
『お前が、急にいなくなったせいだろう!』
「言い訳なんて、聞きたくないわ!」
怒鳴り合いながら暖は光を――――その先の妹を目指そうとする。
「――――ウララ!!」
そんな彼女を、声が呼び止めた。
叫んだのは、アルディアだ。
彼の声を聞き、暖は足を止める。
「ウララ、往かないでください!」
『ウララ、我を置いて行くな!』
リオールとギオルも叫んだ。
暖は、ゆっくりと後ろを振り返る。
エルフと竜の姿を目に入れた。
「……リオール、ギオル」
「ウララ! あなたは、私の世話を放り出すの?」
いつも気だるそうに話すラミアーが、真剣な声を出した。
「ウララ! 俺を見捨てるつもりか!?」
髪の毛や髭を逆立てて、ネモも叫ぶ。
「魔族の治療はこれからが本番だぞ! お前は何処に行くんだ!?」
ダンケルの声は、悲痛だった。
確かに彼の言う通り、魔界のこれからは全て暖にかかっている。
必死な思いが、ひしひしと伝わった。
見れば、モノアや正妃も祈るように手を組み暖の方を見つめている。
暖の脳裏に、この世界に来てからの思い出が次々と浮かんできた。
言葉も通じぬ暖に、みんな……優しかった。
(ディアナみたいに、わかりにくい人もいるけれど)
それでも彼らは、暖を助け好意を寄せてくれたのだ。
「ア、ミンナ……」
揺らぐ暖の後ろから、陽詩の声が聞こえてくる。
『お姉ちゃん!』
「ウララ!」
今度、暖を呼んだのは、リオールだ。
泣き虫なエルフの目からは、先ほどから涙がこぼれ落ちている。
両方から呼ばれ――――暖はどちらにも答えられなかった。
どちらも、大切なのだ。
どちらも、選べない。
『何をしている!? 早く来い! 陽詩をこれ以上泣かせるな!』
光の中から正樹の声が聞こえた。
暖はノロノロとそちらを向く。
小さな頃から暖が育ててきた、可愛い可愛い妹。
陽詩が泣きながら自分を呼んでいるのだ。
一方アルディアは、最初に暖の名を呼んだきり黙ったままだった。
ただただ暖を見つめ続けている。
美しい紫の瞳に激しい焦燥を映しながら、彼はただ暖を……見ている。
『お姉ちゃん! お願い、帰って来て!』
「陽詩……」
妹に呼ばれた暖の足が、そちらに向いた。
フラフラと、一歩、二歩と進んで行く。
――――その時、
今の今まで動かなかったディアナが、杖を振りかぶった。
その杖で、ズン! と、アルディアの腹を突く。
「グッ!」
鳩尾を突かれたアルディアは、たまらず派手に咳き込みはじめた。
「ゴホッ! ……グッ、ゴホッ! ゴホッ、ゴホッ!」
「キャァッ! アルディア! 大丈夫!?」
慌てて暖はアルディアに――――駆け寄った。
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