人間は敵ですか?うさぎ転生 

亜々流

文字の大きさ
10 / 15
第一章 ウサギは強くなれるのか?

10、「強くならなければ、いけない気がする」と云う ウサギ達が天然チートな件

しおりを挟む
 オレは、母ウサギと兄弟ウサギ達がくつろいでいるのを見て戦慄した。
 その下に敷いているものは。皆でモフモフゆったり出来る程大きな毛皮は、何でしょう? そうですか、強者の森のクマさんですか……。

 ビックリしましたよ。

 みんな強くなってます。

 進化までしてるよ……。

 パワーレベリングしなきゃ。とか思っていたオレって、何だったんでしょうか?

 そんなオレを見て、なにやらニマニマしている兄弟うさぎ達。

 本当に何があったんでしょう。

 
◇========◇


 強くなりたい。子供達がそう云って来た時、母ウサギもまた強くならなければならない。と、思っていた。

 強さとは何なのか? 強さとは、種族や立場、環境によって違うのである。

 そして、母ウサギは強かった。
 グレードCの場所で、狩られる側として。ほとんど見つかる事が無く、見つかっても楽々と逃げ切る事が出来たのだ。
 うさぎの強さとは、隠れる力と逃げる力である。この地で、その力において比類なき存在となり、母ウサギの成長は鈍化していた。

 社会が複雑化した事で人間には、様々な強さの種類がある。権力、政治力、金、様々な技能、地位、美醜……。その事で、人間は多様的な強さを得ている。
 そして人間ほど欲望の深い生き物は、そうそういない。それは、この世界においても種族的な強さとして表れ、世界に覇を唱えつつあった。

 すべての生き物に、神に至るチャンスがある。しかし、この世界においても多くの生き物は、環境の中で満たされ成長を止めてしまうのだ。

 母ウサギは、ブレスとの勝負において衝撃を受けていた。
 勝負はすでに付いていたであろうに、調子に乗って放ったヒーリングサンダーブレス。体がしびれて動きが取れなくなるだけだったが、攻撃力を持たせることも出来ただろう。 
 異なる強さ。
 それは捕食者側が持つ、圧倒的な戦闘力の片鱗……。違う種類の強さ。

 うさぎは、もっと強くなれる。

 その認識により、母ウサギは壁を越えていた。我が子とは言え、強者としての矜持が、生存本能が強く思わせた。

 強くならなければ……。

 母ウサギは、自分の生まれた巣穴の事を思う。あの場所には、強くなるための何かがあった。自分を並みのツノウサギよりも強くした、ナニカが。

 あの場所に、子供達を連れて行こう。その為には……。

 子供達にもう少し、強くなって貰わなくてはならない。

 母ウサギは、子供達の遊びに加わった。


◇=====◇ 


 強くなりたいと母ウサギに訴えた日から、子供達の遊びは遊びの域を大きく飛び越えた。それは成長期と相まって、いちじるしく能力を伸ばしていった。

 だが、近隣の肉食獣を狩り始めたブレスとの差は広がっていた。その事が、ブレスにも兄弟うさぎ達にも、異常な成長を平凡に思わせていた。
 もはや、母ウサギの治癒魔法なくしては、無事に済ませられない程には激化した。
 そしてブレスは感じていた。妹達の、ご機嫌が悪い。何故?


 ある日、ブレスが見せたモノは皆を驚かせた。人間が持っていたアイテムボックスの腕輪。そして、その能力。
 新しい種類の力。人間の道具を使う。母ウサギは考えた事も無かった。

 アイテムボックスから取り出された森の果実を前に、エレは宣言していた。今日は気分じゃないから、モフモフはなし。

 だけど森の果実は、いただく! 

 そして、アクアとヒールが同意する。どこぞの、ぼったくり店のような状況に、他が呆然とする中、謎言葉と共にブレスが引き下がった。

 ぐふっ、理不尽でござる……。

 ブレスの反応から見て、これはこれで正解だったようだ。が、いったいどんななんだ?
 ガイアとソニックは疑問に思いながら、おかしな連帯を深め合っていった。


 ある日ので、母ウサギは言った。いまから、ウソをつくよ。ムリムリ、ウソだって分かっちゃうじゃん。と、子供達。

 狼が来た! と、母ウサギ。子供達はあわてて逃げた後、すぐに戻ってきた。ウソだけど、真実の言葉ほんとう だった。

 身体機能を完全にコントロールして、ウソを隠すこと。そして、本当にあった場合の体の反応を、記憶から再現する。
 情報を隠し、ニセの情報を与える、上級ウ言語。まずは、情報を出来るだけ隠すことから教え始める。

 母ウサギが教わることも多かった。スキルや魔法は、生まれつき、そして自然に覚えるモノ。そう思っていた。だが、ブレスの影響で子供達は、スキルや魔法を教え合い互いに学ぼうとしていた。

 そして、母ウサギもスキルや魔法は、学んで覚えることが出来る事を実感することが出来ていた。


 二ヶ月を過ぎた頃、母ウサギは思った。そろそろ、良いかもしれない。
 母ウサギは、子供達をつれて、50キロほど離れた、故郷の巣穴を目指すことにした。

 2時間ほどかけて、着いた場所は、特に何も無い森の中。ここに埋められた巣穴の跡があると母ウサギがいうと、ガイアが土魔法で入り口を開けた。

 母ウサギの案内で、入っていく。所々で、土で埋められた跡を、再び通れるようにしながら進む。
 最後に壁の向こうを探り、安全を確かめ入っていった場所は、何者かによって作られた通路だった。

 右手は崩れていて進むことが出来ない。幅と高さは、2mほど。

 入って左側へ母うさぎ達は進む。その先には、恐ろしいほどの魔力が溢れていた。今の母ウサギは知らない。その通路の先にあるのはグレードSの遺跡だった。

 別にグレードの場所ごとに仕切りがある訳ではない。根源となる中心地があり、そこから徐々にグレードは下がる。

 グレードBの場所に入り、母ウサギは足を止める。

 子供達の様子を見ながら、引き返すときを判断する。

 グレードCの場所で生まれた低レベルの者にとって、この場所は居るだけで危険なのだ。だが、この通路は、捕食者が居ないという点で安全だった。

 その正体は、遥か昔に作られた城からの脱出用通路。

 気を失いかけ、安全な場所まで下がると子供達はレベルアップしていた。

 心的ダメージが……すごい。ここブレス向きじゃないね。ブレスは、普通にレベル上げした方がいいね。うん、いまでも時々どこか、おかしいのに……。ブレスは、心が弱い……いつか泣かす。


 母ウサギが、そうそう、だからブレスには内緒で隠しておいてね。と、マトメる。
 むかし、ここに入って頭がおかしくなった娘がいて。それで、穴をふさいで引越ししたのだと語る母ウサギ……。

(みんな無事でよかったね)

 子供達、ドン引きしました。w

 だがしかし、その日から母うさぎ達はこの場所に通います。


 そんなある日、ブレスが外泊許可を求めてきました。

 
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます

初昔 茶ノ介
ファンタジー
 代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。  常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。  しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。  そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。  そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。  そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。  これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。   ーーーーーーーー  のんびりと書いていきます。  よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...