16 / 43
本編
第14話 アレイズの焦り
しおりを挟む
その晩、ロザリアが保健室でウトウトしていると、ベッドまで訪ねてきた人物がいた。
アレイズだった。
なぜか必死の形相でロザリアに迫ってきたため、ロザリアはびく、と身を引いた。
黒寮の寮長アレイズ・マクフィリアは元王宮近衛魔導士で、今はこの学園の戦闘訓練の授業を受け持つ教師だ。腕の立つ魔導士のわりに年齢も若く、顔もそれなりにいいときたので、学園の女生徒たちには人気だった(ロザリアは知らなかったが)。
しかしいかんせん、ロザリアと同じく顔つきが悪い。
ので、近づかれると怖いのだ。
(私もきっと、こんな感じで見られているのね)
そう思ってため息を吐く。
「おい、ロザリア=リンド」
「は、はい」
「お前は一体、何をしたんだ」
「えっ……」
いきなり肩をつかまれ、ロザリアはぎょっとしてしまった。
なぜアレイズがこんなに必死なのか、皆目検討もつかなかったからだ。
たんこぶ一つで、まさか退学になるんじゃ……。
「言え、何をした?」
「え、か、階段から落ちて、それで……」
「階段から落ちた?」
アレイズが眉を潜めた。
その様子があまりにも怖くて、ロザリアは震え上がってしまった。
ロザリアはアレイズに嫌われている(少なくとも本人はそう思っている)。
旧校舎の件がバレれば、本当に退学にされてしまいそうだ。
「せ、先生……?」
ロザリアが怯えたような声を出すと、アレイズはハッとしたようにロザリアから手を離した。
チッと舌打ちし、ベッドから離れていく。
「やはりお前は魔導士など向いていない。即刻この学園を去るべきだ」
「ッ」
「階段から落ちただと? そんな……」
ぶつぶつ呟きながら、アレイズは去って行った。
「な、なんだったの……」
ロザリアは呆然としたように、その後を見送ったのだった。
アレイズだった。
なぜか必死の形相でロザリアに迫ってきたため、ロザリアはびく、と身を引いた。
黒寮の寮長アレイズ・マクフィリアは元王宮近衛魔導士で、今はこの学園の戦闘訓練の授業を受け持つ教師だ。腕の立つ魔導士のわりに年齢も若く、顔もそれなりにいいときたので、学園の女生徒たちには人気だった(ロザリアは知らなかったが)。
しかしいかんせん、ロザリアと同じく顔つきが悪い。
ので、近づかれると怖いのだ。
(私もきっと、こんな感じで見られているのね)
そう思ってため息を吐く。
「おい、ロザリア=リンド」
「は、はい」
「お前は一体、何をしたんだ」
「えっ……」
いきなり肩をつかまれ、ロザリアはぎょっとしてしまった。
なぜアレイズがこんなに必死なのか、皆目検討もつかなかったからだ。
たんこぶ一つで、まさか退学になるんじゃ……。
「言え、何をした?」
「え、か、階段から落ちて、それで……」
「階段から落ちた?」
アレイズが眉を潜めた。
その様子があまりにも怖くて、ロザリアは震え上がってしまった。
ロザリアはアレイズに嫌われている(少なくとも本人はそう思っている)。
旧校舎の件がバレれば、本当に退学にされてしまいそうだ。
「せ、先生……?」
ロザリアが怯えたような声を出すと、アレイズはハッとしたようにロザリアから手を離した。
チッと舌打ちし、ベッドから離れていく。
「やはりお前は魔導士など向いていない。即刻この学園を去るべきだ」
「ッ」
「階段から落ちただと? そんな……」
ぶつぶつ呟きながら、アレイズは去って行った。
「な、なんだったの……」
ロザリアは呆然としたように、その後を見送ったのだった。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
追放された悪役令嬢、辺境で植物魔法に目覚める。銀狼領主の溺愛と精霊の加護で幸せスローライフ!〜真の聖女は私でした〜
黒崎隼人
恋愛
「王国の害悪」として婚約破棄され、魔物が棲む最果ての地『魔狼の森』へ追放された悪役令嬢リリア。
しかし、彼女には前世の記憶と、ゲーム知識、そして植物を癒やし育てる不思議な力があった!
不毛の地をハーブ園に変え、精霊と友達になり、スローライフを満喫しようとするリリア。
そんな彼女を待っていたのは、冷徹と噂される銀狼の獣人領主・カイルとの出会いだった。
「お前は、俺の宝だ」
寡黙なカイルの不器用な優しさと、とろけるような溺愛に包まれて、リリアは本当の幸せを見つけていく。
一方、リリアを追放した王子と偽聖女には、破滅の足音が迫っていて……?
植物魔法で辺境を開拓し、獣人領主に愛される、大逆転ハッピーエンドストーリー!
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
婚約破棄&追放コンボを決められた悪役令嬢ですが、前世の園芸知識と植物魔法で辺境を開拓したら、領地経営が楽しすぎる!
黒崎隼人
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王太子から婚約破棄と追放を告げられた公爵令嬢イザベラ。
身に覚えのない罪を着せられ、送られた先は「枯れ谷」と呼ばれる痩せ果てた辺境の地だった。
絶望の淵で彼女が思い出したのは、「園芸」を愛した前世の記憶。
その瞬間、あらゆる植物を意のままに操る【植物魔法】が覚醒する。
前世の知識と魔法の融合。
それは、不毛の大地を緑豊かな楽園へと変える奇跡の始まりだった。
堆肥作りから始まり、水脈を発見し、見たこともない作物を育てる。
彼女の起こす奇跡は、生きる希望を失っていた領民たちの心に光を灯し、やがて「枯れ谷の聖女」という噂が国中に広まっていく。
一方、イザベラを追放した王国は、天候不順、食糧難、そして謎の疫病に蝕まれ、崩壊の一途を辿っていた。
偽りの聖女は何の力も発揮せず、無能な王太子はただ狼狽えるばかり。
そんな彼らが最後に希望を託したのは、かつて自分たちが罪を着せて追放した、一人の「悪役令嬢」だった――。
これは、絶望から這い上がり、大切な場所と人々を見つけ、幸せを掴み取る少女の、痛快な逆転譚。
乙女ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「イザベラ、お前との婚約を破棄する!」「はい?」悪役令嬢のイザベラは、婚約者のエドワード王子から婚約の破棄を言い渡されてしまった。男爵家令嬢のアリシアとの真実の愛に目覚めたという理由でだ。さらには義弟のフレッド、騎士見習いのカイン、氷魔法士のオスカーまでもがエドワード王子に同調し、イザベラを責める。そして正義感が暴走した彼らにより、イザベラは殺害されてしまった。「……はっ! ここは……」イザベラが次に目覚めたとき、彼女は七歳に若返っていた。そして、この世界が乙女ゲームだということに気づく。予知夢で見た十年後のバッドエンドを回避するため、七歳の彼女は動き出すのであった。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる