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たどり着いた香り
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朝のルーティーンを済ませ、部屋に戻ると優が笑顔で出迎えた。
「お帰りなさい。今、お茶碗に盛りますから、座ってください」
テーブルには味噌汁と卵焼き、そして焼き魚が置かれていて、さらに味噌汁と艶やかな米が置かれた。
「豪華だな」
「朝は大事ですから」
手をあわせ食事を突くと魚はどうやら昨日から漬け込んでいたらしい。味噌の風味の香る西京焼きで味噌汁には野菜がどっさり入っている。
卵焼きは刻んだネギの香りと出汁の味が広がり美味しくて、あっと言う間に平らげてしまった。
「美味かった。こんな美味い飯が毎日食えるなんて思ってなかったよ」
「嬉しいです。お弁当も作ってますから」
茶碗を洗った優が弁当箱をふたつ掲げる。
「行きにコンビニで生クリームだな」
「はい」
「それじゃ、そろそろ行くか」
車のキーを手に優と共に部屋を出ると、地下の駐車場に向かう。
「電車じゃないんですか?」
「あの日はたまたまだったんだ。普段は車だよ」
フェアレディに乗り込みアクセルをゆっくり踏むと駐車場を出て車が走りだす。
「なんか贅沢ですね」
「そうか?」
「だってやっぱり憧れる車ですし」
「大学生になって免許取れたら運転させてやるよ」
「無理です、無理ですって」
首を横に振った優が和真の方をちらり見る。
「まあ、その頃には別の車に乗り換えているだろうけどな」
和真の言葉に優が目を瞠る。
「そんなに買い替えるものなんですか?」
「まあ、他に金を使うことがないからな。俺もゲイだから、結婚とかするわけじゃないしな」
「そうなんですね。でも、そう言う生き方もカッコいいですね」
「気にならないのか?俺はゲイだぞ?」
「気にならないですよ。和真さんは和真さんだし」
にっこりと笑う優を横目に見て、思うより器が広すぎるのではないかと思ってしまう。
「俺は俺、か」
「逆に俺が和真さんのこと好きになったりするかもしれませんし。好きになるのって理屈じゃないじゃないですか。男の人しか好きになれない人もいるし、女の子が好きな人でも俺のことは別って言う人もいるし」
「確かにな」
高校生の方が性癖に素直なのかもしれない。気を使う必要がない関係になれるような気がして、和真は安堵した。
コンビニで生クリームを買い会社の調香室に向かう。珍しく村上が先に来ていて和真と優を見ると片手をあげた。
「昨日はありがとうございました」
「どういたしましてって。今日はどうした?」
優を調香室に入れたことが気になるのだろう。首を傾けた村上に和真が優の肩を抱いた。
「実は例の香りを直接嗅がせてもらおうと思ってな」
「ああ、なんかお前が気にしてるって言うバニラだっけ?」
「そうだ。それじゃ、容器とバーナーはこっちだ」
優をバーナーの前に連れていくと生クリームを注ぎバニラビーンズを入れてゆっくりと過熱していく。
「生クリームの香りとバニラの香りだな。でもこのバニラ、柔らかい香りでスパイシーだ」
「ああ、こっちの香りの方がいいな。クリームの香りが中和して、バニラの香りを引き立てている」
クッキーの時より好みの香りになっていることに満足し、村上を見ると二ッと笑った。
「任せろ」
「優、ありがとう。村上が調香してくれる」
「お力になれましたか?」
「ああ」
和真が頷くとバーナーを止めた優が微笑んだ。
「和真さんにはお世話にしかなっていないので、お役に立てたなら嬉しいです」
「美味い飯で十分釣りが帰ってきてるさ」
頭を撫でてやると優が照れくさそうに笑ってみせる。
謙虚で、気が利いて、料理上手な上に居心地のいい優の存在に、急速に惹かれていくのを感じていた。
「お帰りなさい。今、お茶碗に盛りますから、座ってください」
テーブルには味噌汁と卵焼き、そして焼き魚が置かれていて、さらに味噌汁と艶やかな米が置かれた。
「豪華だな」
「朝は大事ですから」
手をあわせ食事を突くと魚はどうやら昨日から漬け込んでいたらしい。味噌の風味の香る西京焼きで味噌汁には野菜がどっさり入っている。
卵焼きは刻んだネギの香りと出汁の味が広がり美味しくて、あっと言う間に平らげてしまった。
「美味かった。こんな美味い飯が毎日食えるなんて思ってなかったよ」
「嬉しいです。お弁当も作ってますから」
茶碗を洗った優が弁当箱をふたつ掲げる。
「行きにコンビニで生クリームだな」
「はい」
「それじゃ、そろそろ行くか」
車のキーを手に優と共に部屋を出ると、地下の駐車場に向かう。
「電車じゃないんですか?」
「あの日はたまたまだったんだ。普段は車だよ」
フェアレディに乗り込みアクセルをゆっくり踏むと駐車場を出て車が走りだす。
「なんか贅沢ですね」
「そうか?」
「だってやっぱり憧れる車ですし」
「大学生になって免許取れたら運転させてやるよ」
「無理です、無理ですって」
首を横に振った優が和真の方をちらり見る。
「まあ、その頃には別の車に乗り換えているだろうけどな」
和真の言葉に優が目を瞠る。
「そんなに買い替えるものなんですか?」
「まあ、他に金を使うことがないからな。俺もゲイだから、結婚とかするわけじゃないしな」
「そうなんですね。でも、そう言う生き方もカッコいいですね」
「気にならないのか?俺はゲイだぞ?」
「気にならないですよ。和真さんは和真さんだし」
にっこりと笑う優を横目に見て、思うより器が広すぎるのではないかと思ってしまう。
「俺は俺、か」
「逆に俺が和真さんのこと好きになったりするかもしれませんし。好きになるのって理屈じゃないじゃないですか。男の人しか好きになれない人もいるし、女の子が好きな人でも俺のことは別って言う人もいるし」
「確かにな」
高校生の方が性癖に素直なのかもしれない。気を使う必要がない関係になれるような気がして、和真は安堵した。
コンビニで生クリームを買い会社の調香室に向かう。珍しく村上が先に来ていて和真と優を見ると片手をあげた。
「昨日はありがとうございました」
「どういたしましてって。今日はどうした?」
優を調香室に入れたことが気になるのだろう。首を傾けた村上に和真が優の肩を抱いた。
「実は例の香りを直接嗅がせてもらおうと思ってな」
「ああ、なんかお前が気にしてるって言うバニラだっけ?」
「そうだ。それじゃ、容器とバーナーはこっちだ」
優をバーナーの前に連れていくと生クリームを注ぎバニラビーンズを入れてゆっくりと過熱していく。
「生クリームの香りとバニラの香りだな。でもこのバニラ、柔らかい香りでスパイシーだ」
「ああ、こっちの香りの方がいいな。クリームの香りが中和して、バニラの香りを引き立てている」
クッキーの時より好みの香りになっていることに満足し、村上を見ると二ッと笑った。
「任せろ」
「優、ありがとう。村上が調香してくれる」
「お力になれましたか?」
「ああ」
和真が頷くとバーナーを止めた優が微笑んだ。
「和真さんにはお世話にしかなっていないので、お役に立てたなら嬉しいです」
「美味い飯で十分釣りが帰ってきてるさ」
頭を撫でてやると優が照れくさそうに笑ってみせる。
謙虚で、気が利いて、料理上手な上に居心地のいい優の存在に、急速に惹かれていくのを感じていた。
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