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第12話 修道女
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「ダリヤ! あなたという人は! 来なさい! 木のムチで打ちます!」
修道院長が私の手を掴み怒りながら言った。
「修道院長様、そんなに怒らないでください。同室のムルジャナが体調不良を訴えたので介抱していただけです。ね? ムルジャナ? 気分はどう?」
「……るな」
「え?」
「ダリヤちゃんをいじめるな!」
ガチャンッ!
ムルジャナは突然起き上がり修道院長の方へ飛びかかった。それと同時に何かが割れる音がし、私がいつも使ってる香水の匂いが部屋に立ち込めた。
「ひぎ……。く、首が……。あ、ああっ。血が……。ごほっ…、ゴボッゴボッ……」
「ハァハァ……。あれ、私どうしたんだろ」
「ムルジャナ、あなたに貸した香水の瓶が修道院長の首に刺さって割れてしまったわ。ちょっと、やりすぎよ。でも儀式自体は上手く行ったわ。死霊になると身体のリミッターが外れて、か弱い女子でも屈強な奴隷犬士並の力を出せるから力加減に気をつけてね」
「ご、ごめん。香水はいつか弁償するから。それより修道院長どうしよう……」
「大丈夫、これはただの事故。あなたが心配することは何もないわ。死ぬのを待ってから蘇生すれば彼女も敬虔な死霊教会の信徒になるはずよ」
その時、誰かが駆けてくる音が聞こえた。
「なんの騒ぎですか? ああっ、修道院長様、そのお怪我はどうされたんですか? これはすぐに回復の奇跡を与えないと助からない傷です」
「ごほっ……。シ、シスタールーフ……。は、早く傷を治しなさい……。ごほっ、ごほっ、ゴボッゴボッ……」
この修道院で奇跡の力を使えるのは私を除けばシスタールーフだけ。修道院長は貴族だから奇跡の力を使えなくてもマザーの地位につけたがセルフで傷を癒せないのは不便なものね。
「……修道院長様、あなたのせいで何人の修道女見習いがこの修道院を去ったと思っているのですか? 中には悲観し自ら命を断った子もいます。その子は私と同室の友達でした。そればかりか修道院に入るための寄付金を横領し自らの私腹を肥やすことまで。寄付金の横領は火刑もしくは車輪轢きの刑に処される重罪であることはご存知のはずです。あなたは天の裁きにかけられるべきです」
「わ、私は……。ひゅー……、ひゅー……」
「……シスタールーフも溜まっていたんだね」
「……みたいね。彼女も闇を抱えていたのは知らなかったわ」
「ダリヤさん、ムルジャナさん」
「「は、はい」」
「修道院長様は夜見周りをしていて不幸にも階段を踏み外してしまいました。よろしいですね?」
「シスタールーフがそう仰るならそれが事実なのでしょう。だよね、ムルジャナ」
「う、うん……」
天使教の信仰に恥じなく生きた修道院長は蘇生させず修道院の裏にある墓地へ葬ることにした。
「た、助けてくれー。誰かいないかー」
私達が墓地での仕事を終えると男の人達に声をかけられた。2、30人ほどの魂が見える。この辺境の修道院に来客は珍しい。まさか女子修道院を襲いに来た盗賊団かしら。
「あなた方は帝国中央軍の兵士さんですね。まあ、酷い怪我……。何かあったのですか? 本来は男子禁制ですがどうぞ修道院の中へ。ムルジャナさん、ダレンさん、怪我をされている方に手を貸してあげて」
「「はーい」」
怪我をした兵士さん達を私達の修道院へ招いた。
「クーデターが起こって帝国中央軍は壊滅状態なんだ」
「クーデターですって?」
「ええっ、戦争が起きたの?」
「ああ、帝国内は大混乱で詳しくは俺たちも知らないが、十字教徒を名乗る異教徒の騎士に率いられた大軍が押しよせて来たんだ。それに呼応して奴隷犬士達が反乱を。痛て……」
「まずは怪我の治療を。喋ってはいけません。ああ、どうしましょう。私の奇跡の力ではこの人数を治すのは無理です」
「シスタールーフ、私も多少奇跡の力が使えます。そして、ムルジャナも」
「それは本当ですか? すごいですね、いつの間に奇跡の力を身につけたのですか。まったく、先代の修道院長様ったら二人に意地悪して修道女誓願の儀式をしていなかったのね。二人に怪我をされている方の治療をお願いします」
ムルジャナと一緒に野戦病院と化した修道院で怪我人の治療を行った。
「死霊教会奇跡『回復』。やったよ、ダリヤちゃん! 私にも奇跡が使えたよ!」
「おめでとうムルジャナ」
怪我の治療が終わるとシスタールーフに呼ばれた。
「正式な儀式は後日行いますが、奇跡の力が使える二人はもう立派な修道女です。このウィンプルとシスターの位と名を与えます。ムルジャナさんは、シスターマリジット」
「は、はい。ありがとうございます。いただきます」
「そして、ダリヤさんは、シスターダレン。二人の名前の発音に近い聖人から選んでみました」
「ありがとうございますシスタールーフ。私は今この場からシスターダレンを名乗ります」
「黒いウィンプルが似合ってるよ。シスターダレンってのも可愛いね、ダリヤちゃんにぴったり。あっ、元の名前で呼んじゃダメな決まりだった。ごめん」
「ふふっ、ありがとうシスターマリジット。すぐ慣れるわ」
私は家族も名も捨て、死霊教会の修道女シスターダレンとして新たな人生を歩むことになった。もう、死んでるけど。
「修道女さん、敵が来ました! 我々が時間を稼ぎますので裏からどうか逃げてください! 奴らは異教徒です! 修道女さん達に何をするかわかりません!」
先程怪我を治してあげた兵士さんが慌てた様子で私達へ伝えに来た。修道院の2階から門の方向を見ると確かに複数の魂が見える。その中の一人が門へ近づいて来た。
「門を開けろー! ここに中央軍の敗残兵が逃げ込んで来ただろう! 匿うと修道女とて容赦しないぞ!」
「あら? その声は聞き覚えがあるわ。あなたはシャジャルの弟子だった奴隷犬士の子かしら?」
「もしやダリヤ王女殿下!?」
「もう私は王家と関係の無い身。今はシスターダレンという新しい名を貰ったわ」
懐かしさで思わず声をかけたがこれはまずかった。
「貴族様とは聞いていましたがまさか王族の方とは……。今までのご無礼をお許しください」
「ダリヤちゃんってやたら美人かと思ったら本物のお姫様だったの!? ああっ、また名前間違えた! 色々とごめん!」
シスタールーフとマリジットが恐縮した様子で私に言った。うーん、思わぬところで正体がバレた。
「昔の話ですよ。今はただのシスターダレン。今まで通り接してください。それにしてもどうして帝国に忠実な奴隷犬士達が帝国中央軍と戦争してるのかしらね」
修道院長が私の手を掴み怒りながら言った。
「修道院長様、そんなに怒らないでください。同室のムルジャナが体調不良を訴えたので介抱していただけです。ね? ムルジャナ? 気分はどう?」
「……るな」
「え?」
「ダリヤちゃんをいじめるな!」
ガチャンッ!
ムルジャナは突然起き上がり修道院長の方へ飛びかかった。それと同時に何かが割れる音がし、私がいつも使ってる香水の匂いが部屋に立ち込めた。
「ひぎ……。く、首が……。あ、ああっ。血が……。ごほっ…、ゴボッゴボッ……」
「ハァハァ……。あれ、私どうしたんだろ」
「ムルジャナ、あなたに貸した香水の瓶が修道院長の首に刺さって割れてしまったわ。ちょっと、やりすぎよ。でも儀式自体は上手く行ったわ。死霊になると身体のリミッターが外れて、か弱い女子でも屈強な奴隷犬士並の力を出せるから力加減に気をつけてね」
「ご、ごめん。香水はいつか弁償するから。それより修道院長どうしよう……」
「大丈夫、これはただの事故。あなたが心配することは何もないわ。死ぬのを待ってから蘇生すれば彼女も敬虔な死霊教会の信徒になるはずよ」
その時、誰かが駆けてくる音が聞こえた。
「なんの騒ぎですか? ああっ、修道院長様、そのお怪我はどうされたんですか? これはすぐに回復の奇跡を与えないと助からない傷です」
「ごほっ……。シ、シスタールーフ……。は、早く傷を治しなさい……。ごほっ、ごほっ、ゴボッゴボッ……」
この修道院で奇跡の力を使えるのは私を除けばシスタールーフだけ。修道院長は貴族だから奇跡の力を使えなくてもマザーの地位につけたがセルフで傷を癒せないのは不便なものね。
「……修道院長様、あなたのせいで何人の修道女見習いがこの修道院を去ったと思っているのですか? 中には悲観し自ら命を断った子もいます。その子は私と同室の友達でした。そればかりか修道院に入るための寄付金を横領し自らの私腹を肥やすことまで。寄付金の横領は火刑もしくは車輪轢きの刑に処される重罪であることはご存知のはずです。あなたは天の裁きにかけられるべきです」
「わ、私は……。ひゅー……、ひゅー……」
「……シスタールーフも溜まっていたんだね」
「……みたいね。彼女も闇を抱えていたのは知らなかったわ」
「ダリヤさん、ムルジャナさん」
「「は、はい」」
「修道院長様は夜見周りをしていて不幸にも階段を踏み外してしまいました。よろしいですね?」
「シスタールーフがそう仰るならそれが事実なのでしょう。だよね、ムルジャナ」
「う、うん……」
天使教の信仰に恥じなく生きた修道院長は蘇生させず修道院の裏にある墓地へ葬ることにした。
「た、助けてくれー。誰かいないかー」
私達が墓地での仕事を終えると男の人達に声をかけられた。2、30人ほどの魂が見える。この辺境の修道院に来客は珍しい。まさか女子修道院を襲いに来た盗賊団かしら。
「あなた方は帝国中央軍の兵士さんですね。まあ、酷い怪我……。何かあったのですか? 本来は男子禁制ですがどうぞ修道院の中へ。ムルジャナさん、ダレンさん、怪我をされている方に手を貸してあげて」
「「はーい」」
怪我をした兵士さん達を私達の修道院へ招いた。
「クーデターが起こって帝国中央軍は壊滅状態なんだ」
「クーデターですって?」
「ええっ、戦争が起きたの?」
「ああ、帝国内は大混乱で詳しくは俺たちも知らないが、十字教徒を名乗る異教徒の騎士に率いられた大軍が押しよせて来たんだ。それに呼応して奴隷犬士達が反乱を。痛て……」
「まずは怪我の治療を。喋ってはいけません。ああ、どうしましょう。私の奇跡の力ではこの人数を治すのは無理です」
「シスタールーフ、私も多少奇跡の力が使えます。そして、ムルジャナも」
「それは本当ですか? すごいですね、いつの間に奇跡の力を身につけたのですか。まったく、先代の修道院長様ったら二人に意地悪して修道女誓願の儀式をしていなかったのね。二人に怪我をされている方の治療をお願いします」
ムルジャナと一緒に野戦病院と化した修道院で怪我人の治療を行った。
「死霊教会奇跡『回復』。やったよ、ダリヤちゃん! 私にも奇跡が使えたよ!」
「おめでとうムルジャナ」
怪我の治療が終わるとシスタールーフに呼ばれた。
「正式な儀式は後日行いますが、奇跡の力が使える二人はもう立派な修道女です。このウィンプルとシスターの位と名を与えます。ムルジャナさんは、シスターマリジット」
「は、はい。ありがとうございます。いただきます」
「そして、ダリヤさんは、シスターダレン。二人の名前の発音に近い聖人から選んでみました」
「ありがとうございますシスタールーフ。私は今この場からシスターダレンを名乗ります」
「黒いウィンプルが似合ってるよ。シスターダレンってのも可愛いね、ダリヤちゃんにぴったり。あっ、元の名前で呼んじゃダメな決まりだった。ごめん」
「ふふっ、ありがとうシスターマリジット。すぐ慣れるわ」
私は家族も名も捨て、死霊教会の修道女シスターダレンとして新たな人生を歩むことになった。もう、死んでるけど。
「修道女さん、敵が来ました! 我々が時間を稼ぎますので裏からどうか逃げてください! 奴らは異教徒です! 修道女さん達に何をするかわかりません!」
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「あら? その声は聞き覚えがあるわ。あなたはシャジャルの弟子だった奴隷犬士の子かしら?」
「もしやダリヤ王女殿下!?」
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懐かしさで思わず声をかけたがこれはまずかった。
「貴族様とは聞いていましたがまさか王族の方とは……。今までのご無礼をお許しください」
「ダリヤちゃんってやたら美人かと思ったら本物のお姫様だったの!? ああっ、また名前間違えた! 色々とごめん!」
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