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第8章 マッチングアプリ
ケビンのコンプレックス
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* * *
(マップフレンドは順調。
少しずつ会員さんから、デートやカップリングの報告が来るわ!)
アリサはギルドのカウンター内でファイルを整理していた。
カップリング成立した人には、赤ペンで成婚済マークをつけていく。
マッチングアプリや相席居酒屋でフランクに出会い、週末は趣味コンやエグゼクティブパーティのようなイベントをこなす。
そのため、平日に一対一のお見合いを申し込む人が減ってきたため、アリサは平日の日中はイベントの準備やチラシ作りに勤しんでいた。
ギルドを閉める時間となり、ケビンが最後の客を見送り、扉の面の看板を『CLOSE』に変え店内に戻ってきた。
(そういえば、ケビンさんはマップフレンドやっていないのかしら……)
アリサがこっそりマップを開いて確認すると、ギルド内のケビンは青い丸で表示されている。
マップフレンドに登録している男子は緑のハートマークで表示され婚活プロフィールが出るはずなので、ケビンはやっていないようだ。
「あの、ケビンさんはマップフレンドやらないのですか?」
MPが空っぽになるまでサンライトで写真を撮ってくれたりと、協力してくれた本人が参加しないなんて。
「ああ、君には悪いが、あまり気乗りしなくてな」
ケビンはゆっくりと振り返り、気まずそうに言葉を濁している。
この前の街コンカップリングパーティで出会った女性と、2度目のデートが取り付けられなかったのが少しトラウマになってしまっているようだ。
(その人とは縁がなかったと思って、次、つぎ! ……と言いたいところだけど。
彼のコンプレックスや悩みを解決せずに次の人と出会ったって、無理するだけよね)
店を閉めて一息ついているケビンに、アリサはそっと近づく。
「あの、ケビンさん……。
思い出したくないでしょうが、先日カップリングした女性とは、なぜダメになったと思いますか?」
婚活は、トライ・アンド・エラー。失敗を繰り返さぬよう、反省をして次に活かすために、アリサはおずおずと切り出した。
ケビンはチラリとアリサの顔を見て、言うことを躊躇っていたが、悩みを解決したいと望む真剣な瞳に根負けしたようだった。
「俺もあのあと、なぜダメだったか、自分なりに考えてみたんだが……」
ひとしきり落ち込んだ後、ケビン自身も、彼女とのデートで話したことや行動を反芻し、分析したのだろう。
しっかり話を聞こうと、カウンターの席に座るケビンの横にアリサも腰掛けた。
「きっと、俺のこの眼帯姿が怖かったのだろう」
ケビンは自分の顔の左半分を覆っている眼帯を手のひらで押さえながら、ポツリとつぶやく。
「え、そんな……」
予想外の言葉に、アリサが困惑する。
「彼女とランチをしに行った時、その眼帯はなぜつけてるの? と質問された。彼女は軽い気持ちで聞いたんだろう。
でも、俺はこの眼帯を外して、傷を見られたら嫌われるんじゃないかと思って、固まってしまった。
そしたら、慌てて話題を変えてくれたんだ」
カップリングするぐらいだから、彼女もケビンの顔もタイプで、性格にも好意を持っていたのだろう。
眼帯の理由も、彼女なりに一歩距離を近づけるために聞いたのかもしれない。
「それ以降、なんだか空気が気まずくなってしまった。
次の約束にも、彼女はいい返事はしなかった。それきりだ」
低い声が、淡々と状況を語る。
彼が後悔しているのが伝わってくる。
(見た目のコンプレックスね……。
気にしないで、と言うのは簡単だけれど、これを乗り越えるためには、まずは自分の個性だと受け入れてもらうしかない)
アリサは胸が痛んだ。
会員でもルックスに悩む人は多かった。
実際にはルックスではなく、うまくいかなかったのはそれ以外のことに原因があることがほとんどで、自分で自分の首を絞めてしまっていることが多い。
コンプレックスを克服し、自分が思う短所ごと、受け入れてくれる人を探すしかない。
(マップフレンドは順調。
少しずつ会員さんから、デートやカップリングの報告が来るわ!)
アリサはギルドのカウンター内でファイルを整理していた。
カップリング成立した人には、赤ペンで成婚済マークをつけていく。
マッチングアプリや相席居酒屋でフランクに出会い、週末は趣味コンやエグゼクティブパーティのようなイベントをこなす。
そのため、平日に一対一のお見合いを申し込む人が減ってきたため、アリサは平日の日中はイベントの準備やチラシ作りに勤しんでいた。
ギルドを閉める時間となり、ケビンが最後の客を見送り、扉の面の看板を『CLOSE』に変え店内に戻ってきた。
(そういえば、ケビンさんはマップフレンドやっていないのかしら……)
アリサがこっそりマップを開いて確認すると、ギルド内のケビンは青い丸で表示されている。
マップフレンドに登録している男子は緑のハートマークで表示され婚活プロフィールが出るはずなので、ケビンはやっていないようだ。
「あの、ケビンさんはマップフレンドやらないのですか?」
MPが空っぽになるまでサンライトで写真を撮ってくれたりと、協力してくれた本人が参加しないなんて。
「ああ、君には悪いが、あまり気乗りしなくてな」
ケビンはゆっくりと振り返り、気まずそうに言葉を濁している。
この前の街コンカップリングパーティで出会った女性と、2度目のデートが取り付けられなかったのが少しトラウマになってしまっているようだ。
(その人とは縁がなかったと思って、次、つぎ! ……と言いたいところだけど。
彼のコンプレックスや悩みを解決せずに次の人と出会ったって、無理するだけよね)
店を閉めて一息ついているケビンに、アリサはそっと近づく。
「あの、ケビンさん……。
思い出したくないでしょうが、先日カップリングした女性とは、なぜダメになったと思いますか?」
婚活は、トライ・アンド・エラー。失敗を繰り返さぬよう、反省をして次に活かすために、アリサはおずおずと切り出した。
ケビンはチラリとアリサの顔を見て、言うことを躊躇っていたが、悩みを解決したいと望む真剣な瞳に根負けしたようだった。
「俺もあのあと、なぜダメだったか、自分なりに考えてみたんだが……」
ひとしきり落ち込んだ後、ケビン自身も、彼女とのデートで話したことや行動を反芻し、分析したのだろう。
しっかり話を聞こうと、カウンターの席に座るケビンの横にアリサも腰掛けた。
「きっと、俺のこの眼帯姿が怖かったのだろう」
ケビンは自分の顔の左半分を覆っている眼帯を手のひらで押さえながら、ポツリとつぶやく。
「え、そんな……」
予想外の言葉に、アリサが困惑する。
「彼女とランチをしに行った時、その眼帯はなぜつけてるの? と質問された。彼女は軽い気持ちで聞いたんだろう。
でも、俺はこの眼帯を外して、傷を見られたら嫌われるんじゃないかと思って、固まってしまった。
そしたら、慌てて話題を変えてくれたんだ」
カップリングするぐらいだから、彼女もケビンの顔もタイプで、性格にも好意を持っていたのだろう。
眼帯の理由も、彼女なりに一歩距離を近づけるために聞いたのかもしれない。
「それ以降、なんだか空気が気まずくなってしまった。
次の約束にも、彼女はいい返事はしなかった。それきりだ」
低い声が、淡々と状況を語る。
彼が後悔しているのが伝わってくる。
(見た目のコンプレックスね……。
気にしないで、と言うのは簡単だけれど、これを乗り越えるためには、まずは自分の個性だと受け入れてもらうしかない)
アリサは胸が痛んだ。
会員でもルックスに悩む人は多かった。
実際にはルックスではなく、うまくいかなかったのはそれ以外のことに原因があることがほとんどで、自分で自分の首を絞めてしまっていることが多い。
コンプレックスを克服し、自分が思う短所ごと、受け入れてくれる人を探すしかない。
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