【完結】婚活アドバイザーが異世界で結婚相談所を開いたらこじらせハイスペ王子たちがご来店されました〜絶対にご成婚していただきますっ!〜

たかつじ楓@書籍発売中

文字の大きさ
55 / 84
第8章 マッチングアプリ

ケビンのコンプレックス

しおりを挟む
*   *    *


(マップフレンドは順調。
 少しずつ会員さんから、デートやカップリングの報告が来るわ!)

 アリサはギルドのカウンター内でファイルを整理していた。

 カップリング成立した人には、赤ペンで成婚済マークをつけていく。

 マッチングアプリや相席居酒屋でフランクに出会い、週末は趣味コンやエグゼクティブパーティのようなイベントをこなす。

 そのため、平日に一対一のお見合いを申し込む人が減ってきたため、アリサは平日の日中はイベントの準備やチラシ作りに勤しんでいた。


 ギルドを閉める時間となり、ケビンが最後の客を見送り、扉の面の看板を『CLOSE』に変え店内に戻ってきた。


(そういえば、ケビンさんはマップフレンドやっていないのかしら……)


 アリサがこっそりマップを開いて確認すると、ギルド内のケビンは青い丸で表示されている。

 マップフレンドに登録している男子は緑のハートマークで表示され婚活プロフィールが出るはずなので、ケビンはやっていないようだ。


「あの、ケビンさんはマップフレンドやらないのですか?」


 MPが空っぽになるまでサンライトで写真を撮ってくれたりと、協力してくれた本人が参加しないなんて。


「ああ、君には悪いが、あまり気乗りしなくてな」


 ケビンはゆっくりと振り返り、気まずそうに言葉を濁している。

 この前の街コンカップリングパーティで出会った女性と、2度目のデートが取り付けられなかったのが少しトラウマになってしまっているようだ。

(その人とは縁がなかったと思って、次、つぎ! ……と言いたいところだけど。
 彼のコンプレックスや悩みを解決せずに次の人と出会ったって、無理するだけよね)


 店を閉めて一息ついているケビンに、アリサはそっと近づく。

「あの、ケビンさん……。
 思い出したくないでしょうが、先日カップリングした女性とは、なぜダメになったと思いますか?」


 婚活は、トライ・アンド・エラー。失敗を繰り返さぬよう、反省をして次に活かすために、アリサはおずおずと切り出した。

 ケビンはチラリとアリサの顔を見て、言うことを躊躇っていたが、悩みを解決したいと望む真剣な瞳に根負けしたようだった。


「俺もあのあと、なぜダメだったか、自分なりに考えてみたんだが……」


 ひとしきり落ち込んだ後、ケビン自身も、彼女とのデートで話したことや行動を反芻し、分析したのだろう。

 しっかり話を聞こうと、カウンターの席に座るケビンの横にアリサも腰掛けた。


「きっと、俺のこの眼帯姿が怖かったのだろう」


 ケビンは自分の顔の左半分を覆っている眼帯を手のひらで押さえながら、ポツリとつぶやく。


「え、そんな……」


 予想外の言葉に、アリサが困惑する。


「彼女とランチをしに行った時、その眼帯はなぜつけてるの? と質問された。彼女は軽い気持ちで聞いたんだろう。
 でも、俺はこの眼帯を外して、傷を見られたら嫌われるんじゃないかと思って、固まってしまった。
 そしたら、慌てて話題を変えてくれたんだ」


 カップリングするぐらいだから、彼女もケビンの顔もタイプで、性格にも好意を持っていたのだろう。
 眼帯の理由も、彼女なりに一歩距離を近づけるために聞いたのかもしれない。


「それ以降、なんだか空気が気まずくなってしまった。
 次の約束にも、彼女はいい返事はしなかった。それきりだ」


 低い声が、淡々と状況を語る。
 彼が後悔しているのが伝わってくる。


(見た目のコンプレックスね……。
 気にしないで、と言うのは簡単だけれど、これを乗り越えるためには、まずは自分の個性だと受け入れてもらうしかない)


 アリサは胸が痛んだ。

 会員でもルックスに悩む人は多かった。

 実際にはルックスではなく、うまくいかなかったのはそれ以外のことに原因があることがほとんどで、自分で自分の首を絞めてしまっていることが多い。

 コンプレックスを克服し、自分が思う短所ごと、受け入れてくれる人を探すしかない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世
恋愛
 異世界転生キタコレー! と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎  えっあの『ギフト』⁉︎  えっ物語のスタートは来年⁉︎  ……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎  これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!  ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……  これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー  果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?  周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

枯れ専モブ令嬢のはずが…どうしてこうなった!

宵森みなと
恋愛
気づけば異世界。しかもモブ美少女な伯爵令嬢に転生していたわたくし。 静かに余生——いえ、学園生活を送る予定でしたのに、魔法暴発事件で隠していた全属性持ちがバレてしまい、なぜか王子に目をつけられ、魔法師団から訓練指導、さらには騎士団長にも出会ってしまうという急展開。 ……団長様方、どうしてそんなに推せるお顔をしていらっしゃるのですか? 枯れ専なわたくしの理性がもちません——と思いつつ、学園生活を謳歌しつつ魔法の訓練や騎士団での治療の手助けと 忙しい日々。残念ながらお子様には興味がありませんとヒロイン(自称)の取り巻きへの塩対応に、怒らせると意外に強烈パンチの言葉を話すモブ令嬢(自称) これは、恋と使命のはざまで悩む“ちんまり美少女令嬢”が、騎士団と王都を巻き込みながら心を育てていく、 ――枯れ専ヒロインのほんわか異世界成長ラブファンタジーです。

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

処理中です...