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第8章 マッチングアプリ
心を開いて
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* * *
約束した店にケビンが着くと、店の前には女性が立っていた。
明るいオレンジブラウンのセミロングの髪に、大きな瞳の可愛らしい子だ。
「こんにちはケビンさん。レイラです」
「ああ、よろしくレイラ。待たせたかな」
「いえ、私が早く着きすぎちゃっただけで。
早速お店に入りましょ?」
明るく感じの良いレイラに緊張しつつも、ケビンは店の扉を開けエスコートをする。
雰囲気の良いレストランでメニューを開き、ケビンはハンバーグ、レイラはエビのドリアを頼む。
「ケビンさんが頼んだハンバーグも美味しそう。
食の趣味合うかもですね」
「俺もドリアと迷ったんだよ」
「取り皿もらって、少しシェアしましょ!」
レイラとの食事は盛り上がる。
しっかりした味付けが好きだという食の趣味も合うようだ。
お互い簡単な自己紹介をして、相談所のアリサがドジだけど面白くていい子だという、共通の友人の話題でも盛り上がった。
小一時間盛り上がり、お互いに好感を持ったタイミングで、ケビンはもう同じ轍は踏まないと話題を切り出す。
「レイラ。君に、先に言っておきたいことがあって……」
デザートのバニラアイスを食べているレイラは、首を傾げてケビンを見つめてくる。
アリサに言われた通り、好感を持った女性相手に、ケビンは自分のコンプレックスを克服すべく話し出す。
「この眼帯を取ったら、俺の顔には……」
ケビンが恐る恐る口を開くが、嫌われるかもしれないという気持ちから、唇を閉じてしまった。
鏡で見るたびに思い出す。
強く凶暴なドラゴンと命を懸けた死闘がフラッシュバックする。
レイラは、アイスのスプーンをそっと置くと、優しい笑みを作った。
「知ってます、傷があるのよね」
「え……」
「私は、あなたが守ってその傷を負った仲間の、妹です」
レイラの言葉に、ケビンは驚き息を呑んだ。
「君、まさかトーマスの妹なのか?」
以前冒険仲間として共に魔物を倒していた、同い年のトーマスという青年。
伝説のドラゴンと呼ばれる恐ろしい魔物と対峙した際、共にパーティを組んでいた仲間たちは、あまりの凶悪さに戦意喪失し、死を覚悟し固まってしまった。
唯一、剣を取り立ち向かったのがケビンだけで、仲間のトーマスがドラゴンからの一撃を喰らいそうになった時、体を張って助けた際に負ったのがこの左目の傷であった。
今目の前にいるのは、その元仲間の妹だという。
確か、仲が良い妹がいると何度か聞いた気がする。
「大怪我をした後、戦いに出るのは引退すると仲間との連絡を絶ってしまいましたね。
ギルドを開いたとは風の噂で聞いてましたが、兄はずっと会ってお礼を言いたがってました」
「そうだったのか……」
あのドラゴンを一人で倒した、最強の剣士だと冒険者の間では持て囃されたが。
左目以外にも身体中に傷を負い、回復までかなりの時間を要した。
何より、魔物を倒すことに物怖じてしまったので、潮時だと思い冒険者を引退したのだった。
それ以来トーマスとはなんとなく疎遠になってしまっていたが、経験と知識が活かせればとギルドを開店したことは、伝わっていたようだ。
「私は、恋人が欲しくてアリサさんの相談所に興味を持っただけなんだけど、この前サンライトの魔法を使っていたあなたを見て、すぐ気がつきました。
お兄ちゃんを助けてくれたケビンさんだ、って」
結婚相談所は裏口から入り個室でアリサと面談するため、ギルドのケビンとは基本的に顔を合わせない。
マップフレンドのためのプロフィール画像を撮っていた時に、レイラはケビンを初めて見て気がついたのだろう。
無償でアリサを手伝ってくれた、彼の優しさあっての縁だった。
「ずっとお礼を言いたかったんです。
そして今日お会いできて、とても素敵な人だと思いました」
レイラの真っ直ぐな言葉は、凍りついたケビンの心をゆっくり溶かしていく。
「その傷は私の誇りです。
よかったら、また二人で会ってくれませんか?」
あどけなさを残すレイラの笑顔に、ケビンも笑顔を返す。
「……ああ、もちろんだ。俺の好きな店を予約するよ。
君も気にいるといいな」
彼が長年苦しんだコンプレックスを払拭し、心を開いた瞬間だった。
約束した店にケビンが着くと、店の前には女性が立っていた。
明るいオレンジブラウンのセミロングの髪に、大きな瞳の可愛らしい子だ。
「こんにちはケビンさん。レイラです」
「ああ、よろしくレイラ。待たせたかな」
「いえ、私が早く着きすぎちゃっただけで。
早速お店に入りましょ?」
明るく感じの良いレイラに緊張しつつも、ケビンは店の扉を開けエスコートをする。
雰囲気の良いレストランでメニューを開き、ケビンはハンバーグ、レイラはエビのドリアを頼む。
「ケビンさんが頼んだハンバーグも美味しそう。
食の趣味合うかもですね」
「俺もドリアと迷ったんだよ」
「取り皿もらって、少しシェアしましょ!」
レイラとの食事は盛り上がる。
しっかりした味付けが好きだという食の趣味も合うようだ。
お互い簡単な自己紹介をして、相談所のアリサがドジだけど面白くていい子だという、共通の友人の話題でも盛り上がった。
小一時間盛り上がり、お互いに好感を持ったタイミングで、ケビンはもう同じ轍は踏まないと話題を切り出す。
「レイラ。君に、先に言っておきたいことがあって……」
デザートのバニラアイスを食べているレイラは、首を傾げてケビンを見つめてくる。
アリサに言われた通り、好感を持った女性相手に、ケビンは自分のコンプレックスを克服すべく話し出す。
「この眼帯を取ったら、俺の顔には……」
ケビンが恐る恐る口を開くが、嫌われるかもしれないという気持ちから、唇を閉じてしまった。
鏡で見るたびに思い出す。
強く凶暴なドラゴンと命を懸けた死闘がフラッシュバックする。
レイラは、アイスのスプーンをそっと置くと、優しい笑みを作った。
「知ってます、傷があるのよね」
「え……」
「私は、あなたが守ってその傷を負った仲間の、妹です」
レイラの言葉に、ケビンは驚き息を呑んだ。
「君、まさかトーマスの妹なのか?」
以前冒険仲間として共に魔物を倒していた、同い年のトーマスという青年。
伝説のドラゴンと呼ばれる恐ろしい魔物と対峙した際、共にパーティを組んでいた仲間たちは、あまりの凶悪さに戦意喪失し、死を覚悟し固まってしまった。
唯一、剣を取り立ち向かったのがケビンだけで、仲間のトーマスがドラゴンからの一撃を喰らいそうになった時、体を張って助けた際に負ったのがこの左目の傷であった。
今目の前にいるのは、その元仲間の妹だという。
確か、仲が良い妹がいると何度か聞いた気がする。
「大怪我をした後、戦いに出るのは引退すると仲間との連絡を絶ってしまいましたね。
ギルドを開いたとは風の噂で聞いてましたが、兄はずっと会ってお礼を言いたがってました」
「そうだったのか……」
あのドラゴンを一人で倒した、最強の剣士だと冒険者の間では持て囃されたが。
左目以外にも身体中に傷を負い、回復までかなりの時間を要した。
何より、魔物を倒すことに物怖じてしまったので、潮時だと思い冒険者を引退したのだった。
それ以来トーマスとはなんとなく疎遠になってしまっていたが、経験と知識が活かせればとギルドを開店したことは、伝わっていたようだ。
「私は、恋人が欲しくてアリサさんの相談所に興味を持っただけなんだけど、この前サンライトの魔法を使っていたあなたを見て、すぐ気がつきました。
お兄ちゃんを助けてくれたケビンさんだ、って」
結婚相談所は裏口から入り個室でアリサと面談するため、ギルドのケビンとは基本的に顔を合わせない。
マップフレンドのためのプロフィール画像を撮っていた時に、レイラはケビンを初めて見て気がついたのだろう。
無償でアリサを手伝ってくれた、彼の優しさあっての縁だった。
「ずっとお礼を言いたかったんです。
そして今日お会いできて、とても素敵な人だと思いました」
レイラの真っ直ぐな言葉は、凍りついたケビンの心をゆっくり溶かしていく。
「その傷は私の誇りです。
よかったら、また二人で会ってくれませんか?」
あどけなさを残すレイラの笑顔に、ケビンも笑顔を返す。
「……ああ、もちろんだ。俺の好きな店を予約するよ。
君も気にいるといいな」
彼が長年苦しんだコンプレックスを払拭し、心を開いた瞬間だった。
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