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第9章 個人レッスン
初めての乗馬
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* * *
その後も庭で食事をとり、散歩をし、護衛隊の見学や本が多く本棚に並んでいる所蔵室、パーティールームなどに行って王宮探検ツアーを楽しんだ。
ツアーコンダクターがこの国の第一王子というのが異例だが。
王宮ですれ違う人たちは皆、王子が珍しく穏やかな顔をしていることに驚いている。
隣にいる赤毛の少女が理由なのか、と侍従たちの間で話題は持ちきりだった。
陽は傾き、夕方になっていた。
「もうこんな時間か。
体調が悪いのに、連れ回して悪かった」
ルビオが壁掛け時計を確認し、労わる言葉をかけてくる。
「いえ、大丈夫です。すごく楽しかったです!」
「そうか」
(大好きなゲームの王宮を探検できたんだもの、最高よね。
ゲームで使用キャラの騎士や宮廷魔術師キャラを見つけて、思わず話しかけたちゃったら、さすがに怪しがられたけど)
よく自分のパーティに使っていた王宮出身のキャラを見つけては、まるで芸能人を見つけたように騒いで握手を求めてしまった。
「それじゃ、家に戻りますね。
えーっと帰り道は……」
マップを唱え、空間に浮かんだ画面を眺める。
自分のいる王宮から、城下町の家までの道を眺める。
(結構距離があるなあ。暗くなる前に戻らなきゃ)
マップを見つめて帰り道の最短ルートを考えているアリサの横顔を、そっと見つめるルビオ。
「私が家まで送ろう。
……クレイはデートに行っていて、今日は不在だからな」
姿が見えないと思ったら、側近のクレイは休日のようだ。エマとの関係も順調なようで何よりである。
王子が勝手に外に出るなんて、と咎めてきそうな相手がいないので、ルビオも気が楽なのだろう。
「いいんですか?」
「ああ、裏口から出て馬に乗ろう」
そう言うとルビオは身を翻し、人通りの少ない道を歩くと、アリサと共に裏の門からそっと外へ出た。
なんだか先生に秘密で男子と学校をサボるみたいだな、とそんな青春したことがないアリサはドキドキしながらついて行く。
城の外に繋げられている馬の背に、軽々と飛び乗るルビオ。
「ほら、手を」
ルビオが馬の背の上から腕を伸ばし、アリサへ差し出す。
「私、馬に乗ったことなくて……ど、どうすれば」
「大丈夫だ。私に身を預けよ」
ルビオの言葉に恐る恐る手を伸ばすと、力強く引き上げられ、ルビオに後ろから抱きかかえられる形で馬の上へとまたがった。
手綱を握るルビオが馬に合図すると、小さく鼻息を漏らした馬がゆっくりと走り出す。
伝わる振動に体をこわばらせながら、アリサは無意識に手綱を握るルビオの手を握ってしまった。
少し驚くが、初めて馬に乗るというアリサの気持ちを察し、手を重ねるルビオ。
馬は軽快に走り、森林を越え、城下町の近くまでやってきた。
慣れてきたアリサは周りの景色を見ながら、ほっと息をつく。
「生まれて初めて乗馬しましたが、とても気持ちいいですね」
「そうだろう。風を切りながら、眺める景色は格別だ」
プロフィールの趣味に、乗馬と書いていたルビオは、馬に乗って遠乗りをするのが好きだと言っていた。
確かに、風を切り進んでいく馬と一体となり進んでいく感覚は、他では味わえないものかもしれない。
「気に入ったならまた乗せてやる」
「ありがとうございます!」
アリサがお礼を言い振り返ると、頬の横、驚くほど近くにルビオの顔があった。
澄んだ青い瞳と目が合う。
(わわ、近い……! ドキドキしちゃうな)
頬を赤くして慌てて前を向いたアリサを見て、口角を上げるルビオ。
アリサの家の前まで到着し、先に馬から降りたルビオに手を差し伸べられ、おっかなびっくり足をつける。
いつの間にか日は落ち、月が高く上がっていた。
「昨日今日と、王宮でお世話になりました。
送ってまで頂いて、ありがとうございます」
「構わん。私も久々に楽しかった」
月明かりに照らされたルビオの金髪が、稲穂のように美しく輝く。
「ゆっくり寝るが良い。ではな」
そう残し、ルビオは再び馬に乗ると、手綱を引き自分の住む王宮へと戻っていった。
その後ろ姿にアリサは力強く手を振った。
その後も庭で食事をとり、散歩をし、護衛隊の見学や本が多く本棚に並んでいる所蔵室、パーティールームなどに行って王宮探検ツアーを楽しんだ。
ツアーコンダクターがこの国の第一王子というのが異例だが。
王宮ですれ違う人たちは皆、王子が珍しく穏やかな顔をしていることに驚いている。
隣にいる赤毛の少女が理由なのか、と侍従たちの間で話題は持ちきりだった。
陽は傾き、夕方になっていた。
「もうこんな時間か。
体調が悪いのに、連れ回して悪かった」
ルビオが壁掛け時計を確認し、労わる言葉をかけてくる。
「いえ、大丈夫です。すごく楽しかったです!」
「そうか」
(大好きなゲームの王宮を探検できたんだもの、最高よね。
ゲームで使用キャラの騎士や宮廷魔術師キャラを見つけて、思わず話しかけたちゃったら、さすがに怪しがられたけど)
よく自分のパーティに使っていた王宮出身のキャラを見つけては、まるで芸能人を見つけたように騒いで握手を求めてしまった。
「それじゃ、家に戻りますね。
えーっと帰り道は……」
マップを唱え、空間に浮かんだ画面を眺める。
自分のいる王宮から、城下町の家までの道を眺める。
(結構距離があるなあ。暗くなる前に戻らなきゃ)
マップを見つめて帰り道の最短ルートを考えているアリサの横顔を、そっと見つめるルビオ。
「私が家まで送ろう。
……クレイはデートに行っていて、今日は不在だからな」
姿が見えないと思ったら、側近のクレイは休日のようだ。エマとの関係も順調なようで何よりである。
王子が勝手に外に出るなんて、と咎めてきそうな相手がいないので、ルビオも気が楽なのだろう。
「いいんですか?」
「ああ、裏口から出て馬に乗ろう」
そう言うとルビオは身を翻し、人通りの少ない道を歩くと、アリサと共に裏の門からそっと外へ出た。
なんだか先生に秘密で男子と学校をサボるみたいだな、とそんな青春したことがないアリサはドキドキしながらついて行く。
城の外に繋げられている馬の背に、軽々と飛び乗るルビオ。
「ほら、手を」
ルビオが馬の背の上から腕を伸ばし、アリサへ差し出す。
「私、馬に乗ったことなくて……ど、どうすれば」
「大丈夫だ。私に身を預けよ」
ルビオの言葉に恐る恐る手を伸ばすと、力強く引き上げられ、ルビオに後ろから抱きかかえられる形で馬の上へとまたがった。
手綱を握るルビオが馬に合図すると、小さく鼻息を漏らした馬がゆっくりと走り出す。
伝わる振動に体をこわばらせながら、アリサは無意識に手綱を握るルビオの手を握ってしまった。
少し驚くが、初めて馬に乗るというアリサの気持ちを察し、手を重ねるルビオ。
馬は軽快に走り、森林を越え、城下町の近くまでやってきた。
慣れてきたアリサは周りの景色を見ながら、ほっと息をつく。
「生まれて初めて乗馬しましたが、とても気持ちいいですね」
「そうだろう。風を切りながら、眺める景色は格別だ」
プロフィールの趣味に、乗馬と書いていたルビオは、馬に乗って遠乗りをするのが好きだと言っていた。
確かに、風を切り進んでいく馬と一体となり進んでいく感覚は、他では味わえないものかもしれない。
「気に入ったならまた乗せてやる」
「ありがとうございます!」
アリサがお礼を言い振り返ると、頬の横、驚くほど近くにルビオの顔があった。
澄んだ青い瞳と目が合う。
(わわ、近い……! ドキドキしちゃうな)
頬を赤くして慌てて前を向いたアリサを見て、口角を上げるルビオ。
アリサの家の前まで到着し、先に馬から降りたルビオに手を差し伸べられ、おっかなびっくり足をつける。
いつの間にか日は落ち、月が高く上がっていた。
「昨日今日と、王宮でお世話になりました。
送ってまで頂いて、ありがとうございます」
「構わん。私も久々に楽しかった」
月明かりに照らされたルビオの金髪が、稲穂のように美しく輝く。
「ゆっくり寝るが良い。ではな」
そう残し、ルビオは再び馬に乗ると、手綱を引き自分の住む王宮へと戻っていった。
その後ろ姿にアリサは力強く手を振った。
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