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1巻
1-2
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父の仕事の顧客があやかしだというのはもちろん秘密だし、打ち明けたところで彼らにあやかしの姿は見えないのだが。
そういうわけで、この春からは神主で多忙な父に代わり、一人であやかしの相談を受けることとなった。
幼い頃から、何かと助けてくれてきた鎌倉のあやかし達への恩返しがしたい。
健康保険の知識で、怪我や病気をした彼らを救えるなら、これほど嬉しいことはない。
しかし、ひとつ気がかりなのは、白銀の存在である。
幼い紗奈が団子を渡したお礼に、鎌倉の景色を見せてくれた、無邪気で気さくな祀り神。
そして、三年前に龍神と激しく争い、鎌倉一帯に天災を巻き起こした、今やあやかし全員から恐れられ、忌み嫌われる狂気の天狐。
一体、彼の本当の姿はどちらなのだろう。
御神木を使った健康保険の制度も、彼の起こした事件のせいで始まった。
けれど本人はどこ吹く風といった調子で、今日も桜霞神社の鳥居の上であくびをしている。
* * *
「駅前に期間限定の飲み物が売ってるらしいぞ。黒くて丸いわらび餅みたいなのが入ってる甘い飲み物だ」
社務所の受付に頬杖をついている白銀が告げた。
黒くて丸いわらび餅ってなんだろう……と考えて、
「タピオカですか?」
「なんかそんな名前だったかもな」
紗奈の言葉に白銀が頷く。
さすがに社務所を空けて駅前にタピオカドリンクを飲みに行くわけにはいかない、と首を横に振ると、不服そうな白銀が文句を言い、やりとりは続く。
ぴんぽーん、ぴんぽーん。
チャイム音が鳴った。
社務所の入り口に、『御用の方はこちらを押してください』とあやかしにしか読むことができないお札を貼っているので、相談に来たあやかしが鳴らしたのであろう。
来客に違いないと、音がした方へと向かう。
「はい、いかがしましたか……って、あれ?」
紗奈が社務所から顔を出して辺りを確認するも、そこには人っこ一人いない。
「誰もいない、いたずらかしら」
近くにいる白銀も、さあ、と首をかしげる。
「いるわよ、ここよ! あたちよ、あたち!」
甲高い声が響いた。
ここ、ここ、と声がする方は、足元だった。そんなところにいるはずがないと思いながら身を乗り出して下を覗き込む。
「あたち、腕と腰が痛くてちょうがないの。助けてちょうだい」
手のひらに乗りそうなほど小さく、茶色の毛並みをしたリスがこちらを見上げていた。
* * *
社務所の中、和室の広間に客人を招き、お茶菓子を用意する。
用意した座布団ではなく、机の上に乗り、リスは向かいに正座した紗奈に頭を下げた。
「ありがと。あたちの名前は梅子よ。よろちくね」
梅子と名乗ったリスは、くりくりの黒目が可愛らしい。
「初めまして梅子ちゃん。今日は何か相談事ですか?」
「うん。あたちは鉄鼠で、人間に怖がられないようにリスに化けているんだけどね」
高い声で梅子が説明を始める。
鉄鼠とはその名の通り鼠のあやかしで、体は小さいけれどとても賢く、悪知恵が働くと言われている。
鎌倉には野生のリスが多く、家屋の屋根や、電線を駆けているのを街中でよく見かける。地元民は馴染みだが、観光客は珍しく感じるらしく、その愛らしい小動物の姿が見えると歓声が上がったり、記念撮影が始まったりする。
あやかしは基本的には人から見えない存在だが、己の霊力を使って擬態をすると人からも見えるようになる。その時化ける生き物が、元のあやかしの姿に近ければ近いほど、霊力をあまり消費しなくてすむ。
つまり、鎌倉に生息するリス達の中には、霊力の消費を『低燃費モード』ですますために鉄鼠が化けたものが相当数いるというのだ。
「あたち達鉄鼠は、小町通りを綺麗にちようと毎日、日の出から日の入りまで通りをかけ回って、ゴミや落とち物の処理をちているの」
駅前の商店街、小町通りは鎌倉随一の有名な道で、美味しいご飯屋さんやお土産屋さんが立ち並び、観光スポットとして名高い場所である。
そのため人通りは多く、休日は広い道幅が人で埋まるほど混雑する。
「確かにあの辺はリスがよく走ってると思ったけど」
「人間達の捨てたゴミをちゃんとゴミ箱に運んだり、落とち物を警察に届けたりちてるの。頑張り屋さんでちょ?」
そういえば地元の夕方のニュース番組で、道端に落ちていた鍵を口にくわえたリスが、警察署の前にそれを置いていき、落とし主が見つかりお手柄! というほっこりトピックを見た気がする。
茶菓子として出したピーナッツを、小さい手で掴み口に運ぶ梅子。
ぽりぽり、という音が部屋に響き、黒目をますます大きく見開いた。
おいちい! と声を上げ、もうひとつ手にとる。
「住処である小町通りを綺麗にちたいと、鉄鼠はリスの姿で毎日頑張ってるの。でも結構大変で……」
よほどピーナッツが気に入ったのか、頬袋をパンパンに膨らましている梅子が、三つ目を手に取ったが、
「痛!」
大粒のピーナッツを皿の上へ落としてしまった。
「だ、大丈夫?」
紗奈が突然の梅子の様子に驚くと、梅子は小さな手を震わせてうずくまった。
「痛いの……毎日お仕事頑張ってたら、腕と腰が……痛くなっちゃって。物が持てないち、歩くのもつらいのよぉ」
尻尾を丸めて、痛そうに縮こまってしまった。可哀想だが、その頬袋はいまだにパンパンでちょっと情けない。
「なるほど、その体調不良の相談に来たのね」
あやかしが不健康になると、霊力も弱まってしまう。早めに治したほうが良い。
「おねがいいぃ、毎月御神木に霊力納めてるち、助けてよぉ。このままじゃリスの姿にもなり続けられないかもぉ」
「鉄鼠の姿に戻りたくないの?」
「いやよぉ、リスの方が可愛いじゃない。ネズミは汚くてダサいもん。あたちは可愛くいたいのぉ」
ネズミに対してひどい言い分である。
しかし話を聞くと、街の美化のために一生懸命頑張っていて、体を痛めてしまった梅子が不憫である。
助けてあげたい、と素直に紗奈は思った。
「わかったわ。じゃあ、いくつか質問してもいい?」
「なあに?」
「腕と腰は、お仕事中に痛くなったの?」
尻尾を丸めて震えている梅子に、優しく問いかける。
「そうよ。昨日小町通りでお仕事ちていたら急に痛くなって……。場所は紫芋ソフトクリーム屋さんの前ぐらいかちら。一緒に働いてる鉄鼠のみんなに心配されて、そのまま帰ったんだけど」
腕が痛いのであろう、さすりながら、黒目をうるうる潤ませている。
うん、と紗奈は頷いて、腕を組む。
「もしかしたら、労災になるかもしれないわね」
「ろうさい?」
なぁにそれ? とばかりに梅子は復唱する。
「お仕事中や通勤中の怪我は、労災といって、会社が保険料を納めている労災保険からお金が出るの。だから梅子ちゃんの場合は、一緒に働いている鉄鼠全員から少しずつ霊力をもらえることになるかしら」
「仲間は三十匹以上いるから、いっぱいもらえるわ!」
父の彰久が、人間界の健康保険と同じ制度であやかしも平等に保障をする、と念書を書いてしまったため、娘である紗奈もいろんなケースを自分の中で噛み砕いて当てはめていかねばならないのだ。
梅子の場合、日の出から日の入りまでの時間、小町通りで清掃の仕事をしており、その時間・場所で怪我をしたのだから『労災』に該当するかもしれない。
この場合、会社は同じ仕事をしている鉄鼠達のグループとなる。
業務外の怪我は、病院に行った際の医療費は三割自分で負担し、休業補償も六割しかもらえないが、業務中の怪我で労災に当てはまる場合は、医療費の負担はゼロ、休業補償も八割もらえる。
三十匹もいるという仲間達から少しずつ霊力を分けてもらえれば、きっと体も元気になるに違いない。
「小町通りのリスさん達に話を聞きに行こうかしら」
本人からは話を聞けたし、今度は実際に現地へ行って確認してみよう。
紗奈の笑顔に安心したらしく、梅子がほっと息をつく。
「面白そうだな、俺も行こう」
いつから話を聞いていたのか、白銀が紗奈の隣の座布団に座っていた。
このお狐様の大きな耳には、どこにいても会話の内容など筒抜けなのだろう。
ピーナッツの入った小皿の横で、小さく座っているリスの梅子の姿を見下ろす。
「お前さんを見てたら、『クルミんみん』を食べたくなったしな」
小町通りにある老舗のお菓子屋さんで、リスの絵柄を包装紙に使った、クルミ入りの人気菓子を思い出したのか、白銀は犬歯を覗かせニヤリと笑った。
三年前の未曾有の天災を起こした問題児を目の前にして、梅子は背中を丸めて茶色い毛を逆立てた。
「きゃああーーー! 本物の白銀様だぁ! ここ、こわい……」
しかし腰が痛いからその体勢は辛いらしく、座布団の上でジタバタしている。
「ほう、俺が怖いか?」
「ひいぃぃ……!」
面と向かって怖がられたのが不服だったのか、白銀は梅子の首根っこを掴んで持ち上げる。
大きな黒目を潤ませて暴れる梅子が可哀想で、紗奈が止めるも、白銀は聞く耳を持たない。
「あ、あたちのことは食べないでくだちゃい……」
背中を丸め、消え入りそうな声で梅子が呟いた。
「ふふん、ちょうど腹が減ったし、食べちまおうかな?」
白銀は、あーんと大きな口を開けて梅子に顔を寄せる。
手の中で毛を逆立てて丸くなっている梅子を見て、口角を上げると、もう片方の手でお茶菓子のピーナッツを摘んで口の中に放り込んだ。
「あーうまいうまい」
咀嚼しながら、怯える梅子をテーブルの上に置いてやる白銀。
何が起こったのかわからず、キョロキョロと辺りを見回す梅子。
「からかったわね! ちょっと、あたちのピーナッツ全部食べてる!」
騙されたのが悔しいらしく、梅子はお皿の前で地団駄を踏んでいる。
片眉を上げて、けけけ、と悪びれもせず笑う白銀。
「白銀様。お客様に出したお茶菓子、食べないでくださいよ」
紗奈はあやかし同士の喧嘩の仲裁をしつつ、小さくため息をついた。
* * *
『ただいま外出中です』というあやかしにしか読めない札を社務所前に下げ、紗奈はブラウスにデニムスカートというラフな格好で神社の境内を降りた。
小町通りを三ノ鳥居方向から歩き出す。
平日のお昼だけれど、人はそこそこ多く賑わっている。ランチタイムだからか、人気の食事処には並んでいる場所もあった。
今まで父の手伝いだけをしていた紗奈が、初めて自分一人で請け負った仕事だ。必ず梅子を助けようと意気込んでいた。
「いつ来ても賑わってるな、この通りは」
隣を歩く青年の声に振り返る。
現地まで一人で向かおうと思っていたのに。記念すべき初仕事だというのに。
「なんでついてくるんですか、白銀様」
「なぁに、我が街の視察だよ、お嬢ちゃん」
先ほどまでの、印象的な長髪に狐耳、そして大きな尻尾はどこへやら。
白銀は街中を歩く通行人に怪しまれないために、人間の姿に化けていた。
顔立ちと背丈はそのままで、黒髪短髪、耳も人間の耳になり尻尾は消している。
白いシャツの上にネイビーの上下セットアップのジャケットスタイルで、どこからどう見ても人間の青年にしか見えない。
元々長いまつ毛に、大きな目、白い肌を持つ白銀は、すれ違う女性達がみんな二度見をするほどの美形であった。
平凡な自分が横を歩くのは、なんだか恥ずかしい。紗奈はうつむき気味に歩みを速める。
「とりあえず、リスを探しましょうか」
梅子の仲間かつ同僚の鉄鼠に、少し話が聞きたい。
小町通りは三百六十メートルほどの真っ直ぐ通った商店街である。よくリスが電線の上を走っていたりするのだが、見つかるだろうか。
道ゆく人々は、お店で売っているお土産や街並みを眺めているのに、紗奈と白銀は電線や屋根を見上げていて、やや不自然だった。
「あ、いた! もしもし、お話聞いてもいい?」
そうして探していたら、お土産屋の瓦屋根の上に、子リスがぴょんと跳ねているのを見つけた。
小走りで追いかけてそのリスに声をかけるも、少しだけ振り返り紗奈を見つめた後、耳をぴくぴく動かし軽やかに跳んで行ってしまった。
「あれは本物の野生のリスみたいだな」
「わ、わかりにくい……」
鉄鼠が化けたリスと、本物のリスは見分けるのが難しい。ただリスに話しかけた怪しい人物になってしまったので、紗奈は恥ずかしくて顔を紅くした。
こうなれば根比べだと、焦らず商店街を歩くことにする。
しばらくして、風に乗って香ばしい醤油の香りが漂ってきた。
近くの店では金網の上で煎餅を焼いていて、その香りだということがわかった。
「いらっしゃい、お二人で今日はデートかしら? あらあ、すごいイケメンのお兄さんね」
煎餅屋の店員であろう、初老の女性が白銀を見て気さくに話しかけてきた。
食べ歩きをするのが醍醐味の小町通りだ。煎餅や人形焼きなどの和菓子から、クレープやワッフルの洋菓子まで、その場で買って食べることができる。
歳も近く見えるし、並んで歩いているからカップルだと思われたのであろう。
「いや、違いま……」
「嬉しいこと言ってくれるね、お姉さん」
否定しようとした紗奈の言葉を遮り、いつもの生意気そうなにやけた笑いではなく、爽やかな微笑みを浮かべて、店員に返事をする白銀。
「やだ、お姉さんなんて何十年ぶりに言われたわ! 嬉しいねぇ、これ持っていって」
焼きたての大きな醤油煎餅をふたつ渡してきた店員の瞳の中に、ハートマークが見えた気がした。
ありがとうございます、と会釈をした紗奈の横で、ウインクをする白銀。
数人いた他の店員からも、きゃあと黄色い悲鳴が上がる。
盛り上がる店内を背にして、歩き出す。
タダでもらっちゃって悪いなぁ、と思いつつかじると、甘しょっぱい醤油の味が口いっぱいに広がった。海苔はパリパリで、焼きたての煎餅もさっくりしていて美味しい。何枚でも食べてしまいそうだ。
「白銀様ってほんと、調子いいですよね」
自分の祖母ほどの年齢の店員に、お姉さんはさすがにリップサービスが過ぎると思うのだが。
「俺から見れば、全員可愛い子供みたいなもんだよ」
千年生きていると言われている天狐は当たり前のように言い、手元の煎餅を咀嚼した。じゃあ私は赤ちゃんみたいなものかもなぁと、背の高い彼を見上げる。
その時、最後の一口で噛み砕いた煎餅のかけらが、手元からぽろりと落ちてしまった。
いけない、とバッグからティッシュを取り出して食べかすを拾おうとしたら、
しゅんっ。
風を切る音がして、茶色の毛玉が目の前を横切ったかと思うと、今落とした煎餅のかけらを手に拾ったリスが、地面からこちらを見上げていた。
リスは黒目を丸くして紗奈達を見ていたが、すぐに大きい尻尾を揺らしぴょんと駆けて行った。
「あ、ちょっと待って!」
リスを追いかけて走り出す。しかし軽やかに細い路地を曲がり、姿が見えなくなってしまう。
小町通りの奥道に入り、辺りを見回しながら歩いていくと、道端に置いてあるゴミ箱の上に先ほどのリスが乗っており、手に持っていた紗奈の落とした破片をその中に入れた。
『あたち達鉄鼠は、小町通りを綺麗にちようと毎日、日の出から日の入りまで通りをかけ回って、ゴミや落とち物の処理をちているの』
梅子の可愛い声が頭の中で再生された。
あの話が本当なら、お菓子のかけらを食べるでもなく、わざわざゴミ箱に捨てたこの子は、梅子の仲間に違いない。
「あなた、リスに化けてる鉄鼠よね?」
紗奈が声をかけると、ゴミ箱の上のリスは首をこちらへ向けた。
「なんだい、アンタ『見える人』かい。ならゴミ捨てないでくれよな。おいら達の手間になるんだ」
そばに置いてあったベンチの上に乗ると、そう声をかけてきた。
「ごめんなさい。気をつけるわ」
やはりあやかしだったようだ。
紗奈が謝ると、オスと思われる鉄鼠は歯をカタカタと鳴らしていた。
探していた存在が見つかったので、早速聞き込みを始める。
「あなた、梅子ちゃんてご存知かしら? もし知ってたら梅子ちゃんの怪我の件で、ちょっと聞きたいことがあるの」
「ああ、知ってるよ。あいつ昨日から休んでるよな」
やはり知り合いらしい。これは、労災か否かの聞き込みをする絶好のチャンスだ。
「彼女、腕と腰が痛いみたいなの。お仕事中に、電線から落ちて腕や腰を打ちつけた、とかじゃないかしら?」
「いや、ちょうど近くで見てたけど違うよ。平坦な道を歩いてたら、急にうずくまって痛い痛い言い出したから」
「時間はお昼頃で、紫芋ソフトクリーム屋さんの前あたり?」
「そうだね」
梅子から聞いた話と、目撃者の同僚の話をすり合わせていく。どうやら嘘ではないようだ。
「おいらも、たまに体が痛くなることはあるけど、ストレッチして風呂入ってよく寝れば治るからなぁ」
まるで言っていることが人間のサラリーマンみたいだ。目の前にいるふわふわの毛の小柄なリスも、体調管理のため人間に似たルーチンをしているようだ。
「食い意地の張った梅子のことだ、でっかい栗まんじゅうでも拾い食いして、ぎっくり腰とかになったのかもな」
からかうように笑う彼の顔を見て、愛嬌があり可愛らしい梅子は、きっとみんなの人気者なのだろうというのがうかがえた。
彼女が聞いていたら、『ちがうもん!』と頬を膨らませそうだ。
「そう、参考になったわ。色々教えてくれてありがとう」
メモを取りながら、紗奈が鉄鼠にお礼を言うと、尻尾を振って挨拶を返される。
「いやいいよ。それよりアンタの後ろの人は……とんでもない霊力だけど、人間じゃないよな……? あやかし……?」
紗奈の後ろで、腕を組み二人のやりとりを無言で見ていた白銀の姿を確認し、オスの鉄鼠は恐る恐る聞いてきた。
小さな体をしていてもあやかしだからか、白銀の霊力の量を感じ、ただならぬ存在だと本能でわかったのであろう。
「その金の瞳……まさか白銀様……?」
そういうわけで、この春からは神主で多忙な父に代わり、一人であやかしの相談を受けることとなった。
幼い頃から、何かと助けてくれてきた鎌倉のあやかし達への恩返しがしたい。
健康保険の知識で、怪我や病気をした彼らを救えるなら、これほど嬉しいことはない。
しかし、ひとつ気がかりなのは、白銀の存在である。
幼い紗奈が団子を渡したお礼に、鎌倉の景色を見せてくれた、無邪気で気さくな祀り神。
そして、三年前に龍神と激しく争い、鎌倉一帯に天災を巻き起こした、今やあやかし全員から恐れられ、忌み嫌われる狂気の天狐。
一体、彼の本当の姿はどちらなのだろう。
御神木を使った健康保険の制度も、彼の起こした事件のせいで始まった。
けれど本人はどこ吹く風といった調子で、今日も桜霞神社の鳥居の上であくびをしている。
* * *
「駅前に期間限定の飲み物が売ってるらしいぞ。黒くて丸いわらび餅みたいなのが入ってる甘い飲み物だ」
社務所の受付に頬杖をついている白銀が告げた。
黒くて丸いわらび餅ってなんだろう……と考えて、
「タピオカですか?」
「なんかそんな名前だったかもな」
紗奈の言葉に白銀が頷く。
さすがに社務所を空けて駅前にタピオカドリンクを飲みに行くわけにはいかない、と首を横に振ると、不服そうな白銀が文句を言い、やりとりは続く。
ぴんぽーん、ぴんぽーん。
チャイム音が鳴った。
社務所の入り口に、『御用の方はこちらを押してください』とあやかしにしか読むことができないお札を貼っているので、相談に来たあやかしが鳴らしたのであろう。
来客に違いないと、音がした方へと向かう。
「はい、いかがしましたか……って、あれ?」
紗奈が社務所から顔を出して辺りを確認するも、そこには人っこ一人いない。
「誰もいない、いたずらかしら」
近くにいる白銀も、さあ、と首をかしげる。
「いるわよ、ここよ! あたちよ、あたち!」
甲高い声が響いた。
ここ、ここ、と声がする方は、足元だった。そんなところにいるはずがないと思いながら身を乗り出して下を覗き込む。
「あたち、腕と腰が痛くてちょうがないの。助けてちょうだい」
手のひらに乗りそうなほど小さく、茶色の毛並みをしたリスがこちらを見上げていた。
* * *
社務所の中、和室の広間に客人を招き、お茶菓子を用意する。
用意した座布団ではなく、机の上に乗り、リスは向かいに正座した紗奈に頭を下げた。
「ありがと。あたちの名前は梅子よ。よろちくね」
梅子と名乗ったリスは、くりくりの黒目が可愛らしい。
「初めまして梅子ちゃん。今日は何か相談事ですか?」
「うん。あたちは鉄鼠で、人間に怖がられないようにリスに化けているんだけどね」
高い声で梅子が説明を始める。
鉄鼠とはその名の通り鼠のあやかしで、体は小さいけれどとても賢く、悪知恵が働くと言われている。
鎌倉には野生のリスが多く、家屋の屋根や、電線を駆けているのを街中でよく見かける。地元民は馴染みだが、観光客は珍しく感じるらしく、その愛らしい小動物の姿が見えると歓声が上がったり、記念撮影が始まったりする。
あやかしは基本的には人から見えない存在だが、己の霊力を使って擬態をすると人からも見えるようになる。その時化ける生き物が、元のあやかしの姿に近ければ近いほど、霊力をあまり消費しなくてすむ。
つまり、鎌倉に生息するリス達の中には、霊力の消費を『低燃費モード』ですますために鉄鼠が化けたものが相当数いるというのだ。
「あたち達鉄鼠は、小町通りを綺麗にちようと毎日、日の出から日の入りまで通りをかけ回って、ゴミや落とち物の処理をちているの」
駅前の商店街、小町通りは鎌倉随一の有名な道で、美味しいご飯屋さんやお土産屋さんが立ち並び、観光スポットとして名高い場所である。
そのため人通りは多く、休日は広い道幅が人で埋まるほど混雑する。
「確かにあの辺はリスがよく走ってると思ったけど」
「人間達の捨てたゴミをちゃんとゴミ箱に運んだり、落とち物を警察に届けたりちてるの。頑張り屋さんでちょ?」
そういえば地元の夕方のニュース番組で、道端に落ちていた鍵を口にくわえたリスが、警察署の前にそれを置いていき、落とし主が見つかりお手柄! というほっこりトピックを見た気がする。
茶菓子として出したピーナッツを、小さい手で掴み口に運ぶ梅子。
ぽりぽり、という音が部屋に響き、黒目をますます大きく見開いた。
おいちい! と声を上げ、もうひとつ手にとる。
「住処である小町通りを綺麗にちたいと、鉄鼠はリスの姿で毎日頑張ってるの。でも結構大変で……」
よほどピーナッツが気に入ったのか、頬袋をパンパンに膨らましている梅子が、三つ目を手に取ったが、
「痛!」
大粒のピーナッツを皿の上へ落としてしまった。
「だ、大丈夫?」
紗奈が突然の梅子の様子に驚くと、梅子は小さな手を震わせてうずくまった。
「痛いの……毎日お仕事頑張ってたら、腕と腰が……痛くなっちゃって。物が持てないち、歩くのもつらいのよぉ」
尻尾を丸めて、痛そうに縮こまってしまった。可哀想だが、その頬袋はいまだにパンパンでちょっと情けない。
「なるほど、その体調不良の相談に来たのね」
あやかしが不健康になると、霊力も弱まってしまう。早めに治したほうが良い。
「おねがいいぃ、毎月御神木に霊力納めてるち、助けてよぉ。このままじゃリスの姿にもなり続けられないかもぉ」
「鉄鼠の姿に戻りたくないの?」
「いやよぉ、リスの方が可愛いじゃない。ネズミは汚くてダサいもん。あたちは可愛くいたいのぉ」
ネズミに対してひどい言い分である。
しかし話を聞くと、街の美化のために一生懸命頑張っていて、体を痛めてしまった梅子が不憫である。
助けてあげたい、と素直に紗奈は思った。
「わかったわ。じゃあ、いくつか質問してもいい?」
「なあに?」
「腕と腰は、お仕事中に痛くなったの?」
尻尾を丸めて震えている梅子に、優しく問いかける。
「そうよ。昨日小町通りでお仕事ちていたら急に痛くなって……。場所は紫芋ソフトクリーム屋さんの前ぐらいかちら。一緒に働いてる鉄鼠のみんなに心配されて、そのまま帰ったんだけど」
腕が痛いのであろう、さすりながら、黒目をうるうる潤ませている。
うん、と紗奈は頷いて、腕を組む。
「もしかしたら、労災になるかもしれないわね」
「ろうさい?」
なぁにそれ? とばかりに梅子は復唱する。
「お仕事中や通勤中の怪我は、労災といって、会社が保険料を納めている労災保険からお金が出るの。だから梅子ちゃんの場合は、一緒に働いている鉄鼠全員から少しずつ霊力をもらえることになるかしら」
「仲間は三十匹以上いるから、いっぱいもらえるわ!」
父の彰久が、人間界の健康保険と同じ制度であやかしも平等に保障をする、と念書を書いてしまったため、娘である紗奈もいろんなケースを自分の中で噛み砕いて当てはめていかねばならないのだ。
梅子の場合、日の出から日の入りまでの時間、小町通りで清掃の仕事をしており、その時間・場所で怪我をしたのだから『労災』に該当するかもしれない。
この場合、会社は同じ仕事をしている鉄鼠達のグループとなる。
業務外の怪我は、病院に行った際の医療費は三割自分で負担し、休業補償も六割しかもらえないが、業務中の怪我で労災に当てはまる場合は、医療費の負担はゼロ、休業補償も八割もらえる。
三十匹もいるという仲間達から少しずつ霊力を分けてもらえれば、きっと体も元気になるに違いない。
「小町通りのリスさん達に話を聞きに行こうかしら」
本人からは話を聞けたし、今度は実際に現地へ行って確認してみよう。
紗奈の笑顔に安心したらしく、梅子がほっと息をつく。
「面白そうだな、俺も行こう」
いつから話を聞いていたのか、白銀が紗奈の隣の座布団に座っていた。
このお狐様の大きな耳には、どこにいても会話の内容など筒抜けなのだろう。
ピーナッツの入った小皿の横で、小さく座っているリスの梅子の姿を見下ろす。
「お前さんを見てたら、『クルミんみん』を食べたくなったしな」
小町通りにある老舗のお菓子屋さんで、リスの絵柄を包装紙に使った、クルミ入りの人気菓子を思い出したのか、白銀は犬歯を覗かせニヤリと笑った。
三年前の未曾有の天災を起こした問題児を目の前にして、梅子は背中を丸めて茶色い毛を逆立てた。
「きゃああーーー! 本物の白銀様だぁ! ここ、こわい……」
しかし腰が痛いからその体勢は辛いらしく、座布団の上でジタバタしている。
「ほう、俺が怖いか?」
「ひいぃぃ……!」
面と向かって怖がられたのが不服だったのか、白銀は梅子の首根っこを掴んで持ち上げる。
大きな黒目を潤ませて暴れる梅子が可哀想で、紗奈が止めるも、白銀は聞く耳を持たない。
「あ、あたちのことは食べないでくだちゃい……」
背中を丸め、消え入りそうな声で梅子が呟いた。
「ふふん、ちょうど腹が減ったし、食べちまおうかな?」
白銀は、あーんと大きな口を開けて梅子に顔を寄せる。
手の中で毛を逆立てて丸くなっている梅子を見て、口角を上げると、もう片方の手でお茶菓子のピーナッツを摘んで口の中に放り込んだ。
「あーうまいうまい」
咀嚼しながら、怯える梅子をテーブルの上に置いてやる白銀。
何が起こったのかわからず、キョロキョロと辺りを見回す梅子。
「からかったわね! ちょっと、あたちのピーナッツ全部食べてる!」
騙されたのが悔しいらしく、梅子はお皿の前で地団駄を踏んでいる。
片眉を上げて、けけけ、と悪びれもせず笑う白銀。
「白銀様。お客様に出したお茶菓子、食べないでくださいよ」
紗奈はあやかし同士の喧嘩の仲裁をしつつ、小さくため息をついた。
* * *
『ただいま外出中です』というあやかしにしか読めない札を社務所前に下げ、紗奈はブラウスにデニムスカートというラフな格好で神社の境内を降りた。
小町通りを三ノ鳥居方向から歩き出す。
平日のお昼だけれど、人はそこそこ多く賑わっている。ランチタイムだからか、人気の食事処には並んでいる場所もあった。
今まで父の手伝いだけをしていた紗奈が、初めて自分一人で請け負った仕事だ。必ず梅子を助けようと意気込んでいた。
「いつ来ても賑わってるな、この通りは」
隣を歩く青年の声に振り返る。
現地まで一人で向かおうと思っていたのに。記念すべき初仕事だというのに。
「なんでついてくるんですか、白銀様」
「なぁに、我が街の視察だよ、お嬢ちゃん」
先ほどまでの、印象的な長髪に狐耳、そして大きな尻尾はどこへやら。
白銀は街中を歩く通行人に怪しまれないために、人間の姿に化けていた。
顔立ちと背丈はそのままで、黒髪短髪、耳も人間の耳になり尻尾は消している。
白いシャツの上にネイビーの上下セットアップのジャケットスタイルで、どこからどう見ても人間の青年にしか見えない。
元々長いまつ毛に、大きな目、白い肌を持つ白銀は、すれ違う女性達がみんな二度見をするほどの美形であった。
平凡な自分が横を歩くのは、なんだか恥ずかしい。紗奈はうつむき気味に歩みを速める。
「とりあえず、リスを探しましょうか」
梅子の仲間かつ同僚の鉄鼠に、少し話が聞きたい。
小町通りは三百六十メートルほどの真っ直ぐ通った商店街である。よくリスが電線の上を走っていたりするのだが、見つかるだろうか。
道ゆく人々は、お店で売っているお土産や街並みを眺めているのに、紗奈と白銀は電線や屋根を見上げていて、やや不自然だった。
「あ、いた! もしもし、お話聞いてもいい?」
そうして探していたら、お土産屋の瓦屋根の上に、子リスがぴょんと跳ねているのを見つけた。
小走りで追いかけてそのリスに声をかけるも、少しだけ振り返り紗奈を見つめた後、耳をぴくぴく動かし軽やかに跳んで行ってしまった。
「あれは本物の野生のリスみたいだな」
「わ、わかりにくい……」
鉄鼠が化けたリスと、本物のリスは見分けるのが難しい。ただリスに話しかけた怪しい人物になってしまったので、紗奈は恥ずかしくて顔を紅くした。
こうなれば根比べだと、焦らず商店街を歩くことにする。
しばらくして、風に乗って香ばしい醤油の香りが漂ってきた。
近くの店では金網の上で煎餅を焼いていて、その香りだということがわかった。
「いらっしゃい、お二人で今日はデートかしら? あらあ、すごいイケメンのお兄さんね」
煎餅屋の店員であろう、初老の女性が白銀を見て気さくに話しかけてきた。
食べ歩きをするのが醍醐味の小町通りだ。煎餅や人形焼きなどの和菓子から、クレープやワッフルの洋菓子まで、その場で買って食べることができる。
歳も近く見えるし、並んで歩いているからカップルだと思われたのであろう。
「いや、違いま……」
「嬉しいこと言ってくれるね、お姉さん」
否定しようとした紗奈の言葉を遮り、いつもの生意気そうなにやけた笑いではなく、爽やかな微笑みを浮かべて、店員に返事をする白銀。
「やだ、お姉さんなんて何十年ぶりに言われたわ! 嬉しいねぇ、これ持っていって」
焼きたての大きな醤油煎餅をふたつ渡してきた店員の瞳の中に、ハートマークが見えた気がした。
ありがとうございます、と会釈をした紗奈の横で、ウインクをする白銀。
数人いた他の店員からも、きゃあと黄色い悲鳴が上がる。
盛り上がる店内を背にして、歩き出す。
タダでもらっちゃって悪いなぁ、と思いつつかじると、甘しょっぱい醤油の味が口いっぱいに広がった。海苔はパリパリで、焼きたての煎餅もさっくりしていて美味しい。何枚でも食べてしまいそうだ。
「白銀様ってほんと、調子いいですよね」
自分の祖母ほどの年齢の店員に、お姉さんはさすがにリップサービスが過ぎると思うのだが。
「俺から見れば、全員可愛い子供みたいなもんだよ」
千年生きていると言われている天狐は当たり前のように言い、手元の煎餅を咀嚼した。じゃあ私は赤ちゃんみたいなものかもなぁと、背の高い彼を見上げる。
その時、最後の一口で噛み砕いた煎餅のかけらが、手元からぽろりと落ちてしまった。
いけない、とバッグからティッシュを取り出して食べかすを拾おうとしたら、
しゅんっ。
風を切る音がして、茶色の毛玉が目の前を横切ったかと思うと、今落とした煎餅のかけらを手に拾ったリスが、地面からこちらを見上げていた。
リスは黒目を丸くして紗奈達を見ていたが、すぐに大きい尻尾を揺らしぴょんと駆けて行った。
「あ、ちょっと待って!」
リスを追いかけて走り出す。しかし軽やかに細い路地を曲がり、姿が見えなくなってしまう。
小町通りの奥道に入り、辺りを見回しながら歩いていくと、道端に置いてあるゴミ箱の上に先ほどのリスが乗っており、手に持っていた紗奈の落とした破片をその中に入れた。
『あたち達鉄鼠は、小町通りを綺麗にちようと毎日、日の出から日の入りまで通りをかけ回って、ゴミや落とち物の処理をちているの』
梅子の可愛い声が頭の中で再生された。
あの話が本当なら、お菓子のかけらを食べるでもなく、わざわざゴミ箱に捨てたこの子は、梅子の仲間に違いない。
「あなた、リスに化けてる鉄鼠よね?」
紗奈が声をかけると、ゴミ箱の上のリスは首をこちらへ向けた。
「なんだい、アンタ『見える人』かい。ならゴミ捨てないでくれよな。おいら達の手間になるんだ」
そばに置いてあったベンチの上に乗ると、そう声をかけてきた。
「ごめんなさい。気をつけるわ」
やはりあやかしだったようだ。
紗奈が謝ると、オスと思われる鉄鼠は歯をカタカタと鳴らしていた。
探していた存在が見つかったので、早速聞き込みを始める。
「あなた、梅子ちゃんてご存知かしら? もし知ってたら梅子ちゃんの怪我の件で、ちょっと聞きたいことがあるの」
「ああ、知ってるよ。あいつ昨日から休んでるよな」
やはり知り合いらしい。これは、労災か否かの聞き込みをする絶好のチャンスだ。
「彼女、腕と腰が痛いみたいなの。お仕事中に、電線から落ちて腕や腰を打ちつけた、とかじゃないかしら?」
「いや、ちょうど近くで見てたけど違うよ。平坦な道を歩いてたら、急にうずくまって痛い痛い言い出したから」
「時間はお昼頃で、紫芋ソフトクリーム屋さんの前あたり?」
「そうだね」
梅子から聞いた話と、目撃者の同僚の話をすり合わせていく。どうやら嘘ではないようだ。
「おいらも、たまに体が痛くなることはあるけど、ストレッチして風呂入ってよく寝れば治るからなぁ」
まるで言っていることが人間のサラリーマンみたいだ。目の前にいるふわふわの毛の小柄なリスも、体調管理のため人間に似たルーチンをしているようだ。
「食い意地の張った梅子のことだ、でっかい栗まんじゅうでも拾い食いして、ぎっくり腰とかになったのかもな」
からかうように笑う彼の顔を見て、愛嬌があり可愛らしい梅子は、きっとみんなの人気者なのだろうというのがうかがえた。
彼女が聞いていたら、『ちがうもん!』と頬を膨らませそうだ。
「そう、参考になったわ。色々教えてくれてありがとう」
メモを取りながら、紗奈が鉄鼠にお礼を言うと、尻尾を振って挨拶を返される。
「いやいいよ。それよりアンタの後ろの人は……とんでもない霊力だけど、人間じゃないよな……? あやかし……?」
紗奈の後ろで、腕を組み二人のやりとりを無言で見ていた白銀の姿を確認し、オスの鉄鼠は恐る恐る聞いてきた。
小さな体をしていてもあやかしだからか、白銀の霊力の量を感じ、ただならぬ存在だと本能でわかったのであろう。
「その金の瞳……まさか白銀様……?」
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